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【あおガルシナリオ集】現世(エイドス)サイド:第26章(最終話)「青空の少女たち」〜エンディング

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」を紹介します。


目次
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第1話「起源の煌き」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第2話「天使と愛の波紋」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第3話「澱みの先に」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第4話「歌い演ずる意味」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第5話「最高のステージへ」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第6話「全ての終わり」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第7話「ナンバーワン」
現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第8話「青空アンダーガールズ!」

現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第1話「起源の煌き」

ーーステージ裏

●麗華
トップバッターはわたしたち、『GE:NESiS』よ。

いい? 決勝という舞台において、
最初にステージにあがるのが、わたしたち。
ありとあらゆる意味で、基準になるわ。


ゼロの状態から、6分という短い時間で、
観客のボルテージも引き上げないといけない。

それがどういう意味か――。

●希
ここでしくじって、お客さんに「こんなもんか」って思われちゃうと、
後続に大きく影響する。

●美雪
あとの方々が、いくら素晴らしいステージをしても、
最初についた悪い先入観を拭い去るのは難しい。


●理子
つまり、ノれない。空気づくりは最初が肝心要。
……そう言いたいんだろ?

●麗華
……その通りよ。

●更菜
ふふっ、学プロのみんなに教えるつもりで話したんでしょ?
麗華ってば、すっかり先生なんだね。

●麗華
……やめてよ、恥ずかしい。
そんなガラじゃないわ。

●理子
そういうガラだろう。
だからこそ、ついてきたんだ。

●美雪
みなさん、麗華さん麗華さんって、
とっても慕ってますわよ。

●希
だけど、ここではそんな気遣いは無用よ。
だって、これからステージにあがるのは『GE:NESiS』なんだから。

あたしたちは対等。
むしろ麗華がミスしようものなら、フォローだってするわ。

●理子
そうだね。いつも頼られてる麗華だけど、
『GE:NESiS』でいるときは、むしろもっと頼って欲しいな。

●更菜
肩の力抜いて行こう? ね?

●麗華
……そうね。
たしかに、少し気負いすぎていたかもね。

いいわ。だったら頼らせてもらうわね。
当然、急なアドリブにもバッチリ合わせてくれるのでしょう?

●更菜
えぇっ!? こ、この大舞台でそんな……。

●希
もちろん、構わないわ。

●更菜
希!?

●理子
どんな舞台でも関係ない。
私たちは常に攻めの姿勢でいるべきだ。

●理子
守ったら負け。それが『GE:NESiS』なんだから。


●麗華
……幕が、あがるわ。

●更菜
行こう、みんな!
絶対に成功させて、『プリティ→プリンセス』に繋がなきゃ!

●美雪
えぇ! もちろんですわ!

●理子
むしろ盛り上げまくって、プレッシャーを与えてあげたいね。

●麗華
時代を、塗り替えましょう。

『ヴァルキュリア』は今日、地に落ちる。
スタフェスに行くのは、わたしたちよ!


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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第2話「天使と愛の波紋」

ーーステージ裏

●茜
……ねぇ、瑠璃花。
アカネ、いまなら空も飛べそう。

●瑠璃花
何言ってんの?
空ならもう飛んだじゃない。

●茜
そうよね。でもね、いまも地面に足がついてる気がしないの。
もしかして、本当に天使になっちゃったのかも。

●瑠璃花
そのまま天に昇っていく?

●茜
だったら、いいなぁ……。この場から逃げ出せるなら、
天国にだって喜んでいくわ。

……うぅ、お腹痛いぃ……吐きそう。

●瑠璃花
天使は吐きそうとか言わないと思う。


●茜
そーいう瑠璃花はどうなのよ?

●瑠璃花
吐きそう。

●茜
でしょうね。

だってさっきから、アカネの手、握って離さないし。

●瑠璃花
別に、そういうのじゃない。
離したって平気だけど。

ほら。……ね?

●茜
離してないじゃない。

●瑠璃花
うるさい。

●茜
いたたたたたた!
爪! 爪たてないで!

●瑠璃花
だって無理ゲーでしょ、これ。
わたし、元々はリアルお断りの、
ただの引きこもりアイドルなんだけど。


●茜
だったらアカネだって、元はただのユニクラよ。

●瑠璃花
ユニクラ?

●茜
ユニットクラッシャー。


●瑠璃花
そんなサークルクラッシャーみたいなノリで言われても……。

●茜
わ、やばっ! 次もうアカネたちじゃん!
ほら、行くよ瑠璃花! 手離して!

●瑠璃花
…………。

●茜
瑠璃花?

●瑠璃花
……あの、茜。えっと。

●茜
あー、やっぱり、このまま入場していい?

●瑠璃花
え?

●茜
段取り、いきなり外れちゃうけどさ、
アカネちゃん、どうしても怖くて……。

ダメ、かな?

●瑠璃花
…………。

……はぁ、本当にしょうがないやつ。
分かった。手、繋いでてあげる。


●茜
ありがとう、瑠璃花。
じゃあ……行こうか!

●瑠璃花
うん……。

…………茜。
わたしのほうこそ、いつもありがとう。


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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第3話「澱みの先に」

ーーステージ裏

●セリア
ついに、この日が来たのデス!

お国が違えば、瞳の色も違う!
世界中から集まった、我ら四銃士!

北は北海道、西はパリのシャンゼリゼ、
東はワイハに、南は沖ノ鳥島でありんす!


●佳奈恵
……そうかな? ウチら、割と関東に集中してるよね?
というか、沖ノ鳥島は住所的には東京だよ。

●セリア
シロンッッッス!
いまはそんなことを話している場合ではないのデス!

●佳奈恵
もう、自分でふったのに。

●セリア
うーん、いまいち緊張感が足りないでありんすね。
じゃあハイッ! 緊張感あふれる現場にするために、
必要なものは!?

●佳奈恵
そうだねー……。
無駄にテンション高くない、
空気を作るのがうまいリーダーかな。

●セリア
カナエ……ッ! おた、オワタムレッッッ!
緊張を和らげる、本番前の小粋なジョークでありんすよ!


●佳奈恵
緊張感が欲しいのか、和らげたいのか、どっちだってーの。

●セリア
まあ、ホドホドがいいでありんすね。

●佳奈恵
それなら、すでにいいあんばいだと思うけど。ほら。

●楓李
うーん、沖ノ鳥島が島か岩かなんて、
うちは別にどっちでも構わへんけどな。

所詮、言葉の問題や。
もっと沖ノ鳥島の本質に目を向けて欲しいと思うで。

彩はんはどう思う?

●彩
無理……もうダメ……。
私が出るくらいなら、人形でも置いてたほうがよっぽどまし……。


きっと、私だけうまくできない。私だけ、なんか変なんだ……。
このステージ終わったら、すべての情報を遮断して孤島に住もう。

ああ、でもフェンリルバーガーがある孤島がいいなぁ……。

●佳奈恵
まったく緊張してなくて何も分かってない楓李と、
緊張しすぎて何も分からなくなってる彩。

足したらちょうどいいくらいじゃない?

●セリア
なるほど! ……ナルホド?

●佳奈恵
あはは……。足並み揃ってない感じだよね……。
アタシたちらしいっちゃそうだけど。

●彩
せ、セリア! 佳奈恵! ついでに楓李!
助けて! 私、もう緊張で死んじゃう!

●楓李
ついで……?
彩はん、いま、ついでって言ったん?

●セリア
オー、アヤ! 死んでしまうとは情けない!
死ぬ気があればなんでもできるのデス!

●彩
し、死にたくないっ……!


●セリア
ハッハッハ。アヤはワガママでありんすなぁ。

でも、安心するのデス。
アヤを笑うひとなんて、もう誰もいないのデス。

アヤのことを笑っていいのは、同じステージに立って、
この吐きそうな緊張感を知ってるやつらだけでありんす。

だけど、そんな緊張感を知っているアイドルの中には、
あちきの知る限り、アヤを笑うような人は、いないでありんす。

だけどもし、なんにも知らないオーディエンスが
アヤのことを笑うのであれば……。

ワタシたちも一緒に笑われるでありんす。
だから、縮こまらずに、いつも通り思いっきりやって欲しいのデス。

●彩
……せ、セリア。

●佳奈恵
そうだね。うちらって笑われるの慣れっこだし、
いまさら怖くないって。

ちゃんとセンターらしいところあるじゃん、セリア。

●セリア
そ、それはそれでキャラブレなので
あんまり突っ込まないで欲しいのデス!

●楓李
なるほど……。つまり、責任は上がとるから、
好き勝手にやっていいってことやんな?


●佳奈恵
そうは言ってないでしょ。
セリアは思いっきりって言ったの。

お、始まるみたいだよ。

●セリア
カナエ、フウリ、準備はいいでありんすか?

●佳奈恵
おう!

●楓李
はいな~!

●セリア
アヤは?

●彩
…………うん、いい。
思いっきり、踊ってくる。

もしそれで失敗してずっこけたりしたら……
ちゃんと、一緒に恥かいてよね。

●セリア
相分かったでありんす!

では野郎ども!
『Remuage』あげての、アヤの弔い合戦でありんす!!!!


●佳奈恵&楓李
オーッ!

●彩
だ、だから死んでない!!
死にたくないよーっ!!


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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第4話「歌い演ずる意味」

ーーステージ裏

●寧々
わわわわ……!
『Remuage』のみなさん、キレッキレです……!

●晴海
そうだね、あのダンスは真似できない……。
不真面目に見えるけど、実力はやっぱり本物だね……。

●くるみ
ふぇぇ……。
余計にプレッシャーですぅ……。

●悠
はいっ! 晴海先輩!
質問、いいですか?

●晴海
はい、悠ちゃん。

●悠
『銀河歌劇団』らしさって、なんですか?


●晴海
……え?

●悠
『Remuage』はダンス、『プリティ→プリンセス』はかわいさ、
『GE:NESiS』はカッコよさで、『Twinkle☆Star』は超王道!


じゃあ……『銀河歌劇団』は?

●晴海
……そ、それは、ええと。

……………………い、色モノ?


●悠
色モノ、ですか……。

●寧々
あ、悠くん、明らかにがっかりしてる。

●晴海
違うの! そうじゃなくて、その……!

●悠
じゃあ、なんなんですか?

●晴海
ええと……。

●麻里紗
こら、晴海ばっかりに考えさせないの。
みんなの『銀河歌劇団』なんだから、みんなで考えましょう。

●寧々
た、たしかに……。
1人に押し付けるのは、よくない……。

●くるみ
『銀河歌劇団』らしさ……。
うーん、難しいです……。

●麻里紗
そうかしら? 私は簡単だと思うけど。
楽曲も、特徴がよく現れてると思うな。

難しく考えないで。
もっと思うままに、言ってみて。

●寧々
ゾンビ!


●悠
世界平和!


●くるみ
よく分からない!


●麻里紗
……やっぱり、もう少し、考えてから言ってみましょうか。


●晴海
……楽しさ。

●くるみ
ふぇ?

●晴海
私、『銀河歌劇団』にいて、楽しい。
そして、楽曲にもそれがよく表れてると思う。


●麻里紗
そうね。もちろん、これっていう正解はないけど、
私も『銀河歌劇団』は、楽しいアイドルだと思うわ。

いつでも、どんなときも、底抜けに明るく愉快なアイドル。
そんなみんなに私は、いっぱい元気をもらってるの。


そして、その元気がお客さんにも伝わればいい。
私は、そう思ってこのユニットをやってきたわ。

●晴海
そうですね。悲しい別れがあったとき、
言いようのない不安に襲われたとき、
私たちの歌を聞いて、元気になってほしい。そう思います。

●寧々
楽しさ……い、いいですね!
すごくあってると思います!

●くるみ
くるみも『銀河歌劇団』にいて楽しいです!

●悠
自分もです! 
お客さんよりも自分のほうが楽しんでる自信あります!

●麻里紗
それでいいのよ。
誰かを楽しませるのは、まず自分が楽しまないと。

●晴海
……そろそろ、出番みたい。
なんだか、いまさら『銀河歌劇団』のこと、わかった気がするな。

●寧々
だけど、おかげで元気が出ました……。
緊張……するけど、まずは自分たちが、楽しむ……。

●くるみ
くるみも自信あります!
ステージ、楽しいです!

●晴海
うん、行こう、みんな!

私たちが最高に気持ちいいステージを!
そして、それがお客さんにも伝わるステージを!


一生忘れられない、最高の1日にしようね!

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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第5話「最高のステージへ」

ーーステージ裏

●和歌
……すごい声援。
みんな、最高のステージね。

●ひなた
うん……。ホント、すごい……。
これまでで、一番輝いてるよ……!

●琴音
はぁ~……緊張してきました……。
こんなときは、人の字を書いて……。

●千尋
そんなことより、いい方法があるよ~。
……えいっ!

●琴音
ひゃわっ!? ち、千尋さん!?
な、なんで急に抱きつくんですか~!?

●愛美
ちょっと、あんまりはしゃがないの。
いまやってる『銀河歌劇団』の次は、もう私たちなんだから。

●千尋
愛美ちゃんは緊張しないの~?

●愛美
ふん、そんなの……。

……しないわけ、ないじゃない。
いまにも足が震えて泣きそうよ。


●千尋
だったらぁ~、愛美ちゃんも!

●愛美
ぎゃあっ!? ちょっと千尋!

●千尋
大丈夫、怖くないよ~。
みんなでお喋りしても、落ち着かないときは……。

こうやって、ぎゅーってするの。
ステージって、みんなと近いようで遠いからねぇ。


目を閉じて、ゆっくり深呼吸して……。
何も考えないで、互いの体温だけ、意識してねぇ~。

●愛美
千尋……。

●琴音
…………。

●愛美
……勝ちたい。
千尋、私、勝ちたいよ……。

一番の、アイドルに、なりたいの!

●千尋
うん、知ってるよ。
愛美ちゃんはいつも、誰よりも真剣だから~。

私、ちゃんと知ってるからね~。
偉い偉いって、わたしが褒めてあげる~。

●愛美
な、何よ……。
恥ずかしい、じゃない……。

●千尋
大丈夫。なれるよ、必ず。
5人一緒なら、世界一のアイドルに!

●琴音
そうですよ。私たちには、
最高のセンターもついてることですしね。


●ひなた
……みんな。

●和歌
……ねぇひなた。
前に栞歩さんから言われたこと、覚えてるよね。

●ひなた
……このままじゃ『Twinkle☆Star』はダメになる。
全部、あたしのせいで。

あたしはオンリーワンになりたいなんて、思ってない。
そのことに気づけない限り、あたしたちは……。


●和歌
ひなた、もう一度聞くね。

いまでも、オンリーワンアイドルに、なりたい?

●ひなた
あたしは……いまのあたしは……。

●萌
プロデューサーさん!
次! 『Twinkle☆Star』の出番です!



みなさん、イデアをビンビンに感じるステージ、
期待してますからね!

●プロデューサー
ひなた!

●ひなた
……行こう、みんな。
あの、キラキラの向こう側に!


●みんな
うんっ!

●ひなた
あたしは、もう逃げないよ。

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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第6話「全ての終わり」

ーーライブ会場

●ひなた
はぁ……はぁ……。

みんな……ありがとう!
最高の、時間だったよ!


結果はどうなるか分からないけど……
だけど、いまはそんなことはどうでもよくて……。

1つだけ、伝えたいことがあるの。
それは……。

みんなっ! 本当にありがとう!
大好きだよっ!!


ーーステージ裏

●プロデューサー
おつかれさま。

●全員
おつかれさまです!


●萌
先程、後攻の『ヴァルキュリア』のステージも終わりました。
そろそろ、結果が出ると思います。

●輝音
……驚いたな。
この展開は予想していなかった。


●愛美
……『ヴァルキュリア』!

●輝音
いまはただ、健闘を讃え、労いの言葉を贈ろう。
素直に、素晴らしいステージだった。

●理子
そっちこそ。
正直、実力の差を改めて思い知らされたよ……。

●響香
うん、だけど、お客さんは実力だけで
アイドルを選ぶわけじゃないからねー。

●律
私に言わせれば、アイドルの実力は「どれだけ客の心をつかめるか」。
手段は一所懸命さでも、同情でも、カリスマ性でも、なんでもいい。


だから、実力でだってあなたたちは負けてない。
……悔しいけど。

●アリス
それでも、ワタクシたちは、勝てるはずです。
重ねてきたレッスンと、覚悟の重みが違いますわ。

●麗華
こちらの覚悟は軽いとでも?

●アリス
まさか。そんなこと、欠片も思っていません。

ですが、ワタクシたちはそれを凌駕するほど、
今日までに命を賭けて挑んできた。

……そう、信じているのですわ。

●萌
プロデューサーさん! みんな!
結果、出ます!


勝った方の曲が会場に流れます!
それを合図に、ステージへ出てください!

●栞歩
……ひなたちゃん。
初めて会ったときのこと、覚えていますか?


●ひなた
……うん。

●栞歩
そのときの答えは見つかりましたか?
もし、見つかったのなら……。

●ひなた
見つかったよ。
栞歩さんの言いたかったこと、いまならよく分かる。


さっき、本番前にも和歌に、同じこと聞かれたんだ。

いまでも、オンリーワンアイドルになりたいか、って。

それでね、考えてみたの。
だけど、オンリーワンってことはさ……。

いまのこのステージ、
負けちゃっても構わない、ってことだもんね。


そう考えたら、絶対に嫌だって思ったんだ。

それは絶対に勝ちたいっていう愛美ちゃんとか、
仲間のために、というのもあるけど……。

何より、純粋に、あたしが勝ちたいって思った。
誰にも……『ヴァルキュリア』にも……お姉ちゃんにも!
負けたくないって!


あたし、オンリーワンを言い訳にしてただけだ。

誰かに負けても「仕方ない」って、
お姉ちゃんには勝てないって、心のどこかで思ってたんだ。

でも、もうやめるね。
あたしはもう、逃げない。

あたし、ナンバーワンのアイドルになるよ。
『ヴァルキュリア』も、お姉ちゃんも、全部倒して!


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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第7話「ナンバーワン」

ーーステージ裏

●栞歩
……良かったわ。
すばるもきっと、喜んでるはずよ。

ひなたちゃんが、やっとここまで来たか、って。

●和歌
ひなたっ!

●ひなた
わっ!? 和歌?

●和歌
すごいわ、ひなた……。
いつの間にか、こんなに立派になって……。


私、どこまでもあなたについていく!
あなたが世界一のアイドルになるとき、私も必ず側にいる!

●ひなた
和歌……。うん! もちろん、みんな一緒だよ!

●輝音
……まだまだ、甘いな。


●茜
何よその言い草!?
決着はまだついてないんだけど!?

●輝音
違うよ。お前たちに言ったんじゃない。

●晴海
……どういうことですか?

●輝音
いくぞ、お前たち。
徹底的に、イチから鍛え直しだ。


……もちろん、私も含めてな。

●ひなた
ど、どこにいくの? ちょっと!

●栞歩
来るんじゃねぇ!


●ひなた
えっ!?

●栞歩
お前たちは逆だ。

●輝音
そうだ、お前たちが向かうべきは、あっち。
光差す、その向こう側だ。

●ひなた
……この曲は!

●琴音
ひなたちゃん!

●美雪
この、心安らぐ、聴き慣れたメロディ……。


●愛美
私たち……やっと……!

●萌
優勝、しちゃいましたよー!


●千尋
夢が、叶ったんだよ~!

●麗華
えぇ!

●セリア
みなの者! 今宵は宴でありんすー!

●栞歩
みんなが、待ってるぜ。
俺たちじゃなく、お前たちをな。

……青春、してこいよ。
ガールズたち。

●輝音
私たちの、完敗だ。

●プロデューサー
行こう!

●ひなた
うん! プロデューサー!

みんな、胸を張ろう!
あたしたちが、ナンバーワンだぁぁぁ!!!!


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現世(エイドス)サイド:第26章「青空の少女たち」第8話「青空アンダーガールズ!」

ーーステージ裏

●愛美
はぁ!? ひなた、まだ着いてないの!?
嘘でしょ!?

●琴音
落ち着いてください、愛美さん……。
1本遅い飛行機に乗ったらしいので、そろそろ着くかと……。

●愛美
そろそろも何も、ステージはもう始まるのよ!
あんのバカは、本当にいつもいつも……!

●琴音
現地ファンのひとたちにサインしてたら、
飛行機を逃しちゃうなんて……。


●千尋
ひなたちゃんらしいわね~。
状況が目に浮かぶようだわ~。

●悠
そういうとこ、人気アイドルになっても変わらないです!


●麗華
変わってもらわないと困るのだけどね。
人気アイドルだからこそ、隙を作ってはダメよ。

そんな隙を見せるようなら……。
わたしがつけこんで、逆転してみせるわ。

●晴海
『GE:NESiS』だって、『Twinkle☆Star』に負けない、
超全国区のアイドルじゃないですか。

●美雪
先日のCDの売上『Twinkle☆Star』に負けましたからね。
そのことを根にもっているのですわ。


●理子
それはアタシも同じだけどな。

●希
もちろん、あたしも。
言うまでもないと思うけどね。

●琴音
…………あはは。

●理子
『Twinkle☆Star』は、いまではアタシたちの手強いライバルだ。
仲間だとは思ってるけど、負けるつもりはないからな。

●更菜
私も、その……負けたくないって思います。
本気で、戦います。だから……よろしくお願いします。

●希
自己評価がとんでもなく低い更菜にここまで言わせるなんて……。
『Twinkle☆Star』、恐ろしいわね……。


●更菜
ち、違う! 自信があるわけじゃなくて、
ただ負けたくないなって思っただけで……。

●理子
以前の更菜なら、それを口にしたりはしなかっただろう。

●更菜
それは……。

●美雪
私も更菜さんと同じ思いですわ。

ただ、負けたくない。だから、それに見合った実力をつける。
みなさんに置いて行かれるのが、何よりも寂しいですから。

●理子
ま、そういうわけだから、今後とも、
『GE:NESiS』ともども、よろしく頼むよ。

●千尋
うん~! よろしくね~!

●琴音
も、もちろんです……。少しでも気を抜くと、
あっという間に離されそうです……。

●愛美
ユニットとしては、『GE:NESiS』に負けられない。
個人としては、人気No.1のひなたに負けられない。


……今日で学園生としてのアイドルは最後だけど、
トップアイドルへの道のりは、まだまだ長そうね……。

●悠
ひなた先輩は、いまやスター街道まっしぐらですよっ!
自分、鼻高々です!

●麗華
だからこそ、遅刻とか細かい部分で損するのが許せないのよ。

●セリア
ふふふ……ヒナタのことデス。きっとこれも作戦のうち!
わざと遅刻して、頭に血が昇った佐々木小次郎を……えいやっ、と!


●瑠璃花
小次郎役は誰? すばるさん?
すばるさんの頭をどつくの?

●茜
物騒なこと言わないでよ……。
今日のライブ、ちゃんと実力ですばるさんに勝つんだから。

そんで、世界一かわいいのはやっぱアカネちゃん!
……ってことを、証明するのよ!


●寧々
すばるさんの復活&姉妹での公開ライブバトル……。
め、メンツが豪華すぎて、わ、私はもう……。


●くるみ
ドームライブのデビュー戦にして、超ビッグな相手です……。
大型哺乳類のくるみも、超大型の前では足が震えるです……。

●彩
うっぐ……ひっぐ……。
私なんか、震えるどころか、涙まで出てきたわよぉ~!

せっかく、人前に慣れようと接客のバイトまで始めたのに、
こんな大舞台じゃ、レベルが違いすぎて
なんの役にも立たないじゃない~!


●セリア
まーまー、その努力は尊いでありんすよアヤ。
ほら、鼻水を拭くのデス……。

●佳奈恵
バイトも楽しいんでしょ?
憧れのフェンリルバーガーだもんね。


●彩
ぐす……うん……。
毎日、ハンバーガー食べれて幸せ……。

●佳奈恵
アタシもまさか、最後にこんなところでやれるなんて
思わなかったって。
弟たちも見に来てるし、気合い入れないとね。

●楓李
ウチは平気やけどなぁ。
なんせ、まるちくりえーたーやから。

●くるみ
それ、どういう意味です?

●晴海
複数のクリエーター職についてるってことだけど……
1つがアイドルだとして、他にも何かあるの?

●佳奈恵
あー……。まだみんなには言ってなかったけど、
実は楓李、小説の新人賞、受賞したんだよね……。


●晴海
じゅ、受賞!? 楓李ちゃんが!?

●セリア
まさに、驚天動地でありんす!

●茜
きゅぴーん! お金の匂い!


●瑠璃花
自重しろ。

●佳奈恵
まあ、小さい出版社だし、
話題性も込みで、ってことだとは思うけどね。

●楓李
アイドルと小説家……。
2つの翼で、うちは世界に羽ばたくんや。


●くるみ
はぇ~すっごいです……。
楓李さんが小説家さんって、ちょっと意外です。

くるみは文字だけの本を読んでいると、
頭がぐるぐる~って回って、ひよこさんピヨピヨ~なのです。


●楓李
奇遇やな、うちもやで。

●くるみ
……え?

●楓李
うちもやで。

●くるみ
え?

●愛美
何が可愛そうって、
この楓李に負けて落選した人がいるってことよね……。


●麻里紗
楓李ちゃんが、作家に……。
私も、歴史小説とか書いてみたいなって思ってたのに……。

●晴海
ま、麻里紗さんならできますよ!
私も応援してますから! ね!

●くるみ
そうです!
『銀河歌劇団』の力をケッシューさせれば、不可能はないのです!

●寧々
わ、私も書きます……! ホラーなら、きっと得意です!


●麻里紗
でも小説だから……。小説は1人で書くものよ。

●くるみ
え? みんなの力はケッシューさせないですか?

●悠
麻里紗先輩、1人で書くんですか?
『銀河歌劇団』は、ずっと一緒だって言ったのに……。

●麻里紗
だ、だからそうじゃなくて……。

●寧々
ほ、ホラーなら! ホラー小説にしましょう!

●麻里紗
……そうね、そのときは、力を貸してもらおうかしら。

●悠
もちろんです! わーい! ケッシュー!

●くるみ
ケッシュー! ケッシュー!

●晴海
ごめんなさい、麻里紗さん……。

●麻里紗
……私、もう卒業なんだけど、本当に大丈夫かしら?
不安すぎて、卒業後も毎日通っちゃいそう……。

●プロデューサー
時間がない。

●萌
そうです! のんきに話してる場合じゃありません!
早く最初の5人は、スタンバイしてください!

●和歌
とはいっても、ひなたがまだなんですけど!
やっぱり私が一緒にいないとダメですね、うん。


●愛美
ど、どーすんのよ!?
もう、こうなったら私が代わりに……!

●ひなた
みんなごめん~!


●全員
ひなた!


●学園長
ごめんなさいね、引率で私がついておきながら……。
……やっぱり、飛行場までの案内を
あの人に任せたのが間違いだったわ。


●晴海
あのひとって、『神崎 蔵人』……さんですか?
確か、学園長の元プロデューサーだっていう。


●学園長
そうよ。久しぶりに姿を見せたと思ったら、
『俺にもガールズたちの青春を手伝わせてくれ』って。

飛行機間に合わないって連絡受けた時は、
やっぱり……って感じだったわぁ……。

●セリア
とにかく、間に合ったのだからオールオッケーデス!
ヒーローは遅れて現れるでありんすな!

●ひなた
良かった~……。今日は、待ちに待ったすばるさんとのライブバトル。
遅れたらどうしようかと思ったよ~……。


●和歌
まだ、お姉さんのこと、すばるさんって呼んでるのね。

●ひなた
うん、お姉ちゃんじゃないからね。
だけど、それも今日までだよ。

必ず勝って、これまでみんなに迷惑かけたこと、謝ってもらう。

そして……。

そして、もう一度あたしのこと、妹にしてもらう。
……それで、あたしの大好きなお姉ちゃんに、戻ってもらうんだ!


●麗華
強敵よ。櫻花すばるはもちろん、
彼女と同じユニットの栞歩も。

戦うのはスタフェス予選以来だけど、
格段に、強くなっているわよ。

●ひなた
もちろん、分かってる。
それでも、あたしたちは勝つよ。

●麗華
……いいわ。
それでこそ、わたしたちの櫻花ひなただわ。

●愛美
さあ、行ってきなさい、ひなた!
私の出番のとき、会場が盛り下がってたらただじゃおかないわよ!


●琴音
ひなたちゃんなら、きっとお姉さんを越えられる!
……ううん、一緒に、みんなで越えようね!

●ひなた
うん! ありがとう、愛美ちゃん、琴音ちゃん!
絶対、最高のステージにして、みんなにつなぐから!

●千尋
ライブが終わったら、またおでんにしようね~。
今度はみんなも、栞歩さんも、お姉さんも一緒に。


大きなお鍋、用意しなきゃねぇ~。
具材はみんな、好きなものを持ち寄りってことで~。

●ひなた
だから、どうしておでんなの?
そろそろ、あたしと和歌にも教えて欲しいなぁ。

●千尋
そのうち、ね。うふふ~。

●和歌
ひなた……。

●ひなた
和歌も! 今日は2人だけで歌う曲もあるんだから、
バッチリ準備しておいてよね!

●和歌
ええ、もちろん!
身体を綺麗にして……じゃない、十分に身体を温めておくわ!

●萌
みなさん~! もう時間がありません~!

●ひなた
いまいく!

……あ、それから、萌ちゃん!

●萌
な、なんですか?

●ひなた
今日はあたしたちだけど、今度のステージはきっと、
萌ちゃんも一緒に立とうね!

●萌
え、えぇ!? わ、私はプロデューサーであってですね……。
そりゃあ、アイドルとしても経験者ですから、
必ずしもできなくもなくもない、とは……。


●ひなた
違うよ、経験者だとか、関係ないよ。

萌ちゃんも、アイドルになりたいんだよね?
だったら……なろう? あたしたちと、一緒に! 


●萌
ひなたさん……。

そう、ですね……。私も、アイドルになりたいです……。
いつか、夢が叶うといいですね……。


●ひなた
叶えよう! あたちたちと、一緒に!

●萌
……はいっ! ひなたさん!

●ひなた
……じゃあみんな、プロデューサー、行ってくる!
特等席で、応援しててね!

●プロデューサー
もちろん!

●麗華
さ、急いで。
これ以上遅くなると、進行に支障がでるわ。

●ひなた
う、うん!

●晴海
ま、待って!
あの、前から歩いてくるのって……!


●すばる
……久しぶりね、ひなた。
こんなところまで来るなんて、困った子。


●ひなた
お姉ちゃん……うんん。
櫻花すばるさん……!

●セリア
まさか、この人がデスか……!
このひとが、ワタシたちのひなたを……!

サイン、ください!


●茜
違うでしょ。

●すばる
何年ぶりかしら。
私を超えるために、今日までよく頑張ったのね。

●ひなた
違うよ、関係ない。

●すばる
へぇ、そうなの?
じゃあ、なんで? 未練たらしく、私に執着してたんじゃないの?

●晴海
酷い……そんな言い方、あんまりだと思います!

●ひなた
ありがとう、晴海ちゃん。
でも、大丈夫だから。

最初は……ううん、ずっと、そうだった。
でも、いまは違う。あたしのなかで変わったんだ。

いまでは、すばるさんは関係ない。
純粋に、仲間たちとアイドルがしたい。

そして……ただ、勝ちたいんだ。
すばるさんにっていうか、現No.1アイドルの、あなたに!


●すばる
それで? 私に勝ってどうするの?

●ひなた
どうもしないよ。
勝ちたいから、勝つだけ。

世界中のみんなに、あたしとあたしの仲間たちを、
どう最高でしょ? って自慢したいの。

だから、あたしたちは絶対に負けない。
みんなで……この仲間たちと、あたしはNo.1になるんだ!

●すばる
……そう。ずいぶんと立派になったわね。
口だけじゃないって、ちゃんと証明してみせてよね。

●ひなた
もちろん! ……さあ、行こうみんな!

●麗華
……すばるさん。
あの、あなたは本当は……。

●すばる
いいから行きなさい、麗華。
……あなたも、私をがっかりさせないでね。


●麗華
…………。

●すばる
…………櫻花ひなた。

……ひなた。

私の……かわいい妹……。


あ~もう! なんてかわいいのかしら~!!!!
最後に会った日から1年と234日と17時間16分と13秒66!

はぁ……はぁ……抱きしめたい……。
いますぐにでもホールドして、ほっぺスリスリしながらキスの雨を降らせたい!


……あ、スリスリしながらキスはできないか。
じゃ、じゃあ! スリスリしたあと、キスしましょう!

絶対に和歌ちゃんが黙ってないと思うけど……
2人の逢瀬を邪魔するのなら、後頭部を蹴っ飛ばしてやるわ!

だいたい、和歌ちゃんは私がいない時間、
ひなたを独り占めしてたじゃない!
あーんなことや、こーんなこと、2人でしてたんでしょ!?


……はぁ。
でも、もう少し……もう少しだけ我慢よ、すばる。
あとちょっとだけ、溢れそうになるラブを抑えるのよ……。

きっといまのひなたなら、本気の私や、栞歩を倒してくれる。
私の業を、あの子ならきっと祓ってくれる。

そうして、本当に、本当にひなたがNo.1になったら……。

私、素直になるから。謝るから。
これまでのこと、許してくれないかもしれないけど……。

でも、それでいいの。
ひなたが世界を震撼させる、最強アイドルになってくれれば、それで。

それで、私は幸せなんだから……。
心置きなく、マイクを置けるわ。

ひなた……。
私のかわいい妹……大きくなったわね。


ーーアリーナ



●ひなた
みんなー! 盛り上がってるー!?


●晴海
ひなたちゃん、まだ1曲も歌ってないのに、もうMC……?

●ひなた
いや~、一度これ言ってみたくて……やっちゃった!

●茜
まったく、ひなたは相変わらずわけが分からないよねー。

だけど、アカネをスーパーアイドルにするため、
こ~んなところまで引っ張って来ちゃうのは、すごいと思うなマジで!


●セリア
そうでありんす! ヒナタはまさしく、現代に生きる坂本龍馬!

薩長同盟のごとく、バラバラだったあちきらを
固く結んだでありんす~!


●麗華
とりあえず、みんな落ち着きましょう。
まさか開始3秒で段取りからはずれるなんて……。

●ひなた
ごめんごめん、つい楽しくなっちゃって。

(拝啓、プロデューサー。
もうすぐ3年生は、神楽ヶ丘学園を卒業します)


(だから今日は、3年生のお別れライブ)

(みんなでレッスンしたこと、プロデューサーに教えてもらったこと、
それから、大騒ぎしたり、喧嘩したこと……)

(そういう、あたしたちを成長させてくれた、大切な時間の全部、
今日のライブに詰め込んで、これまでで最高のライブにするね!)

(離れ離れになるのは寂しいけど……
これまでの輝きが、なかったことにはならないよ)

(……ねぇ、プロデューサー。
いつかあたしたちも、それぞれの青空に旅立ちます)

(でもそれは、ちっとも哀しいことじゃないと思う)

(開演のブザーが鳴る。新しい幕開け。
いつだって、何度だって、お別れは新しい始まりだよ、プロデューサー!)


それじゃあいくよー! 

レッツ、STAR☆TING!


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エンディング

























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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

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【あおガルシナリオ集】新アイドル・友守唯衣花が活躍する「乖離するデザイア」

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、新アイドル・友守唯衣花(ともり・ゆいか)(声優:花守ゆみり)が活躍するイベント「乖離するデザイア」を紹介します。


目次
「乖離するデザイア」第1話「不時着の小旅行」
「乖離するデザイア」第2話「ふたつ巴の日」
「乖離するデザイア」第3話「斬り結ぶ言葉」
「乖離するデザイア」第4話「はじめてのトモダチ」
「乖離するデザイア」第5話「恥じらいデイブレイク」
「乖離するデザイア」第6話「天衣無縫のシンデレラ」
「乖離するデザイア」第7話「戦乙女の裏側」
「乖離するデザイア」第8話「チャンス」
「乖離するデザイア」第9話「天性の才覚」
「乖離するデザイア」第10話「信じる道を往く」

「乖離するデザイア」第1話「不時着の小旅行」

●唯衣花
ご清聴、ありがとうございました!


●佐藤ばあちゃん
相変わらず、ゆいかちゃんの声は
べっぴんさんだねぇ~。

●湯地ばあちゃん
ホント! ばあちゃんたち、聴き惚れちゃったよ!

●唯衣花
いやー、どもども。

●湯地ばあちゃん
唯衣花ちゃんが楽しそうに歌っていると、
元気が湧いてくるわね~。


●唯衣花
えー、湯地ばあちゃん、元から元気じゃん!
朝早くから、道の掃き掃除とかしてるし!

●湯地ばあちゃん
そんなことないよぉ。
もうめっきり、腰が弱くなってね~。

●山川ばあちゃん
湯地さんはまだいいよ。
あたしなんか、台所にも立てないんだから。

●唯衣花
あ、山川さん! わたし、また家事しに行くね!
そろそろ冷蔵庫の卵、賞味期限切れるでしょ?

●山川ばあちゃん
すまないねぇ。だけど、気にしなくていいんだよ。
こうして老人会のみんなで、温泉に来られただけで十分だよ。

●佐藤ばあちゃん
そうそう。ゆいかちゃんには、やることがあるだろ?

●唯衣花
えと、学園へ編入すること?

●佐藤ばあちゃん
他に何があるのさ。
みんな、自分たちのことのように喜んでるんだから。

●唯衣花
……ありがとう。
期待と不安が半々、ってところだけどね。


●おばあちゃん
唯衣花。

●唯衣花
おばあちゃん……どうしたの?

●おばあちゃん
達者で、頑張ってきなさいね。
アンタの声は、年寄り共で専有するにはもったいない。

東京に行って、アイドルになって、
そしたら、私たちはテレビで唯衣花の歌を聴くからね。


●佐藤ばあちゃん
しっかりね、ゆいかちゃん。

●湯地ばあちゃん
寂しくなったら、いつでも帰っておいで。

●唯衣花
うん!

●おばあちゃん
それから……。

向こうでは、しっかりお友達作るんだよ。
ジジババじゃなくて、同じ年頃のお友達をね。

●唯衣花
もちろん! 東京では、たっくさん友達作るから!
みんなで遊んでる写真とか、バンバン送っちゃうし!

原宿でクレープ食べたり、SNSに写真アップしたり、
アイドル同士でサインの交換したり!

だから……おばあちゃんたちも、
ずっとずっと、健康でいてね!

●おばあちゃん
もちろんだよ。

本当のアイドルになっても、なれなくても、
唯衣花は私達の、永遠のアイドルだよ……。

私達のかわいい唯衣花……。
どうか、幸せになっておくれ……。


(学園長室にて)

●唯衣花
任せて、おばあちゃん!
わたし、世界一のアイドルになるからね!


●学園長
…………。

●萌
…………。

●唯衣花
あ、あれ?

●学園長
……トモリユイカ、さん? 意気込みは素晴らしいですけど、
私、まだおばあちゃんって年じゃないと思うの。


●唯衣花
す、すみません!
ちょっと精神世界に小旅行に行ってました!

●萌
学園長、大丈夫ですか、このひと?
経験者の私の勘では、マジの激ヤバなんですけど。


●学園長
大丈夫よ。なぜなら、この前のひなたちゃんたちも、
ちっとも大丈夫に見えなかったでしょ?

●萌
つまり、どっちも大丈夫ではないのでは?

●唯衣花
それで! あの! わたしの所属する学プロって!?

●唯衣花
たくさんの友達と、原宿行ったり、SNSに写真アップしたり、
サインを交換しあわないといけないんです!

●萌
えぇ……。レッスンしましょうよ……。

●学園長
コホン……。話がそれちゃったわね。

友守唯衣花さん、改めて神楽ヶ丘学園へようこそ。
そして、あなたの所属する学プロだけど……。

●唯衣花
はい!

●学園長
ないわ♪

●唯衣花
……んー?

●学園長
ごめんなさい……。
なんせ編入の話が急だったもので……。

しばらく、友守さんにはフリーで活動してもらおうと思うの。


●唯衣花
…………。

……なして?


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「乖離するデザイア」第2話「ふたつ巴の日」

ーーレッスン場

●唯衣花
(……おばあちゃんと兄貴に勧められて、
東京のアイドル学園に編入したはいいけど)

(1人で公開レッスンに参加って何!?
都会人の群れに、田舎もんをいきなり放り込むフツー!?)

●残念そうなアイドル(茜)
あー、アカネったら、珍しく1人になっちゃったなぁー。
イリオモテヤマネコくらいの希少さだわー。


レッスンの相手、どうしようかなー。
アカネと組める、幸せ者は誰かなー。

●唯衣花
(……あのひと、わたしと同じ空気を感じる。
絶対、同じ田舎者だと思う)


やっぱり、わたしはここでも1人なのかな……。
まだSNS映えしてないのに……。

●都会人アイドル(巴)
ちょっと、そこのアンタ。


●唯衣花
は、はひぃ!? ……わ、わたし?

●都会人アイドル(巴)
他に誰がいるのよ。

そこにいられると、邪魔なんだけど。
アンタは後半の組なんだから、その白線から出ないで。

●唯衣花
わわっ! ごめんなさい!

●都会人アイドル(巴)
……ふん。これだから田舎者は。

●唯衣花
(おばあちゃん、都会は恐いところです……。
唯衣花は早くも帰りたい気持ちでいっぱいです……)


●都会人アイドル(巴)
ほら、アンタはこっち。
さっさと壁の方向いて。

●唯衣花
は、はい!

●都会人アイドル(巴)
こうして私が背中を合わせるから、
ほら、両腕を絡ませて。

●唯衣花
はい!

●都会人アイドル(巴)
そう、そのまま私の背中に体重を預ける。
そしてグーッと、背筋を伸ばすイメージで。

●唯衣花
はい! そのままグーッと……あれ?

(な、なんでわたし、このひととストレッチしてるの?)

●都会人アイドル(巴)
はい、次は私の番。早く背中ひっぱって。

●唯衣花
は、はぁ……。

…………。

●都会人アイドル(巴)
…………。

……よし、いいよ。
次はアンタが床に座って。私が背中押すから。

●唯衣花
あ、あの。

●都会人アイドル(巴)
何?

●唯衣花
(こういうとき、なんて言ったらいいんだろう?
……とりあえず)

あなた、お名前は?

●都会人アイドル(巴)
どうしてそんなこと、教えないといけないの?

●唯衣花
すみません! 出過ぎたことを聞きました!

●都会人アイドル(巴)
いいから早く、床に座る。

●唯衣花
はい~っ!

(やっぱり恐いよ~! なんなのこのひと!?)

●都会人アイドル(巴)
……馳巴。


●唯衣花
へ?

●巴
はせ ともえ。
私の名前よ。アンタが聞いたんでしょ?

●唯衣花
あ……う、うん!

●巴
で、アンタは?

●唯衣花
わたしは友守唯衣花!
先週、ここに編入して来たの!


●巴
そう。物好きなのね。
……ま、分からないことがあれば、私に聞くのはアンタの自由よ。

●唯衣花
う、うん? ありがとう?

●巴
……ふん。

●唯衣花
(分かった。多分このひと、素直じゃないだけだ)

(ちょっと訂正。
おばあちゃん、東京には、変だけど怖くない人もいます)


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「乖離するデザイア」第3話「斬り結ぶ言葉」

ーー学食

●唯衣花
わ、わー! すごーい! かふぇてりあだ!
かふぇてりあで、と……友達と……お茶してる……。


●巴
カフェ……? ただの学食だけど。

●唯衣花
い、いいんだよー! 憧れだったんだもん!

(さりげなく友達って言ってみたけど……否定されなかった!
これはもう、公認ってこと!?)

●巴
あと、別に友達になった覚えはないから。


●唯衣花
時間差!? 意外とガード固い!?

(ま、まあ、いきなりだもんね。
ゆっくり時間をかけて、仲良くなっていこう……)

と、ところで馳さん、お願いがあるんだけど……。

●巴
やめて。

●唯衣花
まだ何も言ってないよ!?

●巴
じゃなくて、呼び方。

●唯衣花
へ?

●巴
上の名前、嫌いなの。
言いにくいし、なんかクシャミみたいだし。


●唯衣花
く、くしゃみ? よくわからないけど……。

(やっぱり、少し変わってるなぁ)

●巴
それで、何?

●唯衣花
あ、うん。あの、わたしと写真を撮って欲しくて。

●巴
やめて。

●唯衣花
やっぱり断られた!?

もしかして写真苦手?
あ、でも、撮られると魂抜かれるってのは迷信でね!


●巴
私をいつの時代のひとだと思ってるの?

●唯衣花
あ、そっか……。
でも、だったらどうして?

●巴
単にアンタと一緒に写りたくないの。

●唯衣花
もう少し言葉を選んで欲しいな!


●巴
安心して、他意はないから。

●唯衣花
余計に安心できないよ!

●巴
……冗談よ。

●唯衣花
(冗談きっついなぁ……)

●巴
本当は、その……分からないだけ。
どんな顔して写ればいいとか。

意外かもしれないけど、私、愛想笑いとか苦手なの。

●唯衣花
(意外どころか、見たまんまだよ)

どうしてもダメかな?
おばあちゃんたちに写真を送らないといけなくて。

●巴
おばあちゃん?

●唯衣花
あ、おばあちゃんたちってのはね、
私のこと、小さいときから面倒見てくれたひとたちで……。

わたし、約束して……。
学園に行ってたくさん友達作るって……。

でも、アイドルだって真剣に考えてて……。
アイドルは、おばあちゃんと兄貴に勧められたんだけど……。

(って、うまく説明できてるかな?
緊張して、あんまり自信ない……)

(もう少し、きちんとお話したいんだけど……)

●巴
……食堂は、少し騒がしいね。

●唯衣花
え? な、なんの話?

●巴
私、ミルフィーユが食べたい。
この世で最も尊い食べ物よ。


だから私はカフェに行く。
……そこに、アンタがついてくるのは自由よ。

●唯衣花
……あ。

うん! そうしよう!
わたしももっと巴ちゃんのこと知りたい!

●巴
そう。私は別に、私のことを話さないけど。

でも、ミルフィーユを食べながらだと、
機嫌が良くなって、少しだけお喋りになるかもね。

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「乖離するデザイア」第4話「はじめてのトモダチ」

ーーカフェ

●巴
なるほどね、それで急に編入を。

●唯衣花
そうなの。なのに、入る学プロがないって
学園長に言われちゃって……。

●巴
友達、いないのね。

●唯衣花
どうしてそこだけ!?
あ、うん! 友達作るのも目的だけど!

(でも、巴ちゃんがいるから、
その目的はちょっとだけ達成しました、なんて……)


巴ちゃんは学プロ、入ってるの?

●巴
フリーよ。ユニットも組んでない。

●唯衣花
そ、そうなんだ。ふーん。

(こ、これはチャンス!?)

(友達から同じユニットメンバーになれたりしたら、
それはもう、親友を通り越して結婚してるようなものよ!)

あの! 良かったらわたしと!


●巴
ひゃっ!?

●唯衣花
あ、ご、ごめん……。
大きな声、出しちゃって……。

(うぅ……。失敗しちゃったよ……)

●巴
別にいいけど……。どうしたの?

●唯衣花
(もう一度、言うのよ唯衣花!
わたしと結婚! ……じゃない、ユニット組んでくださいって!)

●巴
ちなみに、アンタとユニットは組めないから。


●唯衣花
わたしと一緒にユニットを――
ってえぇ~!? なして!?

●巴
なんでって……。

●唯衣花
わたしが田舎者でそそっかしくて思い込み激しいから!?
勢いで行動してあとで自己嫌悪するタイプだから!?

●巴
……自己分析はちゃんとできてるのね。

そうじゃなくて、私は1人でやりたいの。
その……アンタに問題があるとかでなくて。

ユニットを否定する気はない。
私には合わないって思うし、やりたいことじゃないだけ。

言うなれば、私は1人で書く小説があってるの。
大人数で作る映画にも、ちょっと憧れがあったとしてもね。

●唯衣花
つまり……わたしは温泉にはタオルを巻いて入る。
だけど巻かない派のひとにちょっと憧れもある……って感じ?


●巴
たぶん違うけどそれでいいよ。

ていうか、ひとが例えたのをさらに例えないでよ。
わけわかんないでしょ……。

●唯衣花
そっか……。残念だけど、仕方ないよね。

…………。

●巴
……でも、私がレッスンしてる横で、
アンタが一緒にレッスンするのは、アンタの自由よ。


そして私はミルフィーユを食べると機嫌が良くなるから、
そんな日は少しくらい、教えてあげることもあるかもね。

●唯衣花
……巴ちゃん。

うん! じゃあ毎日一緒にレッスンして、
終わったらここでお茶しようね!

●巴
誰も毎日だなんて……まあ、いいけど。

●唯衣花
やったー! じゃあこれからもよろしくね、巴ちゃん!

(おばあちゃん、どうやら唯衣花にも友達ができたみたいです)

(少し素直じゃないけど、
友達思いの、とってもいい子です!)

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「乖離するデザイア」第5話「恥じらいデイブレイク」

ーー廊下

●巴
そうね。レッスンといってもまだ最初だし……。

●唯衣花
基礎練習でも、なんでもばっちこい!
地道な努力が地力を作るんだよね!

●巴
とりあえず、手当たり次第、そのへんのユニットに
ケンカ売ってみましょうか。


●唯衣花
超攻撃的だった!?

●巴
別にふざけてないよ。
『ライブバトル』について、説明されなかった?

●唯衣花
あ……うん、聞いたかも。

●巴
かも?

●唯衣花
説明受けてる間、ちょっと精神世界に小旅行してて……。

●巴
……唯衣花って、少し変わってるよね。

●唯衣花
あはは……。よく言われる……。

●巴
ライブバトルは、学園内の公式試合よ。

勝敗数によってアイドルランクが変動したり、
それによって学園内での待遇も変わる。

ランクが高いほうが優先的に学内の施設を使えたり、
予算も当然、多くもらえるの。

●唯衣花
おお……。世はまさに。アイドル戦国時代……!

●巴
そういうこと。
自分の実力を知る意味でも、まずは適当に戦って……。

コテンパンのけちょんけちょんに敗北して、
失意のなか己の不甲斐なさに打ちひしがれるといいよ。

●唯衣花
だから言いたいこと分かるけど、
もう少し言葉を選んで欲しいな!


●巴
事実は正確に伝えないとね。

●唯衣花
(むしろ悪い方向に誇張してるよね?)

●巴
ええと、手頃な対戦相手は……。

●金髪のアイドル(セリア)
ふふふ……忍者的ヒキョー術の前に、
名もなきモブユニットは儚く散るのデス!


茶運び人形にトコロテン入り湯呑を運ばせて、相手が
飲めへんやないかーい! と動揺しているところを叩くデス!

●ギャルっぽいアイドル(佳奈恵)
モブ相手に反則技って、
アタシら相当追い詰められてない?


●関西弁のアイドル(楓李)
違うで佳奈恵はん。うちらはいつも全力なだけや。

知り合いの生徒に声かけたと思ったらまったく別人やったけど、
そのまま知り合いのテイで貫き通したときの彩はんくらい全力や。

●スリムなアイドル(彩)
ギャー! なんで知ってるのよ!?
アンタ学年違うくせに!


●巴
あれでいいか。

●唯衣花
別の意味で手頃でない気がするんだけど……。

●巴
いいから、ほら早く行きなさい。

●唯衣花
うん……。

(……えと、ライブバトルするのはいいんだけど)

●巴
どうしたの?

●唯衣花
な、なんて話しかけたらいい?

●巴
は?

●唯衣花
だってわたし、いつも1人だったから……。
たまにひとと話しても、余計なこと言っちゃうみたいで……。

●巴
ライブバトルの恥はかきすて。
仲良しこよしになろうってわけじゃないんだから。

●唯衣花
そうだけど……。うぅ……。

●巴
……分かった。仕方ない。
早く自分から話しかけられるようになってね。

●唯衣花
かたじけのう……。


(なんだかんだで、面倒はみてくれるんだ)

(というか巴ちゃんは、
どうして最初、わたしに声かけてくれたんだろう?)

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「乖離するデザイア」第6話「天衣無縫のシンデレラ」

ーーライブ会場


ーーステージ裏

●セリア
ふっ……負けたぜよ、完璧に……。
だけど、なぜか悪くない気分でありんす。


きっと、敗北の哀しみよりも、
新しき時代の到来を、喜ばしく感じてるからデスね……。

●佳奈恵
ついさっき100連敗したアタシらが言うと、
ひと月で100回時代が変わったことになるけど、そのへんOK?


●楓李
え、それは困るわ。うち、季節の変わり目に体壊しやすいねん。
何回夏風邪引くかわからんわ。

●佳奈恵
どうでもいいけど、誰か負けたことを悔しがったりしないの?

●楓李
悔いなんてあらへん。
悔いが残るほど、真剣にレッスンしとらんもん。

●彩
え? いや、私は普通に悔しいんだけど……あ、あれ?

●巴
……なんなの、このひとたち。
こんなヘンテコなアイドル、みたことない。


●唯衣花
…………。

(……勝っちゃった。初めてのライブバトルで)

(だけど、温泉旅館のステージとは、全然違った……)

(審査員のひとたち、全然笑顔じゃないんだもん。
おばあちゃんたちは、みんな喜んでくれたのに)


(みんな、真剣な目してた。
……そうだよね、アイドルは遊びじゃないんだ)

●巴
唯衣花。

●唯衣花
あ、うん! 巴ちゃん! わたし、ライブバトルに勝ったよ!

●巴
そうね、おめでとう。正直、信じられない気持ちよ。

相手も同じEランクとはいえ、唯衣花よりずっと経験値は上。
それを初戦で破るなんて……。


なんか、腹立つね。

●唯衣花
巴ちゃんって、感情表現が素直だよね。

●巴
……このひと、意外に才能あるのかも。
私レベルが見ても分からないけど、見る人が見れば……。

●お姉さまなアイドル(響香)
へー、またまた面白そうなニューフェイスじゃん。


●巴
っ!?

●セリア
響香! 響香じゃないデスか!

●響香
やっぴーセリア。最近、よく会うね。
どうよ、例の件は?

●セリア
順調デスよ。最終段階にきてるでありんす。

あとは30年前の凱旋門から、宇治抹茶粉末をばら撒いた
ハンドルネーム、まりもグリーンさんの協力さえ仰げれば……。


●佳奈恵
よくもまあ、そんな適当がベラベラでてくるよね。

ウチの弟たちも最近、
セリアの真似してわけのわからないことばっかり言ってるわ。

●響香
敢えてなぜとは言わないが、
それは阻止したほうがいいと思うぜアタシは!

●唯衣花
誰だろう……。なんだかセリアさんと似てるし、
もしかして同じEランクのひとかな。

●巴
……とんでもない。

●唯衣花
へ?

●巴
彼女は『天衣無縫の猫』風早響香。
学園最強のユニット『ヴァルキュリア』の現No.4よ!


●唯衣花
が、学園最強!? えぇ~!

●響香
やーやー、ご丁寧に紹介ありがとうね。

えっと、唯衣花ちゃん、だよね?
ちょっとお話があるんだけど、いいかな?

●唯衣花
話って、わたしに!? は、はいっ!

●響香
そんな固くならずに、りら~っくす。

●唯衣花
(そ、そんなこと言われても!)

(このひとが学園最強! 何か失礼があったら、
どんな目にあわされるか……あわわわわ!)


●響香
単刀直入に言うね。

さっきのライブバトルを見て、ピンと来たよ。
あなた、うちのレッスン受けてみる気ない?


●唯衣花
…………え?

えええぇぇぇ~!?

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「乖離するデザイア」第7話「戦乙女の裏側」

ーー校外レッスン場

●栞歩
はい! そこで立ち位置変わる!
アリス、足元は見ません!


●アリス
はいですわ!

●栞歩
アリス! 腕があがってないですよ!
背筋も伸ばして、身体が床と直角になるように意識して!

●アリス
は、はい~!

●唯衣花
……どうしてこうなった、わたし。

(この時間、本当なら椎茸をパック詰めして、
ひたすらベルトコンベアに流してたはずなのに……)


(そんなわたしがアイドル!? しかも学園最強のユニットに
目をつけられて、レッスンを見てろって!?)

(あわわわ……おばあちゃん!
唯衣花はいま、逃げ出したい気持ちでいっぱいなのです……!)

●栞歩
リッちゃんも少し前に出すぎです。
もう3センチ、つま先を引いて。

●唯衣花
(……でも、唯衣花は逃げません。
だって、これはわたしが望んだことだから)

(ちゃんと、勉強しなきゃ!)

●響香
…………。

●唯衣花
(わたしは素人だけど、それでも分かる。
みんな、すごくうまい……)

(動きは完璧に覚えてる。
誰も周りを見てないのに、まったくぶつからない)

(……あ、回るときも、身体が先で顔は最後まで
お客さんのほうを見てるんだ)

勉強になるな……。
実際にできる気はしないけど……。

(レッスンが終わって)

●栞歩
おつかれです、みなさん。
完成度はもう2歩、3歩足りないって感じですね。

●アリス
申し訳ございませんわ……。
ワタクシがまた、みなさんの足をひっぱって……。

●響香
えー、今日はアタシも間違えたし、
別にアリリンだけじゃないって!

あんまりジメジメしてると、頭にキノコ生えちゃうわよ!


●律
だけど、私のほうにはみ出してくるのはやめて。
逆ならお好きにどうぞって感じだけど。

●アリス
す、すみませんリツさん! 気を付けますわ!

●響香
そういうリッちゃんも、はける方向間違えたでしょ?
アタシは見逃さなかったけどなぁ。

●律
……目ざといわね。

●唯衣花
(あれだけ完璧にやっても、まだ全然納得いってないみたい……。
これが、学園No.1ユニットのレッスンなんだ……)

●栞歩
それでキョーカ、そろそろゲストの方を
紹介してくれませんか?

●響香
ああ、そうだったね。
チチチチチチ……おいでおいで~。

●アリス
そんな猫みたいに……。


●唯衣花
っ! よ、呼ばれてる!?

はい! ただいま~!

な、何か御用でしょうか響香センパイ!?


●律
猫っていうか、犬ね。

●響香
自己紹介してくれる?

●唯衣花
はいっ!

友守唯衣花! 14歳!
先週、この学園に転入してきました!

アイドル経験はありません! 日課は椎茸の仕分けとパック詰め!
いま一番欲しいものは友達です! よろしくお願いします!


●律
椎茸? 友達?

●響香
面白いでしょ、この子。

●律
まさかそれだけで連れてきたわけ?

●唯衣花
(え、そうなの!?)

●響香
さあどうだろうねー。
そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるよ。

●唯衣花
(結局どっちなの!?)

●律
まあ、どっちでもいいけど。

●唯衣花
(良くないよ! わたしが一番気になる!)

●栞歩
なんにしても、彼女のことはカノンが来てからです。
彼女がいないことには、何も話が進みませんから。

●アリス
というか、カノンさんはどうしたんですの?

●響香
新しいゲームの発売日だって言ってたよー。
予約もしてるけど、当日並んで買うのがロマンだーって言って。

●唯衣花
(え? そ、そんなことが、レッスンに優先するの?)

●アリス
……なら、仕方ないですわね。

●唯衣花
(仕方ないの!? 許しちゃうの!? えぇ~!)

(ダメだ。常人には理解できない世界だよ。
わたしもいつか、この環境に慣れるのかな……)

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「乖離するデザイア」第8話「チャンス」

ーー校外レッスン場

●律
……来たみたい。
ドタバタと、相変わらず品のない人。

●輝音
シホ、シリアルコード入りの初回限定盤が無事に手に入った!
2つあるから、いまから私の部屋で……!


……おや?

●栞歩
もうとっくにレッスンは始まってますけど。

●輝音
それはなんだ?

●栞歩
キョーカが連れてきたんです。
見どころがありそうだって。

●響香
可愛いでしょ~。髪の毛もふわっふわなんだから。

ほら、よしよ~し。

●唯衣花
あ、ちょっ、そんな撫でられると……。

●響香
よしよ~し。

●唯衣花
……く、くぅ~ん♪


●アリス
鳴きましたわ!?


●栞歩
本当にワンコみたいですね……。
尻尾をフリフリしているのが、見える気がします。

●律
……かわいい。


●響香
ねぇ、カノカノ。
ちゃんと世話するから、ここで飼ってもいい?

●輝音
ふむ、そうだな。犬は好きだ。

●響香
ホント!? やったー!
良かったね、ユイユイ!

●唯衣花
ユイユイ……。
というか、わたし、犬なんですか……?

●響香
ここは話をあわせて。
カノカノはNo.1の権力者だから、目つけられると恐いよ~。

●唯衣花
ワン! ワンワン!


●輝音
ただし、私が好きなのは、芸をする犬だ。
お前、何かできるのか?

●唯衣花
芸、ですか……。
椎茸……じゃない。家事全般は得意ですけど……。

(きっとそういうことじゃないよね。
芸、つまり、わたしの特技って言えるものって……)

えと……歌?


●アリス
えっ!?

●輝音
……ほう。

●唯衣花
あ、ち、違います!
いまのはつい、思ったことが出ちゃたというか……!

●律
『ヴァルキュリア』の前でそんなこと言うなんて、
この人もしかして……何も考えてない?


●唯衣花
あうっ!?

●響香
もしくは、よほどの大物かもしれないよ?

●輝音
まあいいだろう。ここに置いておく理由は、
私の暇つぶしの相手としてか、それともアイドルとしてか、どちらかしかない。


そして、本人が犬ではなくて、アイドルでありたいというのなら……。

●律
どうするつもり?

●輝音
勝負しろ、私と。

●唯衣花
え、えぇ~!?

●響香
良かったじゃん、ユイユイ。

●唯衣花
どこがいいんですか!?
無謀ですよ! だって相手はNo.1ですよ!

(……でもたしかに、勝つのは無理でも、
実力を認めてもらえれば、ここに置いてもらえるかも?)

(そうしたら、みんなと友達になって……)

●輝音
ちなみに、勝つ気のない勝負ならするなよ。
負けてもいい、などと思っている軟弱犬に、食わせる餌はないからな。


●唯衣花
あう…………。

●輝音
それで、勝負するのか、しないのか?

●唯衣花
(わたしの特技は歌。実際、これまでは周りの誰よりもうまかったし、
わたし自身も歌うことが大好きだった)

(だったら、これからも歌を特技だって言いたいなら……
勝負、するしかない)

やります!

●輝音
よく言った。

だがやるからには手加減はしない。
自信をへし折られても、泣くなよ?

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「乖離するデザイア」第9話「天性の才覚」

ーー校外レッスン場

●響香
そこまで! カノカノの勝利!

●輝音
なんだ、もう終わりか。
思っていたより、根性がないのだな。

●唯衣花
……負けた。
ちっとも、かなわなかった……。


(完璧な負け……。ていうか、勝てる気がしない。
ダンスも、歌も、次元が違う……!)

(これじゃ、もう歌が得意だなんて言えない……。
そうか、好きを仕事にするって、こういうことなんだ……)

●響香
ま、仕方ないよ。
相手はあのカノカノだしね。

●律
…………。

●栞歩
どうしたんですか、リッちゃん。
物欲しそうな目で唯衣花ちゃんを見つめて。

●律
そんな目、してない。

だけど、そうね、キョーカが連れてきただけはある。
……あのひと、化けると思う。


●栞歩
敏腕プロデューサーのあなたが言うなら、
きっと本物なんでしょうね。

●輝音
ふむ。おい、ワンコロ。

●唯衣花
は、はい……。

(わたしは学園No.1に逆らったんだ。
きっと、もう学園にはいられない)

(ごめんなさい、おばあちゃんたち。
ごめんなさい、巴ちゃん……)

(友達、たくさん作りたかったなぁ……)

●輝音
お前をヴァルプロに置いてやろう。
レッスンにも参加するといい。


●唯衣花
はい……すみませんでした……。
…………って、え?

なんの話ですか?

●輝音
だから、ヴァルプロにいることを許可すると言っている。
ありがたく思うんだな。

●唯衣花
え……えええぇぇぇ!?

(退学どころか、ヴァルプロ入り!?
何がどうなっちゃってるの!?)


●アリス
カノンさん! どういうことですの!?

●輝音
不服か?

●アリス
い、いえ! 決してそういうわけでは!
ですが、あの試合内容で、ヴァルプロ入りだなんて……!

●栞歩
あの試合内容だからです。
この子には、才能があります。


●アリス
さ、才能……。そうですか……。

●響香
よかったじゃん、ユイユイ! おめでとう!
これで友達もたくさんできるからね!

●唯衣花
あ、ありがとうございます?
正直、理解が追いついていないんですが……。

って、友達できるんですか?

●響香
まあ、ヴァルプロだからね。みんなに一目置かれるでしょ。
内部にも、同学年のアイドルもいるし。

●唯衣花
友達……!

嬉しいです! わたし、巴ちゃんしか友達いませんから!
一生懸命、サイン考えて見せあいっこします!


●栞歩
なんの話でしょうか?

●律
というか、ヴァルプロ入りよりも、友達できるって聞いた途端、
目輝かせなかった?

●輝音
ワンコロ、その巴ちゃんというのはなんだ?


●唯衣花
この学園に入ったばかりで、何も分からないわたしに、
手とり足取り、アイドルについて教えてくれた人です。

ちょっと……いえ、かなり変わってるんですが、
とても良い人ですよ? 今度、ご紹介させて――。

●輝音
必要ない。

●唯衣花
そ、そうですか……。分かりました。

●輝音
違う。紹介が必要ないと言っているのではない。

●唯衣花
だったら、どういう意味ですか?

●輝音
そんな友達、必要ないと言ったのだ。


●唯衣花
……え?

●輝音
どうせEランクの出来損ないだろう。
ヴァルプロに入るからには、これまでの交友関係は精算してもらう。

●唯衣花
ど、どうしてそんな!?

●輝音
『ヴァルキュリア・プロダクション』は、
常にトップを走り続ける最強の学プロだ。
そこに才能なき者がいては、悪影響だ。

もう一度言う。
その巴ちゃんとやらとは、縁を切ってもらう。


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「乖離するデザイア」第10話「信じる道を往く」

ーー校外レッスン場

●唯衣花
巴ちゃんと縁を切る……そんな……。

●輝音
まだ出会って日も浅いのだろ?
心配せずとも、もっと有益な友人は、ヴァルプロにごまんといる。

もちろん、この条件が飲めないのであれば、
ヴァルプロ入りの話はナシだ。


●唯衣花
(……おばあちゃんたちと、約束した)

(たくさん、友達を作るって……。
アイドルになって、テレビに出るって……)

(ヴァルプロに入れば、きっとその目標に近づく。
それどころか、これを逃したら、もうチャンスはないかも)

(だって、わたしはダメダメだから。
気が弱くて、言ってはいけないことを言って、空気を悪くもする)

(これは、本当に幸運な話。逃す手はない……!)

●響香
…………。

●唯衣花
あの、わたし!

わたし、ヴァルプロに!

っ!?


●輝音
どうした?

●唯衣花
…………。

わたし、ヴァルプロに……
やっぱり! ヴァルプロには入れません!


(……って、あれ!? わたしは何を!?)

●輝音
そうか。

●唯衣花
(入らなきゃ、ダメなのに……。
おばあちゃんたちと、約束したのに……!)

●律
あなた、断るということが、どういう意味かわかる?

●唯衣花
…………いえ。

●律
私たちは別に困らない。
でも、貴方が私たちに呼び出されたことは、知れ渡ってるはず。

それだけで、妬みの対象になるのよ。
しかも、誘いを断ったなんて、もし知られたら……。


●唯衣花
……孤立する、ですか?

●律
そうね。友達を作るどころか、
どこの学プロにも入れてもらえなくなる。

それでも、いいの?

●唯衣花
…………。

いいわけ、ないです。

でも、巴ちゃんを裏切るのは、もっといいわけがない。


だって、巴ちゃんは私の初めてのお友達だから。
こんなわたしに、唯一優しくしてくれたんです。

もしこの先、一生、他のお友達を作れなくなったとしても……。

わたしは、たった1人の巴ちゃんを大事にしたい。
だから、ヴァルプロには入れません……。

●輝音
そうか、残念だな。

●唯衣花
失礼します。

●響香
あ! ユイユイ!

●栞歩
……悪いことをしましたね。

●輝音
ふむ、理解不能だな。

●律
私が言うのもなんだけど、まだ若いんだと思う。
少し大人になれば、今日のことをきっと後悔する。

●アリス
…………。

●響香
マズったかな……。
アタシ、余計なことしたかも……。


●輝音
まあ、こっちの展開のほうが面白い。

彼女がヴァルプロで飼いならされても、
将来的には『ヴァルキュリア』の一員に上り詰めるだけだろう。


●アリス
ヴァ……! え、えぇ!?
だけって、どういうことですの!?


●響香
ヴァルプロに入らず、フリーだったらどうなるの?

●輝音
あんな温室育ちの小型犬なんぞ、十中八九潰れる。
だがな……。

もし、何か奇跡的に歯車が噛み合って、
彼女が私たちの前に立ちはだかったなら……。

今度は、喰い殺されるかもしれん。
オオカミのような、鋭い牙でな。


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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

© SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」を紹介します。


目次
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第1話「妹であるということ」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第2話「小さな星よ」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第3話「空に消える少女たち」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第4話「親フラグは堕天の予兆」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第5話「将来の展望」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第6話「勝利の証」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第7話「背負うべき重荷」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第8話「戦いの下準備」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第9話「お泊まりトーク!」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第10話「アダルトな夜更けに」
現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第11話「匠の業」

現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第1話「妹であるということ」

ーー学園内広場

●萌
やはりみなさん、それぞれ思うところがあるようですね。
ユニットごとの時間をとって正解でした。

他のユニットの様子も見に行きましょう。

この分だと、『GE:NESiS』以外は、
まともにレッスンしてないかもしれませんが……。

どうしました、プロデューサーさん?

●プロデューサー
ひなたがいた。

●萌
え? ひなたさんが?
1人で、ということですか?

妙ですね。お手洗い……にしては、
ずいぶんな遠出ですね。

……もしかして、プロデューサーさん。

●プロデューサー
追いかけよう。

●萌
そうですね。
そっとしておいた方がいいんじゃ……なんて、もう言いません。


お節介がプロデューサーさんの得意技ですからね。
存分に腕をふるってください! ええ!

ーー屋上

●ひなた
……………………。

……ダメだなぁ、あたし。
ちっとも変わってない。


自分で分かってるんだけどなぁ。
でも、どうしようもないよ……。

●プロデューサー
どうしたの?

●ひなた
……ふぇ? ぷ、プロデューサー!?
ど、どどどどどど……。

●プロデューサー
どどど?

●ひなた
どうしてここに!?

●プロデューサー
心配だった。

●ひなた
……そっか、見られてたんだ。

あ、でも、なんでもないよ!
ちょっと屋上の風に当たりたくて……!

●プロデューサー
どうしたの?

●ひなた
…………あー、やっぱり、ダメ?
あははは……。

……はぁ。ごめんなさい、プロデューサー。
あたし、いま、すごく落ち込んでる。

うん、お姉ちゃんのこと、だよ。
本当はね、妹じゃないって言われて、ショックだった。


お姉ちゃんはさ、あたしの憧れだから……。
お姉ちゃんの真似、たくさんしたよ?

でも、普通の人って、アイドルみたいに
キラキラしたドレスとか、着る機会ないじゃない?

そういうのって、
親の知り合いの結婚式くらいだったんだ。

だから親に無理言って、お姉ちゃんのお下がりの
キレイなドレスで、結婚式に行ったの。

そしたら、新婦さんよりも目立っちゃって……
当時、あたしは嬉しかったけど、
お母さんは冷や汗ものだっただろうなぁ。

あはは……とにかく、そのくらい、
お姉ちゃんはあたしの誇りだったんだ。

……ううん。いまだって、お姉ちゃんはあたしの誇り。

お姉ちゃんが褒められると、
なんだかあたしの心もふわっとなるの。

やっぱり、すごい人なんだなぁ、って。
あたし、この人の妹でよかったなぁ、って。

……でも、もう妹じゃないって言われると、
あたしってなんなんだろうね?

みんなの前ではね、気付かれないように
普通にしてたけど……やっぱり寂しいよ、プロデューサー。

この気持ち、どうしたら消せるのかな?
みんなに迷惑かけるくらいなら、こんな気持ち、なくていいよ。


●プロデューサー
なくさなくていい。

●ひなた
……プロデューサーは優しいね。
そんなプロデューサーだから、
あたしはここまで来られたんだと思う。

だけど……みんなの足、引っ張りたくない……。

●千尋
わたしたちも、プロデューサーさんと同意見だよ~。

●ひなた
えっ!?

●愛美
やっぱりここだったのね。
分かりやすいヤツ。


●ひなた
み、みんな!? えぇ!?

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第2話「小さな星よ」

ーー屋上

●ひなた
な、なんで……
こっそり抜けて来たのに……。

●和歌
ひなたー!


●ひなた
わっ、和歌!?

●和歌
もうっ! ひなたのバカっバカっ!
哀しいときは私を抱きしめて、
いくつもの夜を越えていけばいいのにっ!


そうしてひなたの流した涙は、
夜空に溢れ、煌めく星々に変わるのよ……。


●ひなた
う、うん……?
和歌、それって新しい歌詞?

●愛美
まあ、和歌は置いておくとして……。

ひなた、1人で抱え込むの変わらないわね。
仕方ないから、背中を叩きに来てあげたのよ。

●ひなた
ご、ごめん……。

●琴音
お姉さんのこと、だよね?

●ひなた
……そ、それは平気だよ~!
そうじゃなくて、スタフェスに向けて――

●千尋
ウソはダメよ、ひなたちゃん。
というか、プロデューサーさんとの話、聞いちゃった。

●ひなた
うっ。

●和歌
プロデューサーさんは頼れて、私たちは頼れないわけ?

●ひなた
え、ええ~? それは……。

●愛美
なら、頼りなさいよ。
正直ね、メンタルの調整なんて仕事の内だけど。


……アイドルの前に、私たちは友達よ。
泣いている友達を放っておけるほど、私はメンタル強くないわよ。


●ひなた
愛美ちゃん……。
うぅ……あ、ありがとう……。

●琴音
ひなたちゃんは、私たちのこと、絶対に放っておかない。
だから、私たちだって、ひなたちゃんのこと、放っておけないよ。

でも正直、私たちには何もできない……。
ひなたちゃんの、悲しい気持ちは消してあげられない。

それに、消しちゃいけないとも思う。

だって、その胸の痛みは、ひなたちゃんがお姉さんのこと、
本当に大好きだって証拠だから……。

●千尋
どうでもいい人に裏切られても、痛まないよね~……。
だからその痛みには、耐えるしかないと思うな~。


だけど、わたしたちは一緒にいるから。
何もできないけど、ずっと側にはいるよ~。

●愛美
そういうこと。頼れって言っておいて、
情けない話だけど……一緒に哀しむことはできるわよ。

●ひなた
みんな……ありがとう。
ごめんね、心配かけて……。

みんなの言うとおりだよ。
あたしは、どうしてもお姉ちゃんが大好き。

だからね、ちょっとだけ待ってて欲しいんだ。
いまはちょっと無理だから……無理してるけど。

きっと、立ち直ってみせるから。
そう、決勝までには、必ず。

●愛美
そうでないと困るわね。
ひなた無しじゃ『ヴァルキュリア』には到底勝てない。

●千尋
空に輝く1等星『ヴァルキュリア』……。
すごく、遠いところにいる気がする……。

●琴音
でも、1人じゃダメでも、みんなでなら、できる。

●和歌
私たちは5人で『Twinkle☆Star』。
精一杯、輝いて、『ヴァルキュリア』を食っちゃいましょう!


●ひなた
うん……うん……!

絶対に、みんなでスタフェスにいこうね!
そのために……必ず『ヴァルキュリア』を倒そう……!

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第3話「空に消える少女たち」

ーー空の上ーー

●瑠璃花
……ありえない。
ホンット、ありえない。

●茜
ごめん……マジでごめん。
今回ばかりは勢いってのを反省してる。


●瑠璃花
ダメ、許さない。

●茜
うぅ……。だ、だって……。

バンジーをやって瑠璃花との絆が深まったから、
もっと高いところから飛べば、もっと仲良くなれると思って!

●瑠璃花
だからってスカイダイビングはおかしいよね?
どうしてこんな無駄な行動力だけあるわけ?


スタフェスで優勝するなら、
空から飛び降りるくらいの覚悟がいる?

バカじゃないの? 飛び降りる覚悟が必要なのは、
地面に激突して死ぬときだけだと思うんだけど。

●茜
だ、大丈夫だって!
プロの人がたくさんサポートしてくれるし!

●瑠璃花
パラシュート開かなかったら死ぬ。

●茜
こ、怖いこと言わないでよっ!

●瑠璃花
時速200キロで地面に叩き付けられて死ぬ。

●茜
ひっ……ちょ、やめてって。
数字を出さないで、想像しちゃうから……。

●瑠璃花
諸説はあるけど、1000回に1回事故が起きる。
10万回に1回くらいは死ぬ。


●茜
い、意外と少ないね!

●瑠璃花
アメリカでは年間60人くらい亡くなってる。

●茜
ああ~! もう何も言わないでよぉ~!
アカネだって怖いんだから~!

●瑠璃花
降りる。母なる地球に。両足がべったり地面につく場所に。

●茜
いやでも、もうここまで来ちゃったし……。
偉い人からの企画だから、断れないし……。

●瑠璃花
バンジーで妥協とか……。

●茜
無理。

●瑠璃花
1人で飛んで。

●茜
そんなあ! もー、観念しようよ!
ほら! 瑠璃花のお母さんも見てるんだよ!

●瑠璃花
……ん? わたしのお母さん?

●茜
え?

●瑠璃花
え?

●茜
……あ、ヤバ。

●瑠璃花
お母さん、見てるの?


●茜
い、いやぁ……どうかなぁ。

●瑠璃花
ウソ……。お母さん、見てるの?

お母さん、アイドル活動なんて
興味ないって言ってたのに?

というかなんで知ってる!?
まさかお母さんと連絡とってるの!?


●茜
ト、トッテナイヨ?


●瑠璃花
解散する。

●茜
違う違う違う! ファンレターもらったことあるの!
でも変なこと話してないよ! ブログのことしか話してない!

●瑠璃花
ブログ教えたの!?


●茜
う、うん……。

●瑠璃花
…………。

茜。

●茜
うん……。

●瑠璃花
わたしと一緒に、死んで。


●茜
……は?

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第4話「親フラグは堕天の予兆」

ーー空の上ーー

●瑠璃花
ブログ見られてるってことは、配信も見られてる!
もう無理! 生きていけない!


●茜
瑠璃花、落ち着いて!

●瑠璃花
これが落ち着いていられる?
ねぇ、茜……。

みなさんこんばんちっ☆
みんなの天使、瑠璃花だよんっ!


とか言ってるの、親に見られるのどんな気持ちだと思う?


●茜
うわ……きっつ……。

●瑠璃花
……誰のせいだ。

もういい。リアルなんてログアウトしてやる。
茜も道連れだから。

●茜
あ、あーっ! ダメ! 押さないで!
行くときは自分のタイミングがいい!

●瑠璃花
そう。じゃあ覚悟ができたら言って。

●茜
ま、まずは深呼吸して……。

●瑠璃花
って、させるかー!

●茜
ぎっ……ぎゃあああああああああ!!!!!!!!

ーー山

●瑠璃花
最悪……死ねなかった……。


●茜
無事で良かったじゃん、えへへ……。

●瑠璃花
何笑ってるの? ショックのあまり壊れた?

●茜
ううん。えっと、落ちてる途中思ったんだけどさ。
一緒に死んでほしいとか、ちょっと嬉しかったなって。

●瑠璃花
はぁ……?

●茜
ふふふ、でもまだ死ねないけどねー!
絶対に、みんなでスタフェスに行くんだから!

そしたらアイドルとしての知名度もあがって、
瑠璃花とも、もっとずっと……。

●瑠璃花
ずっと……何?

●茜
分かってるくせに。聞くだけ野暮でしょ。

●瑠璃花
…………あっそ。

●茜
アカネたちは、2人で天使。


2人一緒じゃなきゃ、空も飛べないんだから。

●瑠璃花
飛ぶっていうか落ちてたけど。
つまり堕天使?

●茜
それはそれで。

●瑠璃花
堕天使、ね……。

まあお母さんにバレた以上、失うものは何もないし。
別に、それでもいいかな。

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第5話「将来の展望」

ーーレッスン場¥

●セリア
チェスト、スタフェス!!
敵は本能寺にアリ、でありんす!!

ママンもパパもテレビで観てくれるらしいのデス!
ここが桶狭間! ここが関ヶ原デス! ユピー!


●彩
本能寺か桶狭間か関ヶ原か、はっきりしなさいよ。

……はぁ。スタフェス予選が終わったら、
フェンリルバーガーのデラックスBOX食べよ。絶対。

●楓李
じゃあうちはアイドル辞めるわ。
有終の美を飾るってことで、ええな。


●佳奈恵
予選、勝ち残ったらスタフェス本戦だけど。
せめてそれまでは続けなさいよ。

……スタフェス出場って、就職で有利かな?

●セリア
ちょっとちょっと!
盛り上がりが足りないデスよ!

●彩
って、言われても……。

●楓李
毎日レッスンでクタクタやもん~。
はよスタフェス終わって楽したいわ~。

●佳奈恵
特別レッスンとかじゃなくて、
いつも通り頑張ろうってことになったけど。

●セリア
いつも通りといいつつ、ワタシたちだけ
鬼軍曹レイカのレッスンが続いてるデスからね……。

●佳奈恵
でも、やり甲斐はあるっしょ。
スタフェス出場も夢物語ってワケじゃないと思う。

●楓李
夢は夢やから面白いとも言うけどな~。

●彩
でも、楓李だってスタフェスいきたいでしょ?

●楓李
うわ、同調圧力やわ……。

●佳奈恵
ま~た、そういうことを言う……。

●彩
優勝して有名になったら、仕事増えるでしょうね。
そうしたらお金だって儲かるし、いいじゃない。

●セリア
……ま、でもいい機会かもしれないデスね。

●佳奈恵
え? なんの?

●セリア
スタフェスに出場できるにしろ、できないにしろ
アイドルを続けるかどうか、ということデス。



●楓李
え、あ……。

●彩
……そっか、そうだよね。
私もダンスに専念するとか……。

●佳奈恵
さっきは冗談で言ったけど、就活もできるのか。

●楓李
……そ、そやなあ。
うちも起業して、しーいーおーになる勉強したいし。

●セリア
忍者学校に転入して、
国家諜報組織ヤタガラスを目指すのもアリデスね……。

●彩
……じゃあ、最後のステージになるかもってこと?

●佳奈恵
そうかもね。

●楓李
……で、でも。優勝したら仕事がいっぱい来て、
ひょっとすると辞められなくなるかもしれへんな。

●佳奈恵
ああ~、有名漫画が連載を終わらせられない的な?

●彩
確かに「もったいない」って引き留められるかもね。
もしかしたら、舞台とかにも呼ばれるかも……。

●佳奈恵
アイドルを『仕事』にできるかもな。

●楓李
なんや、みんな俗物やなあ~。
でもそうなったら、アイドル続けてしまうやろ?

●全員
…………。

●佳奈恵
まあ……それで生活が成り立つなら……。

●彩
アイドル、好きだし。
続けていいなら、続けるわよ。


●楓李
……せやな。うちも、そう思うわ。

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第6話「勝利の証」

ーーレッスン場

●学園長
あらあら、みなさんおそろいね。
ちょっと様子を見に来ちゃった。

●セリア
お、タノモー! ガクエンチョー!

●学園長
レッスン中だったかしら?
邪魔してメンゴメンゴ。


●セリア
しからばゴメン。
いま、お祝いの準備をしてるのデス!

●学園長
あら、なんのお祝い?

●セリア
それはモチロン!
ええと……。

なんでもない日のお祝いでありんす!

●学園長
……そ、そう。楽しそうね。
混ぜてもらっていいかしら?

●セリア
そ、そんな! ガクエンチョーにとって
有益なことは何1つゴザランヨ!

むしろ、先日のヒキョー術合戦で肺に回った小麦粉が
あちきの体内に残っている故、
大規模なパンダミミックの可能性も……。


●彩
パンダのミミック? 何それかわいい。


●佳奈恵
パンデミックでしょうが……。

●セリア
そ、それではドロン!!
みなのもの、ずらかるでゴザル!

●佳奈恵
え? お、おう!

●楓李
なぁ、なんで逃げるん?

●佳奈恵
アタシもよく分かんない。
セリア、微妙に学園長苦手だから……。

●学園長
……ねえ、みんな!
学校は楽しいかしらっ!?

ーー廊下

●楓李
わ、なんか言うとるで。
お偉いさんやし、忖度したほうがええんちゃう?

●セリア
……ガクエンチョー。
その質問の答えは……。

よく分からないでゴザル!
ただ……。

●学園長
ただ……?

●セリア
本当に楽しくなかったら、とっくに学校なんて辞めてるデス!
ソコントコ、忖度してほしいでありんすよ!


●学園長
……そう。

●セリア
では、今後こそ。
風のように去るのみっ! うぃ!

●学園長
良かったわ……。あの時、引き留めて。

この先、あなたたちがどんな選択をしても構わないけど、
いまの時間を否定するようなことには、
なってほしくなかったから。

うふふ、私の勝ちね、セリア・ウエスギさん♪


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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第7話「背負うべき重荷」

ーーレッスン場

●更菜
スタフェスの舞台……もう、すぐそこだね。

麗華、どう? 前よりは緊張してない?

●麗華
逆よ。前よりも緊張してるわ。

だって前回は、みんなわたしのことなんか、見てなかったから。
でも今回は違う。わたしが、みんなを引っ張らないといけない。

背負っているものが、重い。
仲間が増えるって、こんな気持ちなのね。


●更菜
……そうだね。みんな、麗華のこと、頼りにしちゃってるから。

●希
何よ、大将がずいぶんと女々しいこと言うのね。
なんなら、いまからあたしと代わる?

●麗華
それはダメよ。
だって、希よりもわたしのほうが頼られてるもの。

●希
……冷静な顔で、はっきり言うわね。
だけど、案外実力的には、逆転してるかもよ。

●更菜
希……? な、何が言いたいの?

●理子
負けっぱなしは性に合わない、ってことさ。
なあ、そうだろ?

●美雪
有耶無耶になっていますが、私たちは以前、
お二人に完膚なきまでに負けましたからね。


●希
そういうこと。どうせ、これから必死にレッスンなんてして、
本番の結果が変わるわけでもあるまいし……。

ちょっと、面貸しなさいよ。
あたしたちと決着をつけましょう。

●麗華
いいわよ。

●更菜
ちょ、ちょっとみんな!
こんな時に何言ってるの!?

●希
こんな時だから、よ。
あたしたちは、仲良しこよしでアイドルやってるわけじゃない。


……麗華たちと一緒に上を目指したいって気持ちは本当だけど、
何もずっと麗華の下にいるとは言ってないわよ。

●理子
いまの環境が、上に行くのにあっていると思うから、ここにいる。

……少なくともアタシは『GE:NESiS』にいることに
特別強いこだわりを持っているわけではないよ。

だからこそ、必ずしも足並みを揃える気はない。

●美雪
私は希がやると言えばやりますわ。
それに……。

それに、私自身も、負けっぱなしは悔しいと思っています。

これまでのレッスンで成長したのは、
何も麗華さんだけではありませんから。

●更菜
み、みんな……。

●麗華
いいじゃない、更菜。
実力差を教えてあげましょう。

もしくは、わたしと更菜、それぞれソロになって
三つ巴の勝負でもいいけど。


●更菜
…………分かったよ。
そうだよね。『GE:NESiS』ってそういうグループだよね。

うん、私もソロで戦う。
…………全力で。


●希
オッケー。……それでいいのよ、更菜。

●希
強い人がみんなを引っ張る。
少なくとも『GE:NESiS』はそれでいい。

勝負よ、麗華、更菜!
勝った人がセンターだからね!

●更菜
えぇ!? このタイミングで!?
さすがにいまからフォーメーション変えるのは……。

●麗華
いいわ。

●更菜
麗華!?

●麗華
大丈夫、負けないから。

●理子
言うじゃないか。
だったら、アタシもソロで勝負するよ。

●更菜
理子まで……。

●希
うーん、理子までいないとなると、
美雪と2人じゃフォーメーション組みにくいわね。

じゃあ、あたしもソロで。

●美雪
私を切り離すのですか……?

●希
いいじゃない。
別に解散しようってわけじゃないんだし。

●美雪
のぞみーっ!

●理子
さあ、尋常に勝負!
決勝の前哨戦だ!


●麗華
どこからでもかかってくるといいわ。
わたしは、倒されないから。

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第8話「戦いの下準備」

ーープロダクション室

●萌
……さ、みなさん。有意義な時間は過ごせましたか?
いよいよ、本番は明日です。


●セリア
バッチリデス! ガクエンチョーの部屋で、
決起集会の鍋をしてきました!

●プロデューサー
鍋?

●楓李
しばらく学園長室は近寄らんほうがええで。
部屋にキムチの匂いが染み付いて、目がしばしばするからな。

●萌
予選決勝の持ち時間は30分。
私たちは1ユニットあたり、きっちり6分ずつ割いています。

ヴァルプロは間違いなく、最強ユニット『ヴァルキュリア』で30分、
フルで使ってくるでしょうね。

私たちのステージ順は……

『GE:NESiS』、『プリティ→プリンセス』、『Remuage』、
『銀河歌劇団』、『Twinkle☆Star』です。


……明日も朝早いですから、今日はもう解散しましょう。
みなさん、しっかり身体を休めてくださいね。

●プロデューサー
解散!

●全員
…………。

●萌
……あ、あれ? みなさん?
もう帰っていいですよ。

●麻里紗
そう、言われてもねぇ……。
なんというか……。

●瑠璃花
帰っても、明日の不安をレスバトルで発散させるだけ。
だから、別に……。


●萌
いや、寝ましょうよ。

●寧々
ね、眠れないと思います……。
怖い夢、見そうで……。

●美雪
希! きょ、今日は是非、私の家に泊まってください!
そして、同じベッドで……。


●希
え? ……まあ、構わないけど。

●和歌
同じベッド……?

そ、その手があった! ひなた!


●ひなた
ほぇ?

●晴海
コラコラ。

●麗華
……じゃあ、何? みんな今日は帰りたくないってこと?

●全員
(コクコク)

●萌
そうは言っても、明日は大事な本番ですし……。
どうしましょう、プロデューサー?

●プロデューサー
一緒に泊まる。

●萌
……はぁ。そう言うと思いましたけど。

●くるみ
やったー! お泊りですー!


●愛美
え? ホントに!?
だったら、化粧品とか取りに帰らないと……!

●萌
でも強制ではありませんよ。
身体をゆっくり休めたい方は、もちろん帰っても大丈夫です。

●楓李
あ、ほんならうちは……。

●理子
ま、この状況で断るやつもいないだろう。
士気を高める意味でも、重要だ。

●楓李
わーい、同調圧力~。


●ひなた
みんなでお泊り……。

うん、すごく楽しそう♪
お話したいこと、たくさんあるしね♪

●萌
いや、でも寝てくださいね?

●佳奈恵
大丈夫だよ。いつまでも起きてるやつがいたら、
アタシが寝かしつけるから。

弟たちで慣れてるんだ、そういうの。

●悠
佳奈恵先輩の寝かしつけ……ごくり。


●くるみ
よくわからないですが、なにか期待しちゃうです……ごくり。

●琴音
……家から、トラぴょん連れてこなくちゃ。


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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第9話「お泊まりトーク!」

ーーレッスン場

●ひなた
……ねぇみんな、もう寝た?

●琴音
わ、私はまだ、です……。
やっぱり、緊張して……。

●ひなた
じゃあ、もうちょっとお話する琴音ちゃん!?
ほら、前にプロデューサーが間違えて、晴海ちゃんのジャージを……。


●希
しないわよ! いま何時だと思ってんの!?


●ひなた
ひゃぁっ!? ご、ごめん!

●千尋
ふぁ~……ひなたちゃん、あれだけ話したのに元気だねぇ~……。
わたしはもう、眠くて眠くて……。

●晴海
というか、プロデューサーが私のジャージを……何だろう?
すごく気になるんだけど……。

●ひなた
あ、えっとね……。

●希
ひなた!

●ひなた
……ごめんなさい。

●晴海
待って! そこだけ聞かせてほしいなひなたちゃん!

●悠
麻里紗先輩、自分たち、銀河幼稚園でもいい気がしてきました。


●麻里紗
んん? 急にどうしたの?

●悠
自分たちより、ひなた先輩たちの方がひどい気がします。

●くるみ
はい! くるみたちが幼稚園なら、
ひなたさんたちは動物園です! がおー!

●麻里紗
……そういう安心の仕方は、感心しないわね。

●寧々
動物園……予選が終わったら、みんなで行きたい、かも……。

●晴海
いいね、寧々ちゃん!
……動物園って、蟻さんもいるかなぁ。

●くるみ
蟻さんは、どこにでもいると思うです。

●更菜
あの、もう、空が白んでくるんですけど……。
みなさん……。


●麗華
本当に明日……じゃない、今日、本番なのかしら?

●愛美
夜更かしはお肌の敵なのに……。

●佳奈恵
彩はもう寝てるけどね。

●彩
うーん……もう食べられない……。
フェンリル~……。

●更菜
う、嘘……。
いまどきそんな絵に描いたような寝言を……?

●理子
そんな真面目に驚かなくても……。

●楓李
でもこれ、面倒くさいパターンやで。

みんなでお喋りしている間に自分だけ寝てたことを知ったら、
なんで起こさなかったのよって逆ギレするんや。

●希
うわ……面倒くさ……。

●美雪
自分で寝たのに、ですか?
私には理解しかねるのですが……。

はっ! もしかして、何か心のご病気ですの!?

●佳奈恵
病気、ならよかったけどねぇ……。
病気は治せるからねぇ……。

●セリア
それがアヤというものデス。
でもハンバーガーあげたら、すぐに忘れるでありんす。


●和歌
かわいそうな人ね……。

●愛美
…………。

●茜
いいからもう寝かせてよ~……。
アカネちゃん、夜は弱いんだから……。

●瑠璃花
勝手に寝ればいいのに。

●茜
みんなが話してると気になるじゃない。

●瑠璃花
何が?

●茜
寝てる間に、アカネの文句言われそうで。

●瑠璃花
…………こっちも面倒くさい。

●麻里紗
大丈夫よ、誰も茜ちゃんのこと、悪く言ったりしないわ。

●茜
うぅ……嬉しいけど、やっぱり不安で眠れない……。

●瑠璃花
悪口は起きてるときに堂々と言う。
だから気にしないで。

●茜
それはそれで普通に傷つくからね!?


●プロデューサー
寝たほうがいい。

●寧々
ぷ、プロデューサーさん!?
どど、どうしてここに!?

●萌
私が呼んできたんです。
プロデューサーに言われれば、さすがにみんな寝るかと……。

ふあぁ~……私はもう限界です……。

●琴音
すみません……緊張して、眠れなくて……。

●麗華
だけどプロデューサーの言うとおりよ。
そろそろ寝ないと、ステージに支障がでるわ。

眠れなくても、目を閉じてじっとしているの。
それだけでも、全然違うから。

いいわね?

●全員
はーい。

●萌
まったく、相変わらず緊張感がないというか……。
いや、緊張しすぎてこうなってるのでしょうけど……。

とにかく、今日のステージ、期待していますから。
今度こそおやすみなさい。

●ひなた
……………………。

(身体は、疲れてる……。
でも、みんなといつも通り話せて、緊張が解れたかも)

(あたしは1人じゃない。
和歌と2人だけ、でもない)

(みんなで、23人……!
23人で、1つのプロダクション!)


(今日は、楽しもう。
最高のステージをして、そして……)

(絶対に、勝つんだ……!)

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第10話「アダルトな夜更けに」

ーーレッスン場

●彩
それでそれで!?
その人の、どんなところが好きなの!?

●和歌
うーん、そうですねぇ。
本人は本当にダメダメなのよねぇ。

片付けもできないし、1人じゃ目的地にたどり着けないし……。
私がいないと生きていけないから、仕方なく
一緒にいてあげようかなぁって思ってます。


●彩
きゃー! 和歌って意外と尽くすタイプなのね!
名前は!? イニシャルだけでも教えて!?

●和歌
ダーメ。乙女の秘密です。

●ひなた
くかー。

●和歌
ぐふふ……。
寝顔もおいし……じゃなくて、かわいいんだから……。


●萌
いや、あの……もう寝ませんか?
というか、乙女の秘密、ちっとも隠れてませんが……。

●彩
だって全然眠くないんだもん!
私が寝てる間に、みんなで話してたんでしょ!?

●萌
彩さん、真っ先に布団に入ってましたよね?

●理子
そうだぞ。いい加減に寝ないと、
本当に本番に支障が……ああ、眠い……。

●彩
理子は?

●理子
ん?

●彩
理子は、どんな人がタイプ?

●理子
なっ!? な、何を急に……。
そんなこと、考えたこともない!

●和歌
理子さんもしっかりしてるから、
面倒をみたいタイプなんじゃないかって気がします。

●理子
勝手に決めるな!
アタシはアイドル一筋だ!

●彩
えー、アイドルだって恋愛していいじゃん。
じゃあ……他に起きてる人は……。

●千尋
……ん~?

●寧々
ね、眠いです……。

●更菜
私は、さっきまで眠っていたので……。

●美雪
私はさっぱりですわ。
もう、寝るのを諦めましたの……。

●彩
じゃあ、そこの4人!
右から順に好きなタイプは!?


●彩
千尋から! はい!

●千尋
え、えぇ~……。
うーん、そうだねぇ……。

やっぱり、一緒にご飯を美味しく食べてくれる人かなぁ~。
わたしにとって、それが一番幸せかも~。


●和歌
千尋さんらしいですね。
だけど、作ってる側からしたら特に大切なことですよね。

●寧々
あ、え……わ、私は、その……。
ぞ……ゾンビを倒してくれる人、ですか?


●和歌
そんな、例の黒いアレみたいに言われても……。

●更菜
あ、じゃあ私は、ゾンビは倒せなくてもいいんで、
例の黒いアレを倒してくれる人がいいです。

私、本が好きで部屋にもたくさんあるんですけど……
そのせいかよく、その……出くわすので……。


●美雪
私は……そうですわね。
奥ゆかしい方が好きかもしれません。

●彩
奥ゆかしい?

●和歌
慎み深いってことですよ、彩さん。

●彩
恥ずかしがり屋さんってこと?
それって理子みたいな?

●理子
どうしてアタシが恥ずかしがり屋なんだ……。

●彩
だって好きなタイプを聞いたら、
顔を赤くしてたじゃない。

●理子
べ、別に赤くしてなんか……!


●美雪
理子さんが恋人……。
そうですわね、もしそうだったら、毎日見ていて飽きないですわね。

●理子
美雪まで! というか、それってどういう意味だ!?

●寧々
ゾンビも倒せそう……。

●理子
倒せない! 倒したことないからな!

●更菜
例の黒いアレなら、大丈夫だよね?
ほら、前に麗華の部屋で。

●理子
あ、あれは、みんな怖がってたから……。
進んで倒したわけじゃないぞ?

●千尋
ご飯も残さず、美味しそうに食べてくれそうだね~。

●理子
それは否定しない。

●萌
うーん、そう考えると、
理子さんはみんなの理想に近いんですね。

●更菜
頼りになりますから。

●千尋
たしかに~。そうかもねぇ。

●美雪
まあ! 理子さんが!?

●寧々
……あり。

●理子
な、なんでそうなるんだ……。
一体、なんの話をしている?

●和歌
私はひなた以外、認めるつもりはないわよ。

●萌
もう名前言っちゃってるじゃないですか……。

●彩
じゃあじゃあ、改めて、
そんな理子の好きなタイプは!?

●理子
いいから、みんなもう寝てくれないか……はぁ。

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現世(エイドス)サイド:第25章「夜明けの光」第11話「匠の業」

ーーレッスン場

●理子
分かった。また今度話してやるから、もう寝よう。
な、それでいいだろう?

●彩
ダメ、今夜は寝かさない!
朝まで女子トークするんだから!

●理子
だ、だから! 今日は決勝戦の本番だと……!

●希
だー!!!! うるっさーーーい!!!!


●寧々
わっ!? 希、さん!?

●希
いま何時だと思ってるのよ!?
みんな寝てるんだから、静かにしなさいよね!

●更菜
希まで……。
『GE:NESiS』、麗華以外は起きちゃったけど、大丈夫かな……。

●千尋
理子ちゃんが、みんなにとって理想の恋人だって話をしてたんだよ~。


●希
全部聞こえてたわよ!

●希
理子が、恥ずかしがりながらも、
例の黒いアレを美味しく食べてくれる、理想のゾンビって話でしょ!?


●理子
は、はぁ!?

●萌
混ざってます! 色々混ざってますから!

●千尋
きっと、寝ぼけてるんだねぇ~。

●寧々
理子さんが、例のアレを……恥ずかしそうに、食べる……。
……想像、しちゃいました。
ううぅぅぅ……。


●理子
やめろ! 変な想像するな!

●希
いいから寝なさーい!
ゾンビみたいな顔で、ステージに立ちたくないでしょ!?

●佳奈恵
……仕方ない。ここはアタシの出番かな。

●彩
佳奈恵? 起きてたの?

●佳奈恵
起きたんだよ、アンタらがうるさいから。

●更菜
すみません、はしゃぎすぎちゃいました……。

●佳奈恵
大丈夫。ダントツで彩の声が一番うるさかった。

いつまでも寝ない悪い子は、本気見せてあげるよ。
アタシの寝かしつけで、オチないやつはいないからね、


●彩
い、一体何を……。

●佳奈恵
こいつだよ。

●更菜
それは耳かき……ですか?

●佳奈恵
あまりの極楽さに、
全身の力が抜けてふにゃふにゃになるのさ。

さあ、まずはアンタだ彩!
こっちにおいで!

●彩
やだ! まだ寝たくない!
みんなでお話するの!

い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


●佳奈恵
カキカキカキカキ~……。

●彩
あっ……あっはぁ~ん………。
…………ぐぅ~。

●寧々
お、オチた!?
ものの3秒で!?

●佳奈恵
次は理子だよ。

●理子
あ、アタシは自分で寝るから……。

●佳奈恵
いいからコッチに来な!

●理子
や、やめっ! そんな恥ずかしいことは……!

●佳奈恵
カキカキカキカキ~……。

●理子
……すー。

●和歌
あ、オチた。

●萌
す、すごいです、佳奈恵さん。
みんなのお姉さん、恐るべしですね……。

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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

© SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】小説『革命の季節』(Remuage)

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、特設サイトで公開されていたWeb小説『革命の季節』(Remuage)を紹介します。

小説『革命の季節』(Remuage) ●執筆:木尾寿久


 ぐつぐつぐつ。

 応接用の机に堂々とカセットコンロと鍋が置かれており、その周りを三人の女学生が取り囲んでいた。

「春は革命の季節デス。だから組織のトップである、学園長の部屋で鍋をしましょう」

 何が「だから」なのか一切不明だが、非公式アイドルユニットRemuageのセンターであるセリアの思いつきから、今回の企画が実行された。

「なぁ、セリア。本当に大丈夫なの?」

「さすがにマズくね?」

 彩と佳奈恵は額に汗を浮かべながら、しきりに入口を気にしている。

 学園長に許可をとっているわけがない、というか、許可が下りるわけがないので、ふたりの心配はもっともだった。

「バレたら退学になっちゃう……」

「ダイジョーブ! その時はみんなでニンジャ学校へ行くでありんす!」

「全然大丈夫じゃないんだよねぇ。履歴書に中退とかつけたくないじゃん」

 佳奈恵は落ち着かない様子で体を揺すって、乾いた笑いを浮かべた。

 セリアだけが上機嫌だった。

「ダークサイド鍋ではないデスが! いいですねぇ! 鍋! ウキウキしますねっ! オー! ブギョー! シラスのおサタ!」

「鍋って季節じゃないけどね」

 彩はため息を吐いた。

 ふたりが逃げないのは友情と好奇心、それとスリルを味わいたいがためである。ふたりは、何だかんだでセリアに振り回されることを楽しんでいるのだ。昨年からの付き合いで、彩と佳奈恵のブレーキは少しずつ摩耗し、いまではほぼ壊れていた。

「お鍋もいい感じデス」

 コンロの火力を弱める。煮えてきたようだ。

「だいたい、学園長室で鍋って意味分からない」

「発想が異次元なんだよね。セリアって、絶対弟たちには会わせられない。ちょー悪影響」

 佳奈恵は、家にいる弟たちの顔を思い浮かべて、渋い顔で唸った。

 その矢先、学園長室の扉が、トントンと鳴った。

「げっ!」

「ああ……また怒られる……」

「むむむっ! まだ鍋に手をつけてもいないのにっ! だがしかーし! こんなこともあろうかとっ! ちゃーんと鍵をかけておいたのでありんすっ!」

「なるほどっ! って、学園長ならカギ持ってるでしょ!」

 どや顔のセリアを彩がはたく。

 ガチャガチャガチャッ!

 激しく扉のドアノブが鳴った。

「というかノックあったんだから客じゃん? ここはやり過ごすのもありなんじゃ?」

「そ、そうよね」

 しかし、常にふたりの斜め上を行くのが、セリア・ウエスギというアイドルだった。

「はい! いま出るでありんす~!」

 ガチャリ。

「「セリアっ!?」」

「だって、お客さんを待たせちゃいけないって、ママンが言ってたでありんす」

「アンタの客じゃないでしょ!」

 無情にも学園長室のドアは開かれる。

 入ってきたのは、どこかぽけっとした表情の生徒だった。

「あれ? ここ学園長室やなかったっけ?」

「そうデスよー」

「あれ? あんさんは? キレイなガイコクジンさんやなぁ~」

「カワイイニホンジンデスね~!」

「おおぐろーばる! ないすとぅーみーちゅー?」

「ないすとぅみーちゅーちゅ~!」

「ちゅ~!」

「いぇ~!」

「さ、よく来たな勇者よ!」

「勇者ぁ~? ちゃうで? うちは……なんやろ?」

「ニンジャか!? ヘイケか!? ゲンジか!?」

「あえて言うなら、はいぱーまるちめでぃあくりえいたー、棗楓李や。よろしゅう」

 そう言った楓李は部屋を見渡す。彩と佳奈恵に気づき、会釈した。

「どうもなぁ~」

「あ、どうも」

「どうも……」

 そして楓李はふたりに近づくと、一緒に鍋を囲んだ。

「……なんか、おかしくない?」

 彩の疑問はもっともだが、言い出しっぺのセリアが至極当然のような顔をしているので、それ以上は何も言えなかった。

「退学届け出しに来たんよ」

「おー! 今までお勤めゴクロウ様でした!」

 いい感じに具材が煮えて、そこそこお腹にたまって来た頃には、セリアと楓李はすっかりうち解けていた。

「楓李って高等部一年でしょ? 入学式が終わってすぐじゃないの」

「せや、まあ繰り上がりやけどな。うちは中等部からおるから」

「でも、なんでこの時期に?」

 入学早々に退学したいとは穏やかな話ではない。彩は腕を組んだ。

「ああ、都会に馴染めへんかったんや」

「それは慣れるんじゃないかな? せっかくアイドルになるために入ったのに、もったいない気がする」

「先輩風でありんすか、アヤ。良いこと言うでありんす!」

「そういうわけじゃないわよ!」

「彩はん……ええひとやなぁ。おおきに。でもごめんな、今の嘘や」

「何で嘘をつくのよ!」

 彩は楓李を何度も指さして、佳奈恵を見た。まあまあと佳奈恵はなだめるが、その顔は笑っている。

「本当はシャバに戻りたくてな~?」

「シャバって……」

「学園なんて牢屋みたいなもんや」

「そう? ここは自由な校風だと思うけどね」

 佳奈恵は肩をすくめ、髪をかき上げる。アイドルの育成を行うこの学園は、自由な校風を売りにしていた。

「というか、そのシャバっていうのも嘘でしょ。本当のことを言いなさいよ」

「なんや、意外とガツガツくるねんな。ばりけーどな理由があるかもしれへんやろ?」

「デリケート、ね」

 ひとを見た目で判断するのはよくないと、彩は思う。だが、このお気楽えせ京都弁アイドルに、そんな深刻な理由があるとは思えなかった。

「まあ、あえて言うならロマンやね」

「ロマンでありんすか!」

 セリアは勢いよく白滝を掲げた。汁が飛び散り、彩が小さく悲鳴を上げる。

「せや。高校一年早々、特に理由もなく辞めたらおもろない? それも学園長に直接退学届け出しに行くんや! びっくりするで!」

「ああっ! わかるでありんす! 退職届を持って社長室に行く! ロマンですありんすね!」

 意気投合するセリアと楓李はジュースで乾杯した。彩は理解できないという顔でため息をつき、佳奈恵は腹を抱えて笑う。

「くっくっくっくっ。うっ、ふふふっ、ひっくっ、バカじゃないの……?」

「佳奈恵って、実は変な人好きだよね……」

「じゃなきゃセリアや彩とつるまないでしょ」

「私もなのっ!?」

 彩の呆気にとられた反応が面白くて、佳奈恵はさらに声をあげて笑った。

「……はぐはぐ。ああ、美味しぃ! このお肉とか、味が染みてて」

「鍋ブッギョー! そのきのこ! きのこは食べていいでありんすか!」

「あ~白滝や。嫌やわぁ~。これぐにゃぐにゃしてて嫌いやねん」

「じゃあアタシにくれ。って、おい! 何全部持ってってんだっ!」

「こんな不味いものを人に押し付けるのはあかん。任せてな~」

「独り占めしたいだけじゃんっ!」

 鍋は盛り上がっていた。

 ただただ、盛り上がっていた。

「楓李って、小学生からずっとアイドル活動してたんよね?」

「せやで。ず~っとや。親もそうなんや、だからかな~?」

「ああ。子供は絶対にアイドルにっ! って?」

「おー! サラブレッド!」

 親がアイドルだったり、業界系だったり、著名人だったりすることは神楽ヶ丘学園には珍しくない。

 しかし楓李の雰囲気は、およそ小さいころからアイドルとして育ったようには感じられない。

「それも嘘?」

 半眼で彩が楓李を見た。

「ちゃうで、これはホンマやわ。ただうちはほら、別にアイドル興味ないんや」

「無理やり入れさせられたのか」

「うーん。それもちゃうねんけど……」

 三人が顔を見合わせると、楓李はヘラリと笑った。

「つまりな? うちはず~~~っと、幼稚園からアイドル教育の毎日やったからな?」

「ああ、流されるまま高校まで来たってことでありんすな?」

「せや。これ、エスカレーター式のつらいとこやな」

「ユピー! 無受験進学! エスカレーター社会!」

 セリアは声をあげ、がビシッと無意味にポーズを決めたた。「ユピー!」というのセリアの口癖で、日本語では「イェイ!」というようなニュアンスだ。「階級社会ではないと言われる日本社会! しかし実態は、親の職業年収交友関係から教育によって子のステイタスが~~!」

「ま、そうゆーことやな、あはは」

 佳奈恵はその笑いが何か落ち着かず、ジュースに口をつけた。

 気が付けば鍋の賑わいはどこかに消え、部屋は静かになっている。

「アイドルって、才能と努力だけやないやろ? 意外と残るだけなら、才能がなくても努力も半端でも、ずるずるずるずる続いてしまうんや」

「あー、それは分かるかも」

 同調するように呟いたのは、佳奈恵だった。

「うち、ラーメンは伸びてるほうが好きやけど、どうせトップアイドルにはなれへん。だったら、なんも意味あらへん」

「そ、そんなことないんじゃないかな……」

 彩は思わず口を出した。

「何が?」

「え……いや……ええっと。別にトップアイドルになるだけが道じゃないっていうか」

 きっとトップアイドルになれる。誰も、そうは言わなかった。

「三ツ星シェフだけで世界が回ってるわけじゃないからねぇ」

 佳奈恵は同意しながらも、居心地の悪さを感じていた。

(というか、なんでこんなマジっぽい話になってるの?)

 真面目な話は自分たちに似合わない。さらに本音を言えば、恥ずかしい。だから佳奈恵たちは、大きな声をあげ、はしゃぎ、問題を起こす。すべてはただの照れ隠しなのだ。

 佳奈恵は、セリアならこの空気をぶち壊してくれると期待した。なにせ、セリアは不真面目系アイドルRemuageの長だから。

 しかしセリアは佳奈恵の視線に気づくと、目を瞬かせ、笑顔になり……。

「ちゅっ」

 ウインクと投げキッスをした。

 佳奈恵は見なかったことにした。

「でもな? みんな二流になりたくてがんばってるわけやないやろ? それやのに一流になるくらい頑張るのはイヤなんや。そんなことするぐらいなら、手を抜いて三流になった方がミジメやない。そしたら、才能があったのかなかったのかは誰にもわからんやろ?」

 佳奈恵と彩は居心地悪そうに聞いている。アイドル学校に入るということ自体が目的の、いわば遊びに来ている彼女たちにとってはつらい話題だ。

「本当に一流アイドルになりたいなら頑張ればええだけなんやけど。うちはやる気ないから無理や。だったら何か他の夢でええわ。公務員とかITえんじにあとかバスの運転手とかいろいろあるやん。興味はないけど」

「ええっと、それでもいいの?」

「難しい話やね。文系の専攻した学生がシェイクスピアに興味あるかって話やない?」

「それは何か違うんじゃないか?」

「せやろか? 少なくともアイドルは楽しいけど、何やっても、ああ、自分がっかりやなぁ~って分かるから、うちは嫌やわ」

「フウリは意識が高いのデスねぇ」

 ずっと黙っていたセリアは、ふわりと笑って言った。

 楓李はあっさりと頷く。

「あ、せやで? 意識高い系やから、うち」

「でも楓李は、きっと大物アイドルになると思うデスよ」

「……ん?」

 楓李は、いまの話の流れでどうしてそうなるのか、理解できなかった。

「うちが何をどうしたら大物になるんや?」

「ママンは言ってまシタ。苦しんで迷った人ほど大きくなるって」

「うちは苦しんでへんけど……よく道には迷うけどな?」

「あはは、アヤとカナエと同じで強がりでありんすねぇ~」

 彩と佳奈恵は急に出た自分の名前に驚くが、セリアは気にしない。

「フウリはアイドルが好きでしょうがなくて、どうしたら良いか分からないのでしょう? わかりますよ。あちきも、いやワタシたちも、どうしたら良いか分からないのは同じデスから」

「……うちは」

 楓李は何かを言いかけた。

 それはセリアに対する反抗だったかもしれないし、素直な気持ちを吐露しようとしたのかもしれない。

 だけどその先をセリアたちが聞くことはなかった。

「「「あ?」」」

「む?」

 ガチャリと音がして、扉が開かれる。

 ここの学園長室の主、久石かぐらが帰ってきたのだ。

 罰として校門周りの掃除をしてきなさい。学園長の久石かぐらはお説教のあとにそれだけ言うと、次は自分も鍋に誘うことをセリアに約束させ、解放した。

「ガクエンチョーは話の分かるヤツでありんすねぇ~」

「心臓に悪かった……なんか名前覚えられたし、私……」

「アタシもだよ。うぅ~、家に電話が来るとかないよな?」

 神楽ヶ丘学園の校門前で、四人は箒をもって立っていた。

「うちは退学でも良かったんやけどなぁ。そしたらレジェンドやで。……というか、彩はんたちはそれが目的やなかったの?」

「違うわよ……」

「そうなん? つまり、ただの変な子なんやね」

「アタシ、楓李には言われたくないなぁ」

 罰として言い渡されたものの、Remuageのメンバーと楓李が、それを素直にこなせるわけはなかった。掃除はすぐにグダグダになり、口数ばかりが増えていく。

 そしていつの間にか完全に手は止まり、ただただ、無駄話だけが止まらなくなっていった。

「君たちは全くアイドルとしての自覚が足りない……。そんなことでトップになれるとでも? くいっと眼鏡を上げるデス」

「私、なりたいです!」

「そうか、ならばこれからはジャンクフードなど食べられないデスよ?」

「じゃあ諦めます」

「オィィ! 諦めんなよ! もっとヤマト、熱く燃え上がれデスよ! ……はい次」

「うちはアイドルになって三億円貯まったら世界旅行するわ~。ギアナ高地とか、マリアナ海溝に行きたいんや」

「い、いや、絶対によく分からず言ってるよね?」

「はーい! アイドルって就活に有利ですか~?」

「おら、面接に髪染めてくるなでありんす! 全く、最近のギャルはこれだから!」

「セリアも染めてるじゃん。はげるよ?」

「ああ、これカツラでありんすから」

「「「え」」」

 雑談はどこまでも続いていく。

 やがて立っていることも面倒になった四人は、コンビニ前にたむろする不良のように、校門の端に座り込んだ。

「三億円あったら何ができるデスか?」

「レジェンドアイドル賞を買い取るとか?」

「完全に賄賂だから!」

「汚いわぁ、佳奈恵はん……」

「アイドルとのふれあいチケットつければ余裕でありんすよ」

「「やめろ」」

「天才やね」

「そしたら武道館でカブキアイドルデビューとかできそうでありんすねぇ」

「アタシはギャル雑誌の表紙とか飾りたいなぁ」

「自分の曲のPVで踊りたい……」

「あとは……そうやなぁ。三億円あったらアイドルとか、やりたいかもなぁ」

 楓李の呟きに、三人は一瞬口を閉ざして考え込んだ。

「アイドルかぁ……」

「アイドルねぇ……」

「アイドルでありんすか……」

 さらに短い沈黙。

 そして、セリアが口を開いた。

「アイドル。……やるでありんすか?」

 誰も返事はしなかった。

「……春は革命の季節でありんすからなぁ」

 不敵に笑うセリア。

 次の瞬間には、箒を放って校舎へ戻っていった。

「ちょ、セリアどこ行くの?」

「アヤ、止めてくれるな! 時間は待ってくれないのでありんす!」

「あー、掃除はいいわけ? 一応これ、罰だったんじゃないの?」

「せやせや、うちはやり遂げるでぇ。それで体罰やってメディアに訴えるんや。衆人環視の前で肉体労働に従事させられたって」

 楓李はダラダラと掃除を再開する。

 しかしセリアがぐるりと引き返してきて、楓李の腕をとった。

「フウリ、そんなのほうっておけばいいのでありんす! どーせ後で怒られるだけで済むのデスから!」

「うち、怒られるの嫌やけど……」

「それならあちきの所為にすれば良いでありんす!」

「あ、ちょっ! セリアはん! や、ややわぁっ! どこ行くんっ!?」

 楓李はズルズルとセリアに引かれていく。最初は抵抗していたが、セリアの強情な態度に、すぐに諦めた。

「大きな戦いの前には準備が必要! イザというときに塩を送られているようではダメなのでありんす!」

「せやろか? うーん、そうかも。……うちの人生、流されっぱなしやな」

「ほら、アヤとカナエも行くでありんすよ!」

 彩と佳奈恵は目を合わせ、小さく笑いあう。

 そして箒を放り出すと、セリアのあとを追った。

 校門には、投げ出された箒だけが残っていた。

 四人の様子を見に来た久石かぐらはそれを拾い上げ、ぽつりと呟く。

「こどもよねぇ」

 アイドル養成の場であるこの学園では、仕事というものが学生のうちから絡むため、大人びた子が多い。そんななかで、あの四人は珍しいタイプだと言えた。

 好きなことしかできない子、誰かに決めてほしい子、必要以上に背負い込む子、何も背負いたくない子。かぐらには、そう見えた。

(才能ということなら、この学園の子はみんなもっているけど……それに気づけないひともいる)

 楓李の退学届けは、一度、教員経由で出されていた。ただ親の許可がなかったため、なかったことになった。だから楓李は、直接学園長室に乗り込んできたのだ。

 もしセリアが学園長室にいなかったら……自分は、退学届けを受け取ってしまっていたかもしれない。

(Remuageの一員になるのかしらね)

 そうならいいと、かぐらは思った。

 セリア・ウエスギを筆頭とした非正規ユニットに対して、彼女はある程度の知識を持っていた。

 というのも、セリアたちの存在は度々教師たちの中で問題になるからだ。

 所属アイドル全員が、学園を辞めようとしたことがあるか、辞めさせられる可能性があった。

 特にセリアは一年前の入学式、優秀な成績でフランスからやってきて「この学園は、ツマラナイところデスね」と、かぐらに対して言ってのけた。

 ゲームとアニメとドラマに負ける、夢も希望も華やかさもない場所。

 機械化されてしまった伝統技法。……アイドルの、ジャイロパレットのようだと。

「絶対に、前言撤回させてみせるんだから」

 かぐらは散らばった箒を片付けて、校舎へと戻っていく。

 Remuageがアイドルというものに対して、どう向き合っていくのか。

 それは本人たちもあずかり知らぬところで、意外にも重要な意味をもっている。

青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

c SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】最終イベント「青空の見える明日へ」

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、サービス終了直前に行われた最終イベント「青空の見える明日へ」を紹介します。


目次
「青空の見える明日へ」第1話「混ざり合う思惑」
「青空の見える明日へ」第2話「明日のために」
「青空の見える明日へ」第3話「ラブ∞ビューティー」
「青空の見える明日へ」第4話「妹という存在」
「青空の見える明日へ」第5話「『電脳少女R×K』」
「青空の見える明日へ」第6話「幼馴染の距離感」
「青空の見える明日へ」第7話「サイレントラブ」
「青空の見える明日へ」第8話「愛を秘すれど愛であれ」
「青空の見える明日へ」第9話「茜ちゃんと天使たち」
「青空の見える明日へ」第10話「正義と小悪魔、肩を組む」
「青空の見える明日へ」第11話「『RESONANCE』」
「青空の見える明日へ」第12話「未来を掴む可能性」
「青空の見える明日へ」第13話「前に進むということ」
「青空の見える明日へ」第14話「並び立つ意味」
「青空の見える明日へ」第15話「自分らしさとチカラ」
「青空の見える明日へ」第16話「越えるべきカベ」
「青空の見える明日へ」第17話「共鳴する才能」
「青空の見える明日へ」第18話「やり残したこと」
「青空の見える明日へ」第19話「見せたい景色」
「青空の見える明日へ」第20話「青空の見える明日へ」
「青空の見える明日へ」第21話「絶対王者の休息」

「青空の見える明日へ」第1話「混ざり合う思惑」

ーープロダクション室

●ひなた
プロデューサー、萌ちゃんおはよー!
今日もレッスンじゃんじゃんやって、スタフェス予選を勝ち抜こう!

●萌
はぁぁ……おはようございます、ひなたさん。

●ひなた
あれ? なんか2人とも、元気なさそうだね?

●プロデューサー
ちょっとね……。

●萌
ええ、ちょっとですよちょっと。
我が学プロに残されている予算がね……。


●ひなた
ええっ!? ちょ、どういうことなの!?

●萌
……というわけで、最近ライブバトルが出来ておらず、
すっかり予算的な余裕がなくなっているのですよ。


●麻里紗
なるほど……『将を射んと欲すれば先ず馬を射よ』ということね。
すっかり考えが抜けていたわ。

●麗華
その辺り、いつも萌とプロデューサーに任せていたもの。
いつまでもあると思っていたわけではないけれど……。

●萌
すみません、経験者と言えど力不足でした。
アイドルである皆さんに、このようなことを意識させるなんて……。

●学園長
いいのいいの! 萌ちゃんは固くなりすぎよ♪
ねー、ひなたちゃーん?

●ひなた
そうそう! 学園長の言うとおりだよー!

……んぅ?
学園長、うちの学プロだったっけ……?

●麗華
随分と、自然にわたしたちに混ざっていたようだけれど……。

●麻里紗
というか学園長はどうしてここにいらっしゃるんですか?

●学園長
やんやんっ、私だって永遠の17才なのよぅ?
なんといっても元アイドルなんだから、いてもいいでしょう?


●プロデューサー
……。

●学園長
せっかくだし、カワイイ衣装いっぱい着せてもらっちゃお♪
るんるん♪

●萌
かなり乗り気だ!!
この人、冗談抜きでやりかねないので却下です却下!!

……それで、学園長?
急にやってきて何かご用でしょうか。

●学園長
ご用も何も、いいお話を持ってきたのよ。
新進気鋭の学プロであるあなたたちへ、ちょっとしたボーナスね。

今から1週間後、学プロで今までの成果を発表してもらうわ。
例えばだけど、全員参加のライブでもいいわ。

そこであなたたちが、私を満足させることが出来たら~……。
萌ちゃん、電卓貸して?

●萌
あっ、はい。

●学園長
ん~、これがこうなって、こうで、ここを~……。

はい、これだけの予算をあげちゃいますっ。

●プロデューサー
ゼロがいっぱい……。

●萌
やります、やります!
ぜーったいに満足させてみせますので予算ください!!

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「青空の見える明日へ」第2話「明日のために」

ーー茶室

●麗華
……と、萌が二つ返事で答えてくれたおかげで、
わたしたちにチャンスが生まれたわけ。

●茜
それ本当にかなりの額をもらえるのよね?
わりに合わないなら、アカネやりたくなーい。

●ひなた
わかんないけど、数えられないくらいゼロがいっぱいだったよ?

●茜
アカネが絶対、学園長を満足させてみせるわ!

●晴海
急に目の色変わったね……。

●セリア
ヤレヤレ……ビンボーは清らかと言う言葉を知らぬデスか?
マッチャ・ラテでも飲んで落ち着くでありんす。


●麗華
そんなオシャレなものを飲んでいる人間が、
清貧を語るのはどうかと思うのだけど……。

●セリア
ガーン! あちきはジャポンが好きなだけデス!

●麗華
はいはい、落ち着いて。
みんなを集めたのは、今後について話し合うためなのだから。

あくまで成果を発表することが目的なの。
スタフェス予選での戦いを前に、ちょうどいいとは思わない?

●ひなた
うん! しかも上手くいったら予算もゲット!
プロデューサーたちもホッとするよね?

●晴海
たしかに……いつも私たちのために走り回っている
プロデューサーさんと萌ちゃんのためにも、頑張りたいな。

●茜
だったら、相当面白いことしないとじゃない?
うちのユニットで新曲出すときでさえ、チョー大変だったわよ?

●セリア
ウムム……いっそ、キヨミズの舞台から落ちるあちきを、
『Remuage』全員で受け止めるとか、どうデスカ!?

●ひなた
じゃあじゃあ、落ちたセリアちゃんを消すマジックもやっちゃう?

●セリア
ヒナタのジャポン忍術とあちきのニンジャ☆ジャン☆ダイブ!
これで学園長は大笑いの過呼吸で間違いなしでありんす!


●麗華
危ないからダメよ。

●ひなた&セリア
えー!!

●晴海
……あのさ、私もやってみたいことがあるんだけど、いいかな。

前に合宿で、色々あったじゃない?
あの時のアレで、パフォーマンスやるのはどうかな。

●麗華

まさか晴海、シャッフルユニットをやろうというの?


●茜
否定するわけじゃないけど、それってホントに大丈夫?
アカネ、瑠璃花としか組めないから2人組なんだけど。

成果を出すなら、今のまま最高のパフォーマンスを
見せるだけで十分な気もするけどなぁ。

●ひなた
あたしは、晴海ちゃんに賛成かな。

●晴海
ひなたちゃん……。

●ひなた
だってほら、普通にやって喜んでくれるなら、
茜ちゃんも苦労してなかったはずだよ。

●麗華
それに、学園長は元々カリスマ的なアイドルだもの。
演出に喜びはすれど、普通だと思われるでしょうね。

●茜
……そうね。
たしかにそれは一理あるわ。

●晴海
実は、あの時使ったクジがまだ残ってて。
全員分の組み分けを出来るように、ちゃんと準備してあるよ。


●麗華
なるほど……。
なら、集まって顔合わせをするところから1週間を始めましょう。
そしてそれぞれが成果を披露し、予算を勝ち取る……いいわね?

●ひなた
うん! スタフェス前哨戦、学プロフェスだね!
よーし、それじゃあさっそくメンバーを決めよう!

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「青空の見える明日へ」第3話「ラブ∞ビューティー」

ーー学食

●更菜
あのー、もしかしてここがAチームの集合場所ですか?

●佳奈恵
チーッス。更菜が来てくれて安心したよー。
このチーム、いよいよ3年生チームになってきたね。

●麻里紗
私と佳奈恵はやりやすいけれど、更菜は遠慮しちゃうわよね。
気にせず話しかけていいから。

●更菜
ま、麻里紗さん、佳奈恵さん、ありがとうございます……!
それじゃあ、失礼して……。

突然のシャッフルユニットですけど、
これって今後のスタフェスをこのメンバーで臨むわけじゃないですよね?


●佳奈恵
そうなんだよなぁ。
いきなり決まって、アタシたちも結構びびっちゃった。

スタフェスにそんな変則的なルールなかったのになぁって。
ま、麻里紗や更菜と組めて嬉しいんだけどさ。

●麻里紗
ふふっ、さっきまでセリアちゃんたちを心配してたくせに、
更菜の前では強がるのね、佳奈恵ってば。

●佳奈恵
ひ、ヒトのこと言えないでしょうが!
そっちだってそわそわしながらコーヒー飲んでたくせに!

●麻里紗
言わないでよ、もう!
仕方ないじゃない……。

●更菜
あわわ……お二人とも、落ち着いて……!

●???(ひなた)
そうよ! 私が来たからにはもう安心よ!


●麻里紗
この声は!?

●ひなた
やっほー、みんな元気?


●更菜
なんか、ゆるっとひなたさんが入ってきましたね。

●愛美
私もいるっつの!

●麻里紗
愛美、ひなたちゃん。
Aチームのメンバーって、もしかしてこの5人?

●ひなた
そうだよー。
あたしたちはシャッフルユニットAチーム!


●愛美
ユニット名は決まってるわ!
セクシー悩殺アイドルユニット『ラブ∞ビューティ―』!!


●佳奈恵
まーた自分! って感じのユニット名だなぁ。
それ、千尋と琴音の3人でやってたやつでしょ?

●愛美
ふんっ、ラブ、インフィニティ、ビューティー。
ただの『ラブ・ビューティー』とはわけが違うのよ。

●ひなた
昨日寝ないで考えてくれたんだって。
愛美ちゃん、さっきまで白目むいてたんだよ?

●更菜
すごい熱意ですね……流石は愛美さん。

●佳奈恵
と言いつつ、更菜はこのユニット名、恥ずかしいんじゃない?

●愛美
なぁ~にぃ~……?

●更菜
ちょ、ちょっと佳奈恵さん!?
変に煽って、愛美さんを怒らせないでください!

●麻里紗
はいはい。
とにかく、異論がなければユニット名は愛美のものでいくわよ。

●ひなた
んー、あたしも特にこだわりないからいいよ!
えっと……なんとかインフィニティなんとか、で登録してくる!

●愛美
『ラブ・ビューティー』だけ抜かすなー!!


●更菜
あわわ……ほ、本当に大丈夫なんでしょうか……。

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「青空の見える明日へ」第4話「妹という存在」

ーー学食

●佳奈恵
なるほど、メンバーをシャッフルして作ったユニットで、
パフォーマンスをすることで、学園長を驚かせようってことか。

●麻里紗
良くも悪くも個性的な子が多い学プロだから、
その辺りが上手くまとまれば、たしかに評価はされそうだわ。

●愛美
というかひなた? アンタ、クジ運良くて助かったわね。
こんなにセクシーなメンバー、そうそう集められないわよ。

●ひなた
たしかに! みんなとってもスタイルいいもんね!
羨ましい限りだよー。


●更菜
んなっ!? ちょ、あ、あんまり見ないでもらえると……!


●愛美
あら、更菜ってばアイドルなのに恥ずかしがり屋ね。
もっと自信を持っていいと思うけど。

●ひなた
あっ、そうだ!
ギュって抱きついてもいい?

●愛美
なんでよ!?

●ひなた
えーい!

●更菜
わひゃあああああ!?

●ひなた
えへへ……こうやって抱っこすると、安心するでしょ?
これやると和歌が大喜びするから、よくやるの。


●愛美
あの子ホントに何させてんのよ……。

●ひなた
でも、悲しい気持ちとか嫌な気持ち、吹き飛んだでしょ?

●更菜
……ホントですね。
なんか、ちょっといいかも……。

●麻里紗
あ、あの、ひなたちゃん?
私にもよかったら、試してもらってもいいかしら?

●佳奈恵
うーん、なんでかな。
アタシもちょっと気になるというか、なんというか。

●ひなた
うん! 任せてよ。
あたし、抱き上手だってお姉ちゃんにも褒められたことあるし!

●愛美
ちょっと、話し合いは!?
なんでみんなしてひなたに夢中なのよ!

●更菜
なるほど……今の話を聞いていて、
この気持ちを理解することが出来ました。

●愛美
どういうことなの、更菜!

●更菜
ひなたさんにはお姉さんがいる……。
そして、いつも世話を焼いている和歌さんに甘え慣れている。

つまり、ひなたさんは妹属性です!
3年生の私たちが甘えられたら、ひとたまりもありません!


●麻里紗&佳奈恵
おお……なるほど。

●愛美
いやいや、全然理解ができないんだけど。
なんでみんな納得してるの?

●ひなた
ねえねえ、愛美ちゃんも抱っこしようよー。

●愛美
うっ、うるさいわね!
そんなことより早くレッスンして、1週間後に備えるわよ!

私、絶対に負けたくないんだから!
アンタたちも遊んでないで、ほら着替えに行く!

●更菜
は、はひっ!

●麻里紗
あらあら……愛美ってばやる気いっぱいね。
これは1週間、いいトレーニングになりそうだわ。

●ひなた
……でも愛美ちゃん、いつも以上に張り切ってるみたいだけど、
何かあったのかな。

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「青空の見える明日へ」第5話「『電脳少女R×K』」

ーー瑠璃花の部屋

●琴音
あの……その、ええっと。
ルリちゃん、なんで家に連れてきてくれたの?

●瑠璃花
ユニットBチーム。
わたしとコトちゃんで組んで、1週間後に成果発表。


●琴音
それは、うん。知ってるよ。
クジの結果、私とルリちゃんで組むんだよね。

●瑠璃花
辞退しておいた。

●琴音
ええええぇ!?
が、学プロみんなで参加しないとなのに?

●瑠璃花
そんなルール、どこにも書いてない。
明文化されていないルールは、ただの暗黙の了解。

書いてないけどそういうもの、で通すのがリアル。
わたしはそういうのが嫌だから、コトちゃんとネット配信する。


コトちゃんはとても可愛い。
だから、コラボすればきっとブログのアクセス数も伸びるし。

●琴音
褒めてくれるのは嬉しいけど、
私は学プロフェスに参加したいなぁ。

●瑠璃花
……え? ネット配信じゃダメ?

●琴音
うん……一生のお願い、使っちゃおうかなって考えるレベル。

●瑠璃花
コトちゃん、どうでもいいことに一生のお願い使い過ぎ。
もう2回くらい転生してる計算になる。


●琴音
だって……大好きなルリちゃんと一緒のユニットで
アイドル出来るなんて、嬉しかったから……だから……。

●瑠璃花
わかった、わかった。
もういい、リアルは嫌いだけどコトちゃんのお願い聞く。

だから、あんまり好きって言わないでほしい。
どう反応していいか困る……。

●琴音
え? でもルリちゃんたち恋愛ソングとか歌うよね?

●瑠璃花
そういうの、関係ないから。
コトちゃんは変なところで鈍いの、矯正した方がいい。

●琴音
えっ、ええ?

●瑠璃花
はぁ……だけど、やるにしろ少しくらいご褒美もらいたい。
そしたらやる気も出るのに。

●琴音
ご褒美と言えば、今回の学プロフェスで結果を出したら、
ものすごい額の予算が入ってくるらしいよ。

●瑠璃花
え? なにそれ、聞いてないけど。

●琴音
ええっとね……いち、じゅう、ひゃく、せん……。
これくらいの予算が、うちに入るって。

って、ルリちゃんどうしたの?
驚いた顔して……。

●瑠璃花
コトちゃん、今から辞退撤回してくる。
その後2人で、色んなユニットにライブバトルしに行こう。

●琴音
ホントにどうしたの!?

●瑠璃花
わたしたちが強くなるには、実戦で場数を積むしかない。
それで、データとネットの力を駆使すれば……。

きっと予算獲得も夢じゃない。
それを使って、新しいカメラとかPCとかも買えるかもしれない。


だから、今だけ本気出す。絶対勝つ。
あの日買い逃した最新機種を、この手に掴むために。

というわけで、今から作戦会議しよう。
飲み物取ってくるから、ちょっと待ってて。

●琴音
ううっ……完全に変なスイッチ入っちゃった。
ルリちゃん、珍しく勝つ気満々だけど……。

お金に意識、いきすぎちゃってるのが気になるなぁ……。
モチベーションが下がらないように、私がカバーしないと!

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「青空の見える明日へ」第6話「幼馴染の距離感」

ーーライブ会場

●審査員
しょ、勝者! 謎のアイドルチーム!

●瑠璃花
ふっ……こんなのネットの炎上を鎮火させるのより簡単。


●琴音
うわぁ、勝っちゃった。
なんでこんなあっさり……。

ーー控室

●瑠璃花
コトちゃん、ナイスファイト。
楽曲の合間で見せる表情とか、すごく良かったと思う。

●琴音
う、うん……褒めてくれるのはとっても嬉しいけど、
ルリちゃん心なしかイキイキしてない?

●瑠璃花
最新式のPCのためなら、どんなことでもやる。

それに、コトちゃんとクジ引きで一緒になれたのも嬉しかったし。
親友と一緒になれるって、思わなかったから。


●琴音
あっ……そ、それなんだけど、ルリちゃんに謝らないとと思って。

●瑠璃花
え? なんの話?

●琴音
実は、最初ルリちゃんと一緒になる予定だったのが
茜さんだったの。


●瑠璃花
はぁ!?

●琴音
だよね、だよね! そういう反応になるよね。
そのままだと『プリティ→プリンセス』のままになっちゃう。

それで、茜さんから相談されたの。
クジを交換させてもらったから、ルリちゃんをよろしくねって。

●瑠璃花
……プロデューサーに連絡して、
今年の年末は茜1人で無人島送りにしてもらおうか。


●琴音
寒空の下で無人島ロケはつらいよ!

●瑠璃花
いや、ロケとかじゃない。
カメラもマイクも無しでいこう。いわゆるドッキリ。

●琴音
ドッキリどころか、心臓が止まりかねないから!?


●瑠璃花
ふふっ。コトちゃん、いつの間にかツッコミ上手になった。

●琴音
はい、親友で遊ばない!
ルリちゃんだって、いつの間にかノリノリになってるし。

●瑠璃花
……それは、コトちゃん相手だから。

●琴音
ううん、それだけじゃないよ。
さっきのライブバトルだってそう。

私のことを引っ張るような立ち回りだったり、
心の底から嬉しそうに笑って、歌ってて……。

そんなルリちゃんが見られて、泣きそうになっちゃったよ。
ちょっとだけ、夢かなって思ったけど。

●瑠璃花
わたしも、コトちゃんがちょっとイジワルになったのには
正直ビックリしてた。

嫌なイジワルじゃないけど、知ってたコトちゃんと違う。
いっぱい、色んな経験したんだね。

●琴音
ふふん。私これでも、アイドルの卵だからね。
ルリちゃんだってそうでしょ?

●瑠璃花
………………。

うん。
わたし、アンダーガールズ。アイドルの卵だよ。


閉じた世界からわたしを連れだした誰かさんのせいで、
これからも大変な目に遭う予定。

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「青空の見える明日へ」第7話「サイレントラブ」

ーー学園内広場

●和歌
それで、晴海と美雪さんは同じCチームってことね。


●美雪
はい! 私は麗華さんからそのようにお伺いしております。
このように、クジをいただきましたので。

●晴海
美雪さん、他の子たちのユニットは見かけました?

●美雪
いいえ……ただ、誰かがゲリラでライブバトルを
仕掛けて回っていて、学園で騒がれているらしいですけれど。

●晴海
……セリアさん、かな。

●和歌
そうね。
以前も似たようなことをやってたし。

さて、それじゃあ周りも動いていることだし、
私たちも作戦を考えることにしましょうか。

●楓李
あっれ~、みんななんでこんなところにおるん?
ここはCチームの場所やで。

●晴海
楓李ちゃん! もしかして、私たちと一緒のCチーム?

●楓李
うちはCチームやけど、ソロやと思うんよ。
セリアはんには、そっちのがおもろい言うておいたんで。


●和歌
いやいやシャッフルって言ってるのに
なんでソロになりたがるのよ……。

●楓李
おお、頭ええな和歌はん。その通りや。

●美雪
そう言われると、確かにその通りですわね。

●晴海
とりあえず、楓李ちゃんも一緒に作戦会議しよ?
1週間後に備えて、どんなことをするのか。

●楓李
それはええけど、なんや珍しいらいんなっぷやなぁ。
和歌はん、美雪はん、渡辺はん……。

●晴海
だから、なんで私だけ苗字なの!?
下の名前で呼んでいいんだよ!?


●楓李
この4人ってどういう集まりなんかな。
わたっ……晴海はんはなんか気付くことある?

●晴海
そんなに難しいお願いしたかなぁ?
う、うーん……ええっと、そうだなぁ。

趣味が近い、とかかも?

●楓李
へぇ~、そうなんや。
和歌はんはあいてぃーとか好きなん?

●和歌
え、違うけど。ひなたですけど。


●晴海
最近、ホント隠さなくなったよね……。

●楓李
そういう晴海はんはアレやろ、アリ。

●晴海
う、うん。巣を家に置いて、眺めたりしてるの。
みんな一生懸命で可愛くて……。


●楓李
うちはな、床でゴロゴロして床の温度を均一に保つのが好きや。
結構な肉体労働なんよー。

●和歌
……それは、サボってるだけなのでは?

●楓李
美雪はんは何が趣味、とか好きなもんとかあるん?

●美雪
私ですか?
私は、この学プロで過ごす時間が大好きですわ!


●楓李
まぶしすぎる答えや……。

●和歌
純粋すぎる好きな気持ちって、なんかこう、
自分が煩悩まみれなことを自覚させるからダメよね……。

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「青空の見える明日へ」第8話「愛を秘すれど愛であれ」

ーー学園内広場

●晴海
じゃあ、大好きなものがあるけど周りには恥ずかしくて言えない、
『サイレント・ラブ』ってユニット名で。


●和歌
私は断然、主張していきますけどね。
言葉には魂が宿っているので。

●楓李
おー、和歌はんきれっきれやないの。
合宿の件からだいぶ強いボール投げるようになったなぁ。

●美雪
ボール……? 和歌さんは会話をされているだけで、
特に球技はたしなまれていないと思うのですけれど……。

●晴海
会話のキャッチボールに例えて、ってことだと思いますよ。

●美雪
ああっ、理解いたしましたわ!
楓李さんも晴海さんも、博学でございますわね!


●楓李
……若干めんどくさいメンバーやな。

●和歌
あなたが絶対言っちゃダメなセリフだからね、それ。

●楓李
でも、うち今回のシャッフルユニットはホントにやる気あるんよ。
めんどいし、しんどいけど、やらんとあかんこと見つかったし。

●晴海
え? それってどんなこと?

●楓李
んー、昔な?
色々とアイドルっぽいことしてた時期があるんよ。

そんでな、その時に毎日やらんとそのうちダメになってまう、
って言われてたレッスンがあったんで、久々にやろう思うててん。

●美雪
……やめてしまわれていたのですか?

●楓李
まあ、うちは謎多きアイドルやから。


●和歌
一気に嘘くさくなったけど……なら、私たちも混ぜてくれる?

●楓李
えぇ……? うちの大事なメモリーやのに、
なんでみんなに教えなあかんの……?

●美雪
お願いいたしますわ、楓李キャプテンさま!

●晴海
センターとかリーダーならわかるけど、
キャプテンじゃあ楓李ちゃんには刺さらないんじゃないかな。

●楓李
まず両足を肩幅で開くやろ?
次にお腹の上に手を置いて、腹式を意識しつつ息をするんよ。


●晴海
えー…………。

●美雪
こうで、しょうか……。
すぅ……はぁぁ……。

●楓李
その通りや。美雪はん、なんですぐできるん?
うち、最初は全然できへんかったのに。

●美雪
うふふ。
『GE:NESiS』についていくには、これくらいできませんと。

●和歌
ねえ、晴海。
今回のユニットだけど、楓李にセンターをやらせてみない?

●晴海
えっ? 別にいいけど……何か理由でもあるの?

●和歌
楓李って、いつもわからないことばっかりしてるし、
これからも多分そうだと思う。

だからこそ、センターに置いた時にどんな価値観で私たちを
動かそうとするのか、見てみたい気持ちになったの。

●晴海
……うん、そうだね。
普通にやるより、面白いことになりそう。

●晴海
それに今のレッスンもちゃんと理にかなってると思う。
もっと色々聞いて、試してみたいかな。

●和歌
実際はただの腹式呼吸だけどね。
だけど1週間後、どんな仕上がりになるか楽しみになってきたかな。

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「青空の見える明日へ」第9話「茜ちゃんと天使たち」

ーーレッスン場

●茜
はーい、Dチーム集合して~。
カワイイ天使なアカネちゃんの顔が目印で~っす。


●悠
ウッス! 皆さんよろしくお願いします!
自分、このユニットが上手くいくように精一杯努力します!

●理子
悠と希……は、ともかく、
千尋や茜と組むのは、なんだか新鮮な感じだなぁ。

●千尋
だよねぇ。
わたしは麗華ちゃんと組んだことはあるけど、理子ちゃんとは
レッスンするぞー! って関係じゃなかったものねぇ。

●希
そういう意味では、いい機会になりそうね。
茜は多少、その態度を自重してもらうからね!

●茜
えーっ! アカネという可愛いアイドルの元に集まったんだから、
崇め奉り敬いまくりなくらいがちょうどいいのに~。

●悠
自分、どうせ敬うなら理子先輩がいいです!
なんだか自分と同じニオイがするので!


●理子
ニオイ……?

●千尋
すんすんっ……理子ちゃんも悠ちゃんも甘いニオイがするけど
おんなじではない気がするなぁ。

●悠
そ、そういう話じゃないです!
剣道やってるってお話聞いたので、似た者同士なのかなって!

●理子
今はアイドルメインで、時々やるぐらいだけどね。

●悠
というわけで、自分に剣道の極意を授けてください!
ひいては舞沢家の発展のために、どうかひとつ!

●希
あーあ、完全に熱血ノリじゃないの。

●茜
せっかくカワイイユニットにしようと思ってたのに、
そんな暑苦しいのいやー!

●千尋
ん~? でも茜ちゃん、まんざらでもなさそうだよね?

●茜
うぇ!?
な、なに言いだすの千尋さん……。

●千尋
本当は、こうやってみんなで言い合えるユニットで
ホッとしてるんじゃないかなぁ、って思って。


それに、さっきの希ちゃんだって、
茜ちゃんが可愛いのを認めたうえで自重しろって言ってたでしょ?

●希
ちょ、ちょっと!?

●千尋
それって、気の置けない人にしか言えないよねぇ。
わたし、このユニットで仲良くやっていけそうでよかったよ~。

●茜
う、うう……。

うにゃあああああああああ!!

●悠
……すごい勢いで、どこか行きましたね。

●希
いや……悪いことは言ってないけど、
あんなに正確に気持ちを言われたら、そりゃ恥ずかしいでしょ……?

●千尋
うふふ、茜ちゃんはいつもあんな感じだし、
たまには素直に褒めてあげた方がいいんじゃないかな~って。

●理子
いいか、悠。
こうやって洞察力を身につけたものが真の一撃必殺を手にするんだ。


●悠
なるほど! 千尋さんも話術という武道を身につけている、
ということで間違いないですか!

●希
コラコラ、そこ!
後輩によくわからないことを吹き込むのはよしなさいよ!

まったくもう……あたしが茜を探してくるから、
あんたたちはここで待ってなさいよね!

●千尋
ごめんね、茜ちゃん。希ちゃん。
だけどわたし、とーっても嬉しかったんだぁ。

……3人で始めたアイドルのユニットが、
今はこんなに素敵な学プロにまで大きくなるなんて。

ホント、アツアツのおでんみたいで素敵。
きっとこれからも、味わい深くなっていくんだろうなぁ。


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「青空の見える明日へ」第10話「正義と小悪魔、肩を組む」

ーー屋上

●希
はぁぁ……こんなところにいた。
あんたね、好き勝手に色んな所へ行くんじゃないわよ。

●茜
あっ……。

ふ、ふん!
アカネはほら、ほんのちょーっと外の空気を吸いに
行きたくなっただけだから~。

●希
……あたし、あんたのこと認めてるわよ。

●茜
え? な、なによ急に。

●希
話はプロデューサーから聞いたわ。
瑠璃花を説得しながら、キツイ仕事に耐えてた時期があるって。

最初見た頃は、正直プロポーションがウリのアイドルかと
思ってた時期もあった。


だけど、あんたのユニットでの頑張りはずっと見てた。
諦めないでやりとげるところ、仲間として誇りに思うわ。

●茜
…………希さん。

●希
だけど、そんな茜にお願いしないといけないことがあるの。

あたし、今回の学プロフェスで麗華と戦いたい。
同じユニットの仲間じゃなくて、良きライバルとして。

そのために、このユニットでセンターをやらせてもらいたいの。
麗華と同じ立ち位置で向き合うために。


●茜
………………。

●希
真剣に向き合う方法なんて、色々あるけど、
今のあたしにはこれしか思いつかないから……。

お願い、茜!
あたしにこのユニットのセンターをやらせて!

●茜
…………ふんっ、お断りよ。

●希
……やっぱり、ダメ?

●茜
アカネ、元からセンターなんてやる気なかったのよね~。
人を引っ張るのなんて面倒だし、教えるの無理だし。

だからセンターなんてお断りって言ったの。
あーあ、希さんが引き受けてくれてせいせいしたわ~。

●希
あっ……!
ありがとう、茜……!

●茜
だーかーらー、アカネは別にやりたくないんだってば。
感謝するのは勝手だけど、勘違いされるのは困るのよね。

あっ、でもユニットの命名権はこのユニットで一番かわいい
アイドルが付ける権利があるのよ?

●理子
つまり、茜が付けるってことだよな?
そのくらい別にいいさ。

●千尋
わたしも、なんでもいいかな~?

●悠
自分も先輩方に従います! ウスッ!


●希
み、みんな、いつから……。

●理子
希はいつも、必死に私たちを引っ張ってくれてた。
こんなことでよければ、アタシだって頭を下げたのに。

●茜
……別にそんなことしなくていいわよ。
な、仲間、なんだし?

●千尋
ふふっ。
そうだよねぇ、わたしたちはみんなおでんだものね~。

●悠
じ、自分は人間ですので!?
食べられるのはちょっと困ると言いますか、あわわ……!

●希
あはっ、あはははははは!!
そうね、食べられるのは困るわよね、うんうん!

●茜
おでんじゃなくて『茜ちゃんと天使たち』!
打倒、黒瀬麗華を目指して、可愛く勝ってみせるわよー!


●みんな
おー!!

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「青空の見える明日へ」第11話「『RESONANCE』」

ーー教室

●セリア
ヤレヤレ……せっかくユニット以外と組めるかと思いきや、
アヤとは離れられぬウンメーでござったか。


●彩
こっちのセリフよ、まったく……。
なんで1人だけ被害者のフリしてるのかわからないし。

●寧々
あっ、あのっ!
ケケケ、ケンカはよくないのでっ! お、穏便に……!

●くるみ
んぅ? 寧々さん、全然ケンカしてないのですよ?
そんなに慌てなくても大丈夫なのです!

●寧々
そ、そうなんだ、ね?
くるみちゃん、ありがとう……。

●彩
ごめんね、寧々。
……いつものノリでやってたら困っちゃうか。

●セリア
アヤ、どこいくデスか?

●彩
招集はまだでしょ?
1人で少し、フェン……考え事がしたいから出てくる。


●麗華
その必要はないわ。

●セリア
レイカ!
てっきり他のユニットだと思ってたでやんす。

●麗華
彩、セリア、くるみ、寧々……。
なるほど、これは面白い組みあわせになったものね。


さ、みんな席について。
早速今後の学プロフェスに関して話し合いをしましょう。

(説明を終えて)

●麗華
――というわけで、わたしとみんなのレベルはかけ離れている。
それだけ今まで積み重ねてきたものが違うというわけ。


●くるみ
はえー……ヴァルプロ式のレッスンって、
そんなに大変なものだったのです? はえー……。

●寧々
現実感、わかないよね。
いつもの練習でさえ、ヒイヒイしてるのに。

●セリア
ジャポンではこう言うそうデスね?
『死してしかばね拾うものナシ』!

●彩
いやー! し、死にたくない!!


●麗華
今日から1週間、あなたたちのアイドルランクを
全員1段階上げるつもりで動いていくから、そのつもりで。

●寧々
ヒィ! さらっと、すごいこと言ってるような!?


●彩
ちょっと待った。
それってやりたくないことも強要するってことよね。

麗華さんの言うこともわかるけど、
それで成功する保証もないわけでしょう?

●くるみ
ふみゅう……それに、スタフェス予選もまだあるのです。
身体を壊したら、晴海さんたちに迷惑かけちゃうのですよ。


●セリア
アヤ、クルミ……!
でも、レベルアップのチャンスではないデスか? デスよね、ネネ!

●寧々
わ、私は……その、えっと……。

スタフェス予選は、今までの集大成、です。
『銀河歌劇団』はすごいんだって発表する場でもあるし。

生意気なこと、言いますけど。
晴海さんや、麻里紗さん。悠くん、くるみちゃんのために、
やれること、やりたいので……。


●セリア
ネネ……。

●麗華
……みんな、自分のユニットのことを大事に思っているのね。

それは、わたしも同じ気持ちよ。
『GE:NESiS』のみんなと、必ず優勝を勝ちとるつもり。

だけど、それは学プロを含めて、
みんなで勝ち取る成果だから……聞いて欲しいことがあるの。

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「青空の見える明日へ」第12話「未来を掴む可能性」

ーー教室

●麗華
ねえ、くるみ。
あなたは今よりも大人に見られたくはない?

●くるみ
ふぇ? それはもちろん、見られたいのです!
セクシーな大人のレディとして、巷の話題を独占したいのですよー!


●麗華
それじゃあ、今度はセリア。
ジャポンの芸能……アイドルを極めたくはない?

●セリア
モチのロンデス!
ワタシは……あちきは、ニンジャアイドルでありんす!


●麗華
ふふっ。
……彩にも、聞いてもいいかしら。

●彩
え? な、なんですか?
説得なら、受けませんからね。

●麗華
あなたはダンスを志すうえで、
今の自分に何が足りていないと思う?

●彩
それはもちろん、技術とか、表現力とか、
…………それ以外の、自分の知らないことに触れる努力とか。

●麗華
わたしも、あなたと同じなの。
かつてヴァルプロを抜けてから、ずっと考えてた。

アイドルとして大切なことは、わかってたつもり。
だけど、自分に足りないものがあるのにそれが何かはわからない。


そんな時、答えをくれたのは誰でもない……。
レッスンをし続けた、自分自身だったの。

●彩
答えをくれたのは、自分自身……。

●麗華
本当のライバルは自分自身。
そして成長のきっかけをくれたのも、自分だった。

●寧々
麗華、さん……。

●麗華
寧々、あなたの言っていたことはよくわかる。
大事なスタフェス予選を前に、無理をしないのは当たり前よね。

でも、わたしはあなたに見て欲しい景色がある。
誰よりも他人に優しいあなただから、本当の自分に向き合って。

●寧々
…………自分と向き合って、なんて、
生まれて初めて、言われました。


すごく胸の中に、響くようで……熱い言葉、なんですね。

……実は私、ずっと『銀河歌劇団』の成長に
ついていけてるか、不安だったんです。

くるみちゃんや、他のみんな……学プロの人たちもそうだけど、
自分だけ周りから、置いていかれてるような気がして。

●彩
私も、そう……。
ダンスのことばっかり考えて、偏らないかって不安になって……。

だけど、ダンスは私にとって何よりも大事なの。
だからずっと考えてた。

このモヤモヤを解決しないと、
スタフェス予選でも大きな成果を出せないんじゃないか、って。

●セリア
本当に水くさいデスね、アヤもネネも。
あちきたちはいつでも話を聞くデスよ?

●寧々
そ、そうじゃないんです!
みんなの成長を感じてるから、相談じゃなくて、それこそ――

●麗華
ええ。
自分自身と本気で向き合うしか、方法はないのよ。

●くるみ
くるみたちが、本当の自分と向き合う、ですか……?

●セリア
ニンジャはたゆたう者でありんすが……仕方ない、デス。

●彩
ちょ、ちょっとセリア!?
いきなり抱きついてどうしたの!

●セリア
レイカ! アヤとあちきはレッスンするでありんす!
その代わり、手加減抜きで頼むぜよ!

●寧々
私も……!
くるみちゃん、一緒に、レッスンしない?

●くるみ
はいです! くるみもいっぱい自分に向き合って、
オトナなナイスバディアイドルになっちゃうですよ~!

●彩
……私も、言い訳しない。
これからもアイドルするために、レッスン、頑張るから。


●麗華
……ひなたに誘われて、この学プロに入って本当によかった。

わたしたちはこの1週間で、必ず成果を出せる。
いいえ……黒瀬麗華が全力で以て、みんなをサポートさせてもらうわ。

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「青空の見える明日へ」第13話「前に進むということ」

●ナレーション
学プロフェスの開催が決まった、その1週間後――

ーー控室

●学園長
ついに始まるわね。
約束通り、私をキュンキュンさせるくらい、満足させてねー?


●ひなた
任せて!
学園長がアッと驚くようなライブをしちゃうから!

えへへ、ようやく『ラブ∞ビューティー』の初ライブ!
今日は手品も解禁して、楽しいこといっぱいするぞー!

●麻里紗
ふふっ。ひなたちゃんってば大はしゃぎね。
でも、その気持ちもわかる気がするわ。

●更菜
そうですね。
私たちはこの短い時間の中でも自身の実力を磨くことが
できたわけですし……。

こうして、ユニットの違うみなさんと切磋琢磨できて、
本当に学びの多い1週間でした。

●佳奈恵
あはは……振り返ると、如何にうちのユニットがバカやってたのか
思い知らされるようで恥ずかしかった~。

でも、やっぱアイドルっていいね!
アタシ、ずっと続けてたいなって思ったよ。


●ひなた
やだなぁ、佳奈恵ちゃん!
これからもずーっとみんなでアイドルできるよ!

●更菜&麻里紗&佳奈恵
………………。

●ひなた
あ、あれ? みんな、どうしたの?
あたしもしかして、なんか変なこと言っちゃった?

●愛美
ひなた。

●ひなた
愛美ちゃん! もしかして、また失敗しちゃった!?
どどど、どうしよー! あたし、そんなつもりなくて――

●愛美
今まで、本当に、ありがと。


●ひなた
…………えっ。

●愛美
私たち3年生ってさ、後がなかったんだわ。
だってアンダーガールズとして、旬も終わろうって頃で。


しかも、ここにいる子たちは、
芸能科なのにアイドルから離れていってた。
そんな子ばっかり。

今、こうして学プロでアイドルをさせてもらえて、
しかもスタフェスまで目指せるなんてこと、考えてもなかった。

●麻里紗
私は、学プロが解散しかけて。

●佳奈恵
アタシは多分、あのままだったら
今もなあなあでやってたよ、アイドルもどきをさ。

●更菜
私は……きっと、何者にもなれませんでした。

●愛美
私なんか、自分のエゴで後輩たちを潰しかけてた。
それを救ってくれたのは、アンタなんだから。

●ひなた
み、みんな……なんで今、そんなこと言うの……?

●愛美
いい? これはもう2度と言うつもりなんてないから、
ちゃんと聞いて。

私たちは、これからも全力でアイドルを続ける。
だからアンタは、その意地を見届けて。


アンタが救ったアイドルたちの背中を、その目に焼きつけなさい。
想いは全部、ステージに置いていくから。

●ひなた
…………わかった。

ステージを通じて、みんなの想いを受け継ぐよ。
それで、次の後輩にもちゃんと繋いでみせるから……。

あたし、みんなの後輩でよかった。
一緒にアイドル出来て、ユニット組めて、よかった……。


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「青空の見える明日へ」第14話「並び立つ意味」

ーー屋上

●瑠璃花
ミッション・コンプリート。
野良ライブバトル100戦全勝達成した。


●琴音
はあ、はぁ……なんだかんだ、出来ちゃったね。
私たち急造のユニットなのに……。

●瑠璃花
幼馴染のチカラは偉大。
今ならなんでも出来る気がする。

それより、もう時間もない。
演出とダンスの確認をして、今の流れのまま舞台に立とう。

●琴音
……あのさ、ルリちゃん。
ずっと言おう、言おうと思ってたんだけど。

ルリちゃん、すごく変わったよね?

●瑠璃花
……変わってない。
リアルは嫌いだし、家に引きこもってるのが最強の過ごし方。

わたしは最新型のPCを手に入れるために全力を出してる。
つまりこれは、リアルとはかけ離れた理由。

●琴音
本当にそれだけ?

●瑠璃花
あとは、コトちゃんのため。
困ってるなら、幼馴染として助けるのは当然。

●琴音
ううん、そんなことない。

●瑠璃花
えっ……幼馴染、解消するの……?


●琴音
しないし、そんなのできないじゃない。
そういうことじゃなくて、その「当然」ってところ。

前までのルリちゃんなら、
「コトちゃんには悪いけど他をあたって」とか言うはずだよ。

それなのに、こんなに面倒で疲れることを率先してやってる。
これって、ものすごい成長だって気が付いてる?


●瑠璃花
……ごめん、よくわからない。
そんなことしてるつもり、なかったんだけど。

●琴音
だよねぇ。
ルリちゃんって、良くも悪くもそういうとこ無意識だし。

(きっと茜さんのおかげだってことにも、
 気付いてないんだろうなぁ……)


●瑠璃花
コトちゃんだって、人のこといっぱい言うようになった。
昔は遠慮して何も言えなかったのに……。

自分に、自信が出てきたって感じ。
そういうところ、とってもいいと思う。

●琴音
ルリちゃんがそう言ってくれるってことは、
そういうことなんだろうね。

●琴音
……愛美さんや千尋さんに付いていって、本当によかった。

おかげでひなたちゃんや和歌ちゃん、他のみんなとも会えた。
アイドルとしてのルリちゃんにも、
この学プロにいたからこそ会えたんだと思う。


色々あったし、これからも色々あると思うけど、
今の私たちなら、きっと大丈夫だよね?

自分らしいアイドル、ちゃんと出来るよね?

●瑠璃花
ふふっ……こんなリアル嫌いなアイドルがいるくらいだから、
その辺は安心してもいいと思う。

コトちゃんは安心して、アイドルを続けて。
わたしも……この先の景色が見てみたいのは、ホントの気持ちだから。

●琴音
うん! それじゃあさっそく、学プロフェスに向かおう!
茜さんもルリちゃんのこと、待ってるはずだから。

●瑠璃花
……なんでそこで、茜の名前が出るの。
やる気なくなるから、そういうのよくない。


●琴音
えっ……ええ?
さすがにそれは茜さんが可哀想だよ~!

●瑠璃花
いいの、いいの……ふふっ。

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「青空の見える明日へ」第15話「自分らしさとチカラ」

ーーレッスン場

●楓李
はー、はー……アカン、もう足動かんわ。
うちのアイドル生活これでおひらきになってまう……。

●晴海
ダメですよ、ちゃーんと整理体操しないと。
ほら、背中を押すから、手を伸ばして~。

●楓李
あいたたたたたっ、晴海はんの鬼ぃ~!
うちアイドルやのに、こんな恥ずかしいかっこしたないわ~!


●和歌
……なんだかんだ、楓李ってば身体柔らかいわね。

●美雪
ですわねぇ。
それに、アイドルとして輝くための素質は充分にお持ちですし。

●楓李
あたー……もう渡辺呼びはせえへんから、
いじめるのは堪忍して……。

●晴海
うふふ、いじめてないよ?


●美雪
美しい親愛と柔軟でございました。
やはり持つべきは友達……友情でございますね……。

●楓李
……ほんに、美雪はんは不思議なお人やな……。

●和歌
……突っ込まないからね?

●晴海
だけど、楓李ちゃんってすごいね。
『Remuage』を最初のころから見てるけど、成長してる。

それこそ、アイドルランクも今より高くなってそうよね。
正直な話、ちょっと悔しいくらい。

●楓李
んふふ~、せやろか?
なんや、褒められると悪い気せえへんなぁ。

●美雪
もちろん、和歌さん、晴海さんもとても成長されています。
私もうかうかしていられませんわね。

このユニットを通して、私自身も1つ上のステージを目指して
進みたいという気持ちが芽生え始めましたの。


希や麗華さんたちに無意識に頼っていたのかもしれない……。
その認識を持てただけで、私はまた、前に進むことができますわ。

●楓李
うちは難しいことわからんけど、意外とちゃんとやったら
3人の言うとおりやったわ。

なんや、面倒やけど、案外やればできるもんやな。
アイドルの才能、あるかもしれへんわ。


●和歌
そういうこと言ってると、足をすくわれるわよ。
主に私がすくうわ。

●楓李
和歌はんにはすくわれんわ。

●和歌
ちょっ、聞き捨てならないセリフを……!
こうなったら私もストレッチ、手伝うからね!

●楓李
うわぁ、晴海はんといい和歌はんといい、
なんで面倒みのいい人ばっかりやってくるん?

ちょっとうち、まらそんで身体温めてくるわ~。
ほな、またな~。

●和歌
あっ、逃げた!
ちょっと楓李! 待ちなさいってば!!

●晴海
ええ!? 2人とも、これから学プロフェスだよ!
早く戻って来てねー!

●美雪
……まるで、家族のようですわね。

●晴海
……そうですね。
この学プロって、大きな1つの家族なのかも。


こうやって楽しい日々が、いつまでも、いつまでも……。
ずーっと続いてくれればいいなぁ。

●美雪
続きますわ。
私たちが、アイドルとして輝き続ける限り。


●晴海
……そう、ですね。

たとえ誰かが離れても、また帰ってこられるように、
この場所を守り続けたい……だから私、これからも頑張るからね。

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「青空の見える明日へ」第16話「越えるべきカベ」

ーーライブ会場

●茜
ねえ、希さん。
いきなりステージに来い、なんて言ってどうしたの?

これからライブあるんだし、みんなでリハやらないと。
アカネたちだけでこんなとこ来ても仕方ないじゃん。

●希
……6番の立ち位置で振り返った時、
楽曲の都合上、カメラは舞台袖の方に動くわ。


●茜
え? なになに、どゆこと?

●希
次に全員で踊るとき、天井から吊られた照明が中央に向く。
それに合わせて、上に手を伸ばして。

タイミングが合えば、茜が光を呼び込んだように見える。
それだけで演出としては惹きになるわ。


●茜
ちょっと待ってってば!
そんなこといきなり話しだして、どういうことなの!?

●希
ああ、そっかそっか。
説明しないまんま、連れまわしちゃってたんだ。

●茜
はぁ……そういうところ麗華さんと似てるわよね。
似た者同士というか、なんというか……。

●希
んなっ……べ、別に似てないし!
あたしの方が清く正しいアイドル度では上なんだから!

●茜
あー、はいはい。
それで? 結局この状況ってどういうことなの?

●希
……あんた、自分の可愛さを存分に発揮したいと考えた時、
いったいどうするのが正解だと思う?

●茜
そりゃあ、アカネがカワイイってことを見て、知ってもらえれば
言葉にしなくても伝わるじゃん。

●希
じゃあその可愛さ、どんどん伝えていかないとダメね。
だってあんた、あたしから見ても可愛いと思うし。

●茜
ふぇっ!?

●希
今から短時間で、あんたの可愛さを伝えるために必要な
ポジション取りを叩きこむ。時間がないから特急でね。

さあ、佐久間茜。
あんたがこの世で一番可愛いってこと、
みんなに知らしめてやりましょう!

●茜
なにそれ、プロデューサーみた~い!
いきなりそんなこと言われても困るんですけど~!

……でも、ありがとね。
そんなこと言ってくれたの、希さんが初めてかも。


ーーステージ裏

●理子
悠、今日は学プロフェス当日だが、
その前にアタシたちから、悠に伝えておきたいことがある。


●悠
う、うす! お願いします、理子先輩、千尋先輩!

●理子
いつか、悠が頑張っても頑張っても報われない瞬間がくる。
その時のために、ライバルを見つけておくんだ。

それはアイドルの世界だけじゃなくていい。
武道でも、勉強でも、なんでもいいんだ。

まだ中等部なんだから、がむしゃらにぶつかっていけ。
それでも困った時は、アタシたち先輩を頼ればいい。

●千尋
頑張るのって、楽しいことも多いけど、
大変なことも多いからね~。


ライバルだったり、先輩がいてくれると、
いざという時に、ふんっ! って踏ん張れるから。

お菓子でよければ、わたしも用意しておくよ~。
だから、わたしのことも頼って、頼って~。

●悠
……素敵な先輩方がいてくれて、自分は幸せ者です。

いっつも『銀河歌劇団』の先輩方とばかり一緒にいて、
今まではそれで満足してました……けど……。

神楽ヶ丘学園に入って、この学プロに入れて、
ホントに、ホントに良かったです……!!


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「青空の見える明日へ」第17話「共鳴する才能」

ーー神社

●彩
ううぅぅぅぅ……もうレッスンやぁぁ……。
フェンリルバーガーで延々とバーガー食べるぅ……。


●セリア
あちきも、ポテト食べるでありんす……うっぷ!
あっ、やっぱり無理デス、オロロンしちゃいマース……。

●寧々
こ、これが、ヴァルプロのレッスン……。
ゾンビだったら足千切れてる……。

●くるみ
く、くるみも今日は店じまいなのです……。

●麗華
……まだ学プロフェスがあるでしょう?

●みんな
えええええええええ…………。


●麗華
でも、みんなよくついてきてくれたわね。
本来意識を失うくらい過酷なレッスンなのだけれど……。

●寧々
えへへ……流石、ヴァルプロですね。
こんなにキツいと、そう何度もできない……かも。

●麗華
……ヴァルプロ?
いいえ、これはもっと高ランクのレッスンよ。

『ヴァルキュリア』が夏の合宿に泊りがけでやるような特訓。
オロロンしたくなる気持ちはわかるわ。


●彩
ちょ、ちょっと待って!!
それって私たち、トップクラスのレッスンしてたの!?

●麗華
そうね、そういうことになるわ。
現にわたし、初参加の時は気絶したもの。

●セリア
あわわわ……危うく三途の川をわたるところでシタ。
麗華はぽんぽこたぬきさんデスね……。


●彩
腹黒いって言いたいんだろうけど、
これは腹黒いというより、信頼が重いというか……。

●くるみ
でもでも! くるみたち完全クリアしましたですよ!
これってつまり、『ヴァルキュリア』に近づいたですかね!?

●寧々
それは、どうだろ。
でも……1週間前より、たしかな自信はある、かな。

私たち、アイドルなんだ。
他の人に負けないくらいの、実力のある、アイドルなんだ。

……そう、思えるようになった、かな。
今なら『ヴァルキュリア』の人にも負けない、よ?

●くるみ
寧々さんが、笑顔で強気なことを言ってるです……。
大スクープなのです、パパラッチなのです……!!


●セリア
ンフフ……では、アヤにも聞きましょう!
頑張りましたし、自信が持てるようになったでありんすよね!?

●彩
いいや、全然。

●セリア
ガーン!! 即答でありんすか!?

●彩
……逆に、やらないといけないことがわかってきた。
今までみたいに、漠然とこう、っていうのじゃなくて。

だから、もう意地を張るのはおしまいにする。
……それに気付くことができたのは、みんなのおかげ。

みんな、ありがと。
こんな私に、機会をくれて……。

●セリア
…………ジュ ヴ スイ アタシェ.

●彩
え? なんて?

●セリア
アッハッハー!
ニンジャ☆レインボーはジャポンで最強と言ったまでデスよー!

●麗華
これだけの実力を持ったアイドルたちが、
無名の学プロに集まり、頂点を目指している……。

わたしが信じる道を往くために、あなたたちを超えるわ。
『ヴァルキュリア』そして……櫻花、すばる。

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「青空の見える明日へ」第18話「やり残したこと」

●ナレーション
こうして始まった学プロフェス。
それぞれが成果をぶつけあい、白熱する会場。


無観客にも関わらず、熱の入るパフォーマンスの数々に、
見ているだけで身体が動き出してしまいそうになる――

そう感じさせられた、ステージだった。

ーー控室

●萌
す、すごい……これが私たちの学プロに所属する
アイドルたちの姿だというのですか……?

●学園長
……私立神楽ヶ丘学園の歴史において、
ここまで急激に成長を遂げたアイドルに、覚えはないわ。


だって本来は、それぞれ輝きを持っているものだもの。
『ヴァルキュリア』然り、あの子然り……。

●萌
ああ、ひなたさんのお姉さん……。

●学園長
絶対的な姉のカリスマ性とは違うけれど、
ひなたさんもまた、何かの才能を持っているのかもしれないわね。

人と人を繋げる……縁と縁を結んで、絡み合った運命を
照らし、輝かせるような……そんな才能が。

●萌
それもあるかもしれませんが、プロデューサーもいますし。
あの人、ダメダメに見えて結構やり手でしたよ。

今度、ボーナスでも出してあげてください。
公園で寝泊まりしちゃうようなとんちんかんですけど。


●学園長
……萌ちゃん、あの人のことが好きなのねぇ。

●萌
んなっ!!?
ばばばば、バカなことおっしゃらないでください!


あああ、あくまでも同僚ですので、同僚!
経験者としては見過ごせないと言いますか、なんというか……。

●学園長
ふふっ……でも、そんなプロデューサーさんはね?
たっくさんの予算よりも、見たい景色があるそうなの。

●萌
え? 予算いらないとか大馬鹿者ですか。
それこそ後で説教を……。

●学園長
…………吉永萌さん。

●萌
――は、はい。

●学園長
あなたはいつも経験者だと言うけれど、
元トップアイドルとしては、ずーっと気になっていたのよねぇ。

●萌
な、なにがです!?
というか何のお話でしょうかコレ!?

●学園長
あなたが本当に『経験者』だと名乗るのであれば、
それを証明するために、舞台へあがりなさい。


●萌
は、はい!?

●学園長
ここには、普通科の生徒もいなければ、
顔見知りの子たちしかいません。

つまり、あなたがアイドルを再開したとしても
誰も咎めることはない、ということよ。

●萌
………………でも、でも。

私、いいんでしょうか……。
本当に私なんかが、またステージに立っても……。


●学園長
ステージに立つのに、手遅れなんてないわ。
私だって、永遠の17才! 今も現役なんだから~!


……ね?

●萌
………………わかり、ました。

(場面が変わって)

●ひなた
……それじゃあみんな、準備はいい?


萌ちゃん! 歌はあたしたちも一緒に歌うから、
このステージ、全力で楽しんでね!

●萌
はい……はいっ!!

皆さん、そして、プロデューサー。ありがとうございます。
拙いけれど、私のステージ……どうか見届けていてください。

この日、この時……吉永萌、1度限りのアンコールライブを!




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「青空の見える明日へ」第19話「見せたい景色」

ーー控室

●萌
……どうも、プロデューサー。

●プロデューサー
最高のステージだった。

●萌
あはは、何言ってるんですか。
私、制服姿で踊ったんですよ?


歌も、うろ覚えだし……ダンスだって、下手くそ。
昔はこんなのじゃなかったのに……。

●プロデューサー
萌……。

●ひなた
そんなことないよ!!


●萌
ひなたさん、みなさん……。

●麗華
最高のステージだった。
あなたこそ、学プロ22人目のアイドルとして相応しい姿だったわ。


●茜
いつもならアカネが最高に可愛いけど、今日くらいは
萌が最高でもいいかなって。譲り合いの精神よね~。

●晴海
そんなこと言って、茜ちゃんボロボロ泣いてたよね。
私もだけど。

●萌
みなさん、ホントに、ホントに……ありがとうございます。

●プロデューサー
……復帰しない?


●ひなた
そうだよ!
萌ちゃんさえよければ、活動してほしい!!

あたし、萌ちゃんの歌も踊りも大好きになったの!
一緒にスタフェス優勝、目指してほしい!!

●萌
………………。

●プロデューサー
萌?

●萌
……なーにを言ってるんですか、みなさんってば!
こんなのただの余興に過ぎませんって!

●ひなた
……萌ちゃん?

●萌
いいですか、ひなたさん。
アイドルは私の憧れでもあります、ですが……。

プロデューサーを隣で支えるのこそが、
経験者であり、相棒であるこの吉永萌の役割ですから!


その辺り、勘違いしてもらっては困ります。
今のみなさんがあるのは、私の活躍あってのことですからね。

●学園長
……それで、いいのね?

●萌
はい。学園長のおかげで、決心がつきました。

私は普通科にいるアイドルの経験者として、傍に居ることにしました。
あなたも、それでいいですよね?

●プロデューサー
萌がそう決めたなら。

●学園長
……それじゃあ、名残惜しいけれど。
これで学プロフェスは終了ということね。

●ひなた
あの、学園長。
あたしたち、学プロのライブに満足してもらえましたか?

●学園長
うーん、そうねぇ……うーん、うーん。

●プロデューサー
いじわるしないでください。

●学園長
んふふっ、そうね。
答えはとっくに出ていましたとも。

満足も満足、大満足させてもらったわ。
素敵な学プロフェスを開いてくれて、ありがとう。


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「青空の見える明日へ」第20話「青空の見える明日へ」

ーー屋上

●ひなた
あー、楽しかった!
プロデューサー、今日はお疲れ様!


●プロデューサー
いい学プロフェスだった。

●ひなた
あはは、そうだね。
最後はまさか、あんなことになっちゃうとは思わなかったけど。

(回想シーン)

●学園長
ごめんねえ。
本来はこれくらいの予算をあげるつもりだったんだけど……。

……実は、スタフェス近いのに無理言ってここを借りたから、
予算の8割くらい、ぜーんぶ会場費で消えちゃった☆


●萌
なっ……なんですってえええええええええ!!?

(回想シーン終了)

●ひなた
あはは……萌ちゃん、真っ白になってたね。
一応、特別予算は出るみたいだけど、思ってたより少ないから。

●プロデューサー
出るだけありがたい。

●ひなた
うんうん! プロデューサーならそう言うと思った!
思い返せば、本当に楽しい1週間だったもん。

…………それにね、今日の学プロフェス、
あたしにとっては特別な日になったんだ。

あたし、いつまでもアイドル生活が続いていくんだ、
このままみんなで、アイドルでいられるんだって、思ってた。

でも、今日のライブ前に愛美ちゃんに言われたの。
3年生のみんなは、先に卒業しちゃうんだって。


他のみんなもそう。
故郷に帰るかもしれないし、別の道を見つけるかもしれない。

それってきっと、すごく喜ばしいことだと思う。
でも、それはつまりお別れがいつかはおとずれるってことで……。

そんなこと、考えないでいられる今までが、
どれだけ価値のあることか、って気付かされたの。

●プロデューサー
ひなた……。

●ひなた
今まで、色んな人の努力や応援があって、
あたしたちはアンダーガールズでいられた。


もちろん、感謝はしてるつもりだった。
だけど……あたしが考えている以上に、支えられてたんだよね。

プロデューサー。
あたし、今もまだアンダーガールズのままだけど……。

1人のアイドルとして、
こんなに成長を実感できた今が、すごく幸せ!!

きっとこれからも、今までみたいにいっぱい、
いーっぱい迷惑とかかけちゃうかもしれないけどさ。

心の底から、プロデューサーやみんなと出会えて……、
この学プロにいられて良かったなって思う!!


●みんな
ひなたー!!

●ひなた
あっ、みんな!

●セリア
1人でお礼なんて、寂しいことするでありんすなぁ。
あちきたちはみんな、プロデューサーのアイドルでありんす。


●晴海
そうだよ!
ここにいる22人の仲間は、プロデューサーさんと一緒だもん。

●茜
ま、アカネは別にプロデューサーのとこに来たわけじゃなくて、
アカネの魅力がそうさせただけ、だけどね~。

●麗華
……強がる必要はないでしょう?
今日くらい、素直になってもいいのに。

●茜
ふ、ふんっ。
なによ~、みんなして笑っちゃってさ!

●萌
……あなたと最初に会った時、
正直、これほどのことになるとは思っていませんでした。

●プロデューサー
同じく。

●萌
ふふっ……あなたとの出会いを通して、
私もようやく、本当の経験者として胸を張ることができますよ。

これからも横から色々言わせてもらいますが、
元アイドルな相棒の意見は、ちゃんと検討してくださいよ~?


●ひなた
……それじゃあ、改めて。
みんな、準備はいいかな?

プロデューサー!
今まで、本当に本当に、ほんっ…………とうに!!

●みんな
ありがとうございましたぁああ!!!


●ひなた
そして、これからも!
あたしたちのプロデュース……よろしくお願いしますっ。

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「青空の見える明日へ」第21話「絶対王者の休息」

●???(輝音)
なぜ呼んでくれなかったああああああああああ!!!!


ーープロダクション室

●栞歩
うるさっ……ちょっと、カノン!
あなたゲームの実況はやめなさいとあれほど……。


●輝音
違うんだシホ!
あいつら、楽しそうなことやってたみたいでだな!?

●栞歩
はい?

●アリス
シホさん……カノンさんは、黒瀬麗華のいる学プロが
学プロ内でライブをやっていたのを、さっき知ったのですわ。

それがユニット混合、とかでして。
面白そうだと揚々と乗り込みましたら……。

●輝音
終わってるじゃないか、馬鹿者どもが!
私がいたら相当稼げたのに、あいつら……!

●栞歩
いやいや、あなたは『ヴァルキュリア』でしょう?
ワガママ言うのはダメよ?

●輝音
ええー! いいじゃないか混ざるくらい!
私は最強のアイドルなんだから、むしろ混ぜに来い!


●アリス
はぁぁ……。
カノンさん、なんだかんだあの学プロがお好きなんですのね。

●輝音
違うわ、このポンコツ娘!!


●アリス
ガーン!! ですわー!!


ポンコツかもしれませんけど、そんなにストレートに言われると
傷つきますわー!

●栞歩
好きと言えば、リッちゃんもそうなのよね……。
ライブ映像とか勝手に撮ってきて、ずっと見てるし……。

●律
……渡辺晴海さん、また成長してる。
いえ、むしろあの時フレプロとライブバトルした子たちも……。


くっ……この学プロ、なんなのホントに。
私のところにいない人材が、こうも……。

●響香
リッちゃんには、蛍ちゃんがいるじゃない。
あの子だって負けないくらい、強くなってきてるわよぉ。

●律
それも、あの子たちと出会ったせいね。
でもそのおかげで、私のフレプロはさらに強くなる予定よ。

けれど、ここまで差が付いたのはなぜかしら。
それになんだか知らない子まで増えてる……。

●響香
(あの子は、いつもプロデューサーといた普通科の子……。
 たしか、吉永萌ちゃん、だったかしら?)

(能ある鷹は爪を隠すものだけれど、
 あの子もなかなか……将来が楽しみね)


●律
……なにをニヤニヤしているの?
あなたらしくもない、含みのある笑い方をして。

●響香
んふふ、いいじゃなぁい。
リッちゃんが敗北を噛みしめてるとこ、そうそう見れないし。

●律
意外と性格悪いわよね、あなた。

●響香
冗談よ、冗談! あっはははははははは!!


っとと、そういえばすっかりこってり忘れてたけど。
シホ! 今日の隠し撮りライブ映像、これに移しといたわ。

●栞歩
ん、ありがと。
それじゃあちょっと出てくるわね。

●アリス
あら、シホさん……あんなものを持ってどちらへ?

●輝音
気にするな、アリス。
あいつのアレは、いつもやってるクエストみたいなもんだ。

ーー郊外の公園

●栞歩
ふぅ……おい、持ってきてやったぞ。
お前が見たいっつってたライブ映像のコピー。


●???(すばる)
………………。

●栞歩
だんまりかよ、くそが。
いつもなら郵送でいいっつーのに、今日は顔合わせとはな。

久々に拝むオレのツラはどうよ?
涙ちょちょぎれる再会ではなさそうだけどさ。

●???(すばる)
………………。


●栞歩
…………あのよぉ。

お前さ、もう直接あの子に会いに行けばいいだろ?
ちゃんと話し合って、それで……。

あっ、ちょっと待てよ!
オレの話を聞けねえって言うのかぁ!?


…………チッ!
本当に妹のこととなると馬鹿な女だぜ。

気が変わったらまた会いに来い。
話くらいは聞いてやるからよ……すばる。


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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

© SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】小説『晴海distressed』(銀河歌劇団)

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、特設サイトで公開されていたWeb小説『晴海distressed』(銀河歌劇団)を紹介します。

小説『晴海distressed』(銀河歌劇団) ●執筆:稲葉陸


 神楽ヶ丘学園のとある学内プロダクション(通称学プロ)は、崩壊の危機に直面していた。学プロとは、学園内に存在する芸能事務所のようなもので、複数のユニットが所属しているのが通常だ。

 そのとある学プロ崩壊の原因は、やる気のないプロデューサー。さらにいえば、そんなプロデューサーに見切りをつけて、学プロ内の多くの有力ユニットが辞めたこと。結果的に舞い込んでくる仕事は減り、そうなるとさらに多くのユニットが離脱していく負の連鎖。いまとはなっては、残っているのは、よほど学プロに思い入れのあるユニットか、どこも受け入れ先のない、弱小ユニットだけだった。

「諦めなければ、きっとなんとかなかるよ!」

 声を張り上げたのは、銀河歌劇団のセンター 、晴海だ。

 そしてこの銀河歌劇団も、弱小ユニットの部類であると言えた。

「あ、あの。そうは言っても……こ、これ以上選んでいる時間はないっていうか……」

「だったら、バラバラになってもいいの?」

「そ、そうじゃなくて! ……わ、私だってできれば一緒がいい、です。でも、別々だとしても引き取ってくれる学プロがあるって、破格の条件だと思うから……」

 寧々の言うとおり、彼女たちに幸いにして、受け入れ先の学プロにアテがあった。

 ただしそれは、全員バラバラになら、というのが条件。まとめてひきとってくれる学プロは、どこにもなかった。

「それは分かってるけど……」

「わ、私たちの実力で、フリーになるのはつらいんじゃないかなって……」

「そうね。特にくるみと悠はまだ中等部だし、誰か面倒を見てくれる人が必要だわ」

 晴海と寧々の会話に入ってきたのは、麻里紗だ。

 麻里紗はすぐ横に立っている悠とくるみを見る。ふたりは気まずそうに、申し訳なさそうにして、互いを見合わせた。

「く、くるみは、その……うぅ~……ごめんなさいです……」

「自分は、みなさんに迷惑をかけるのがいちばん嫌ですっ! 一緒にいられないのは寂しいですけど……他の学プロに行っても頑張ります!」

 晴海は愕然とした。

 自分は卒業した銀河歌劇団の先輩からセンターを引き継いだとき 、なんとしてでもこのメンバーでトップになる。そう思っていた。

 だけどその思いは自分だけで、みなと正しく共有できていなかったことを知る。

(何やってるんだろう、私……)

 晴海は、自分には特別才能もないし華やかさもないと自覚していた。ただの、凡人。そんな人間がユニットのセンター なんて、やはり無理だったのだろうか。

「……そう。分かった。じゃあ、仕方ないよね」

 晴海はそう言って、精一杯笑ってみせる。

 いまにも溢れそうになる涙を堪えながら、みんなのために。

 これから新しい環境に飛び込んでいくみんなの邪魔をしないことが、センター としての最後の仕事になるだろうと思った。

 晴海はひとり、レッスン室に籠もっていた。

 曲にあわせ、ひたすら身体を動かす。それはレッスンというより、ただ何も考えないようにするための、現実逃避。みんなが他の学プロに行ってしまう以上、自分も受け入れ先の学プロを探さねばならないのだが、どうしてもそんな気分にはなれなかった。

(アテは……ある。だけど……)

 このままだと、崩壊する学プロから逃げ遅れてしまうことは分かっていた。本当に自分だけ受け入れ先が決まらず、フリー。しかも無名の見習いのアイドルなんて、誰も使ってくれはしないだろう。かたちだけでも学プロに所属しているいまのうちに、次を決めなければならなかった。

(みんなは、平気なのかな……)

 晴海はみんなの気持ちが分からなかった。だけど、面と向かって尋ねるのも怖かった。本当は銀河歌劇団にはなんの未練もなくて、体裁上哀しんでいるふりをしているだけ、などということが分かったら、晴海はもう二度と立ち上がれない気がしていた。

 いまならまだ、銀河歌劇団の楽しかった思い出だけを抱いて、次のステージへ進める。銀河歌劇団の解散は、やる気のないプロデューサーのせいで、自分は悪くない。そう思うことができる。

(分かってる……んだけど……!)

 晴海は身体を止めて、その場に立ちつくす。

 ただ音楽だけが流れ続けるレッスンルームで乱れた息を整え、汗まみれの首筋を手でぬぐった。

「やっぱり、気になるよね……」

 これ以上他のメンバーの邪魔をしたくない。

 メンバーの本音を聞くのが怖い。

 それは変わらなかったが、このままでは自分もどこにも行けなくなってしまうと思い……。

 他のメンバーの様子を見に行くことにした。

 始めに向かったのは、悠とくるみのところだった。

 ふたりは中庭のベンチで昼食を摂りながら、雑談していた。

「あの悠くん、新しい学プロさんでの調子はいかがなのですか?」

「いい調子だよ。自分がいままでにないタイプだって、重宝されてる」

 晴海はいきなり飛び込んできた悠の言葉に驚いた。

 まだ悠は銀河歌劇団の一員だが、他の学プロでレッスンをしている……? そんな話、一度も聞いたことがない。

 晴海は自分のお弁当もったまま固まって、動けなくなった。

「それはよかったです! 悠くん小さいから新しいところでコラーって虐められないか、心配だったのです!」

「え、えぇ~っ!? 自分、そんなに小さくないよ!」

 中等部のふたりと大人っぽい麻里紗が一緒にいると、周囲から銀河幼稚園だなんて呼ばれることがある。そのイメージが先行して悠まで小柄に見られるが、実は一五〇センチ台と、意外と小さくはない。

「小さいのはくるみのほうだろ?」

「そんなことはないです!」

「誤魔化しようがないと思うんだけど……」

「大型ほ乳類舐めるなよ、です!」

 悠は、それを言うなら自分だって大型ほ乳類だと思った。

「それにくるみは成長期なので、最近身長が伸びたのです! もしかしたら、もう悠くんを抜いているかもしれませんよ?」

「えー、嘘だぁ。そんな簡単には抜かれないって」

 そう言ってふたりは、ひざの弁当箱をベンチの上に置く。

 そして立ち上がると、背中合わせになった。

「……悠くん」

「何?」

「これ、悠くんとくるみ、どっちが高いですか? 誰か見てくれるひとがいないと分からないです」

「……そうだね。ふたりだけじゃ分からないね」

 ふたりは早々に諦めて、再びベンチに座った。

 いまのは一体、なんの意味があったのだろうと晴海は苦笑する。

 ちなみに身長は、悠の方がまだまだ高かったが、たしかにくるみも以前に比べると、大分大きくなっているような気がした。

「ひとまず勝負はおあずけです。くるみも新しい学プロさんで、いっぱいいっぱい大人になって、いつか悠くんに完全勝利するです」

「ああ、楽しみにしてるよ。でも自分だって、そう簡単に負ける気はしないからねっ!」

 そう言って笑いあうふたり。

 晴海はそんなふたりを見て、自分がそこに入っていく余地はないと感じた。

 結局、悠とくるみには話しかけられないまま、今度は麻里紗の教室へとやってきた。

 麻里紗は銀河歌劇団唯一の三年生で、メンバーのお姉さん的存在だ。

 晴海は麻里紗とふたりになると、弱音を吐いて頼ってしまうのではないかと心配していた。事実、これまで何度もそうしてきたし、何度も助けられた。

 だけどいまは、そうしたくなかった。最後の最後ぐらい、自分がセンター としてきちんとやれているのだと、麻里紗にも認めてもらいたかったからだ。

 そして結果的に、その心配は杞憂に思った。

 なぜなら先客がいて、麻里紗はそのひとの相談に乗っていたからだ。

「あの、麻里紗さん、私、どうしたら……」

「寧々はもう、次に行く学プロは決まっているんでしょ?」

「決まっている、というか……はい。前に仕事で一緒になった学プロのプロデューサーが、良かったらうちに……って」

 寧々だった。

 晴海は少し複雑な気持ちになる。

 寧々とは同じ学年で、それなりに頼られている自負があったが、いざとなると自分ではなく、麻里紗のところに相談に行くのだなと思ったからだ。たしかに麻里紗は頼りになるし、甘えたくなる気持ちは痛いほど理解できるのだが……であれば、センター は最初から麻里紗にお願いすればよかったのでは、などと考えてしまう。

「だったら、どうしたらいいか、という質問は正しくないわね」

「正しくない……ですか?」

「そうよ。だって寧々はもう次の学プロも決まっていて、晴海にこれ以上心配をかけたくないから、私のところに来たのよね?」

「……はい」

「つまり、不安なのね。どうしたらいいか、ではなくて、不安に押しつぶされそう、ということよね。その気持ちを誰かに分かって欲しかった」

「……そうです」

 麻里紗の言うことは的確だった。

 相手の気持ちになって考え、いまそのひとが最も欲している言葉を与える。だからみな、麻里紗を頼ろうとするのだ。彼女は大きな心で、どんなことでも受け止めてくれる。安心、させてくれる。……晴海はまた、自分には絶対にできないことだと落ち込んだ。

「新しい一歩を踏み出すことは、怖くてつらいものよ。でも、これだけは覚えておいて」

 麻里紗は目を閉じ、噛みしめるようにその言葉を吐いた。

「僕の前に道はない。ぼくの後に道は出来る」

 それは日本の有名な詩人、高村光太郎のものだった。麻里紗はよく、こうして偉人の言葉を引用する。

「ど、どういう、意味ですか……?」

「寧々はアイドルになりたいと思ってこの学園に入った。晴海と出会って銀河歌劇団に入った。……それは、最初から誰かに決められていたこと?」

「いえ、そういうわけでは……」

「そうよね。寧々はこれまでも、そうやって自分で考え、選んできた。自分で道を切り拓いてきたのよ。だから、これからもそうしていくべきだわ」

 寧々は麻里紗の言葉に、胸をうたれた。

 勇気づけられ、その通りだと思った。

「だけどやっぱり、いまの寧々みたいに道に迷って立ち止まってしまうことはあると思うの。そういうときは後ろを振り返ってみて。そこには自分が選んで歩いてきた道が続いているはずだから。……寧々ならできるわ。自信をもって」

「麻里紗、さん」

 胸をうたれたのは寧々だけではない、晴海も同じだった。

 事実麻里紗は、晴海も近くにいることを分かっていて、この言葉を口にした。

 寧々を励ますと同時に、晴海にも自信を持って欲しいという願いがあった。

 銀河歌劇団のセンターである晴海に、みんなついていった。 晴海にひかれて、いまここにいる。そしてその全員が、銀河歌劇団を愛しく思い、だからこそ別離の岐路に立って苦しんでいる。そのことを忘れないで欲しい、と。

 晴海は麻里紗の言葉を受けて、胸が苦しくなった。

「ありがとうございます、麻里紗さん……! 私、が、頑張ります!」

「ええ。応援してるわ」

 笑顔になり、走り去っていく寧々。
 晴海はその後ろ姿を頼もしく思い、きっと寧々ならもう、自分たちがいなくても大丈夫だろうと思った。

 晴海は再びレッスン室に戻ってきた。

 誰もいない部屋の中央に、腰を下ろす。

 このときの晴海は決して後ろ向きではなく、むしろ素直にみんなを応援しなくてはと思えるようになっていた。

 いまみんなに会ってきて、誰もが銀河歌劇団を大切に考えてくれているのが分かった。自信がついたし、解散は必ずしも悪いことではないと思えた。第一、いくら大好きで愛しくても、別れの時は必ず訪れる。銀河歌劇団の場合、それがいまというだけだ。

(みんながアイドルとしてひとつ上のステージに行こうとしている。それを私みたいな半端者が邪魔していいはずがない)

 晴海は自分を、アイドルとしての才能がないと思っている。それは卑屈でもなんでもなくて、周りのアイドル候補生を見てきての、素直な気持ちだった。

 そもそも、自分には確固たる信念がない。憧れのアイドルに人生を変えられたわけでもないし、明確なヴィジョンがあるわけでもない。ただ幼少期、アイドルに憧れ、自分もこんなふうに輝けたら、誰かを笑顔にできたらと思っただけだ。

 だったらなおさら、自分の役目はそんなみんなを応援することだ。もちろん、アイドルになる夢を諦めたわけではないので、自分は自分で頑張ればいい。それだけの話だ。
「銀河歌劇団、楽しかったなぁ」

 ふと笑みをこぼす。懐かしくなり過去に思いをはせると、色々なことが蘇ってきた。

 悠とくるみが一緒に入ってきたときは、本当にこんな小さい子たちとやれるのかと、不安になったものだ。くるみなんかは最初の自己紹介で噛んで、それだけでもうユニットには入れてもらえないと落ち込んで、なだめすかすのに半日はかかった。

「寧々ちゃんも最初は大変だったっけ」

 晴海と寧々は、学園の中等部時代にいまの学プロに入った。当時、寧々はいま以上に引っ込み思案で、同期だった晴海がよくフォローしていた。そのせいなのかもしれないが、いまだに寧々は晴海に敬語で、晴海は一体いつ話し方を変えてくれるのかなと思っている。

「麻里紗さんにはお世話になりっぱなしだし」

 思い返せばキリがなかった。そして、そろそろ私も自立しないといけないなとも感じる。だから銀河歌劇団の解散は、いい機会なのかもしれない。

 晴海は気合いを入れて立ち上がった。そしてよし! とポーズをとり、音楽も流さずにレッスンを始める。

 解散を受け入れると決めたなら、新しい学プロを探さなければならない。そのためにも、自分磨きは必要だ。

 しかし、晴海はすぐに動きを止め、そして床に力なく崩れ落ちた。 身体に力が入らない。大量の汗が滴る。気づけば床に、小さな溜まりができていた。

「……あ、あれ?」 涙だった。

 たくさんの思い出が晴海のなかから溢れ、止まらなくなった。

 晴海は自分に嘘をつき、これで良かったんだと納得しようとしていたのだ。銀河歌劇団の解散は哀しいことではない。みんなが前に進むために、必要なことだと。

 だが、理屈でいくらごまかしても、割り切れるものではなかった。

「嫌だよ……。みんなと、離れたくないよ……」

 人一倍仲間想いの晴海が、はじめて口にしたわがままだった。

 声を殺し、ひとり泣く。

 床に溢れた涙が戻らないように、銀河歌劇団も一度離れてしまえば、二度と戻ることはない。……晴海はそのことを、よく分かっていた。

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【あおガルシナリオ集】小説『無人島漂流系アイドル、プリティ→プリンセス』

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、特設サイトで公開されていたWeb小説『無人島漂流系アイドル、プリティ→プリンセス』を紹介します。

小説『無人島漂流系アイドル、プリティ→プリンセス』 ●執筆:稲葉陸


「ありえない……。ホント、ありえないんだけど」

 瑠璃花の呟きは、突き抜けるような青空へと吸い込まれていった。

「へー、ここが今回の無人島ね!」

 瑠璃花とは対照的に、これからの撮影が楽しみで仕方がない茜は、ニカッと照りつける太陽に負けないほど大きな笑みを浮かべる。島全体を見渡し、水と食料は調達できそうか、どちらがどの方角か、使えそうな漂流物はないかと、早くもサバイバルモードに入っていた。

「茜、知ってる? わたし、一応アイドルなんだけど」

「知ってるよ。だってアカネもアイドルだし」

「じゃあ、その銛は何? お客さんに向かって投げるの?」

「物騒なこと言わないでよ。魚を獲るに決まってるでしょ」

「それはアイドルじゃないと思う」

「何言ってるの。最近のアイドルは投石機まで作ってるんだから」

「あのひとたちはそっちが本職だから」

 はぁとため息をつき、瑠璃花は歩き出した。

「大丈夫! 脱出成功率五分の二を誇るアカネがついてるんだから!」

「負け越してるし」

「さ、最初の二回は不慣れだから仕方なかったの! いまじゃイカダだって一晩で造れるし、火の熾し方だって五パターンぐらい知ってるし、瑠璃花ひとりぐらいなら守ってあげられるから!」

「ワイファイ」

「え?」

「ワイファイ、ある? わたし、ネットから十二時間以上隔絶されると、血吐いて倒れる病気なんだけど」

「わいふぁい……」

 わたわたと狼狽えて、周囲を見渡す茜。もちろん、こんな孤島にネット環境などあるわけがない。しかしそれでも茜は瑠璃花のためになんとかしようと、手近な木の棒を取り上げた。

「何、してるの?」

 答えず、茜は木の棒で砂浜に何かを描き始める。ほどなくして、それはできあがった。

「はい! わいふぁい!」

 そこには、砂浜に描かれた手書きのワイファイマークがあった。

「…………」

 あまりのしょうもなさに、頭痛を覚える瑠璃花。

 目頭を押さえ立ちつくしていると、その間に打ち寄せた波が、ワイファイマークをきれいにさらっていった。

「ありえない……。ホント、ありえない……」

 プリティ→プリンセスのふたりに舞い込んだ、無人島からの脱出を目的としたサバイバルネット番組。翌日にはイカダを造って海にこぎ出し、隣の有人島にたどり着けばクリアとなる。

 いつもは茜ひとりで参加している恒例企画。そこに省エネアイドルを標榜する瑠璃花が参戦することとなった。

 水着に着替えた茜が、岩場から勢い良く海に飛び込む。

 その飛沫は体育座りで見ていた瑠璃花の顔にかかり、それだけで眉間にしわを寄せた。

「ぷはっ! 気持ちいい!」

「そう。良かったね」

「もう、いつまでふくれてるのよ! 逃げ道はないんだから、腹決めちゃいなさいよ!」

「省エネ主義の私は、お客さんの前以外では極力何もしないの」

「カメラ回ってるでしょ」

「そこは編集でいい感じにして」

「素材がなきゃ編集も何もないでしょ。ほら、スタッフさんも困ってるし」

 瑠璃花は通常、ファンの前やカメラの前では、別人のように愛想が良い。だけど今回は本気で凹んでいるので、取り繕う元気すらなかった。

(ネットどころか、物理的にも隔離されてるなんて……)

 瑠璃花は茜に比べ、度胸がなかった。斜に構えて熱しにくいポーズをとっているが、それは物事に正面からぶつかるのを恐れている節があるからだ。前に一度、プリティ→プリンセスを結成したときに茜とバンジージャンプをしたが、本人もあのときはどうかしていたと思っている。

 とはいえ、瑠璃花はまだ十五歳。無人島に置き去りにされて平然でいられないのは、無理もなかった。

「せめて瑠璃花も泳ぎなさいよ。水着でばちゃばちゃやってれば、それなりに画になるでしょ? アンタが撮れ高あげてる間に、アカネは獲れ高あげる! どうよ、この完璧な作戦!」

「ネットの海なら泳いでもいい」

「え? ネット? 投網漁がいいって?」

「うるさい。面白くない」

 茜は内心で、頭を抱えた。

 日本を発つ前から、瑠璃花に元気がないのは気がついていた。いつもローテンションだが、それとはハッキリ違い、落ち込んでいると。なのでここは無人島経験のある自分が瑠璃花をフォローし、できれば撮影を楽しんで欲しいと思っていた。

(瑠璃花とふたりで旅行って、ちょっと憧れだったんだけどな)

 だがそう上手くはいかない。少しでも瑠璃花を励ます方法はないかと、茜は頭を働かせた。

「そうだ瑠璃花、ワイファイならあるよ」

「嘘」

「本当だって。マジで隔絶された孤島だとしたら、何かあったとき危ないでしょうが」

 瑠璃花が顔を上げる。どこに? と顔だけで聞いた。

「瑠璃花の後ろだよ」

 振り返る。すると、カメラを構えていた男性スタッフと、ファインダー越しに目があった。

「まさか、フレームの外に答えがあったなんて……。まるで叙述トリックのような真相」

 瑠璃花は虚ろな瞳でふらっと立ち上がり、スタッフに向き直った。

「る、瑠璃花……?」

 茜は瑠璃花を元気づけようと、軽い気持ちで言った。

 だがその言葉は想像以上に瑠璃花の言葉をかき乱してしまった。

 瑠璃花はおぼつかぬ足取りで歩き出す。そして両手を伸ばし、まるでゾンビのような体勢でスタッフに詰め寄った。

「わい……ふぁい……よこせぇ……」

 スタッフにとって、無人島の過酷さで我を忘れている瑠璃花の画はおいしい。

 ワイファイ・ジャンキーと化した瑠璃花に、彼は逃げることもせずカメラを向け続けた。

「わいふぁい……わいふぁいあああー!」

「瑠璃花ー!?」

 岩場に押し倒されるスタッフ。

 茜が慌てて海からあがり瑠璃花を引き剥がすまで、スタッフはカメラから手を放さなかった。

「やっぱり森にしましょう! よく考えたら、海に入っちゃうとアカネのナイスバディが見えなくなっちゃうし!」

 あれから瑠璃花が落ち着き、撮影が再開できるのを待っていると、早くも夕方になっていた。ふたりは海岸から森に入り、食料を捜してさまよっている。

「どうでもいいけど、お腹すいた」

「分かってるって。だからいまから探すんでしょ」

 水は茜が落ちていたペットボトルで簡易浄水器を作ったので、なんとか確保することができた。だが、食料はそう簡単にはいかない。下手な野草や木のみは毒があるかもしれないし、動物は当然のように、逃げる。一日二日食べないところで命に別状はないが、明日にはイカダを作って脱出することを考えると、体力的に何か口にしておきたかった。

「けど、こんな島に何があるの? バナナとか?」

「バナナ……もあるかもしれないけど、あまり期待しないでね」

「じゃあ、なんならあるの?」

「何か、よ。ていうか瑠璃花、この場所で名前のついたものを食べられるだなんて、あんまり考えないほうがいいわよ」

「名前のついたもの?」

 瑠璃花はよくわからない、というふうに首をかしげた。

 茜が言いたいのは、スーパーにならんでいるような、好んで食べたいと思える食料はない、ということだ。

「あ、これなんか良さそう」

 茜は一本の木の前で立ちどまり、ひとつの果実をもぎ取った。

「なんか大きい桃みたいで肉厚そう!」

 しかし、喜々としてはしゃぐ茜とは対象的に、瑠璃花は顔を引きつらせていた。

「何、それ……。よくそんなの、素手で触れるね……」

「触るどころか、これから食べるんだけど」

「食べる……!? その、なんだか得体の知れない何かを!?」

 瑠璃花はようやく茜の言葉を理解した。

 そしてその瞬間、猛烈に帰りたくなった。

「理解できない……」

 瑠璃花を無視してパッチテストを始める茜。パッチテストとは、食べようとしている食物に毒があるかどうかを確かめる方法だ。果汁を腕にこすり付け、しばらく放置して皮膚が赤く腫れなければ、第一段階はクリアとなる。

 もちろん、瑠璃花は茜が何をやっているのか理解していなかったが、もはや突っ込む気力もなかった。

「よし、これで問題なければ……」

 しかし、異常はすぐに現れた。

「……あ、い、痛っ! ヒリヒリする! すごくヒリヒリするわよこれ!」

 痛みがあるということは、毒があるということ。しかもこれほど短時間で分かるということは、かなり毒性が強いことを意味している。

「痛い。あっ……あっ……電気が走ったみたいに……う~変な感じぃ~……」

「茜が何をしてるかよく分からないけど、スタッフの反応で、それだけは絶対に食べちゃダメなやつってよく分かった」

 スタッフは片手でカメラを持ちながら、空いた手と首を思い切り横に振り、ものすごく険しい顔をしていた。

「も~! 早く何か見つけないと、日がくれちゃうわよ~!」

「やっぱり植物はダメ。毒あるし。わたし、最期はPC冷却ファンの音を聞きながらって決めてるから」

「だったら動物を捕まえるしかないかもね」

 瑠璃花は捕まえた野生動物を捌く姿を想像した。もっと無理だった。

「いっそ、何も食べなくても……」

「アカネが何か獲ってきてあげる! 瑠璃花は砂浜で待っててね!」

 茜は瑠璃花の言葉を聞かず、颯爽と森の奥に消えていった。

 瑠璃花は後悔した。さっき海で大人しくしていれば、きっと茜が何か魚を獲ってきてくれただろうに、と。魚であれば、見た目もさほどキツくないだろうし、味だって自分の知っているものとさほど変わらない気がした。

「ホント、無理なんですけど……」

 そう言った瞬間、ウゲーッ! という、謎の怪鳥の鳴き声が響いた。

 茜が捕まえてきたのは、広い意味では動物だった。

 しかしほ乳類ではなく、瑠璃花が想像すらしなかったものだった。

「そろそろいいかな?」

 すっかり日も暮れた、真っ暗な海岸に真っ赤な炎が灯っている。

 茜と瑠璃花は、炎にくべられた巨大なヘビとトカゲの丸焼きを挟み、向き合っていた。

「はい、どーぞ」

 瑠璃花は思った。こんなのは、アイドルじゃない。

「頭おかしいんじゃない?」

「え? なんで?」

「説明いる?」

「……やっぱダメ?」

「なぜいいと思ったのか分からない」

 ヘビは瑠璃花のほうを向いて、大きく口をあけていた。まるで小さな瑠璃花の身体ぐらいなら、まるっと飲み込んでしまえそうなほどの迫力。そんなものに、瑠璃花は口をつける気にはなれなかった。

「鶏肉みたいでおいしいんだけどな」

 そういって茜は、トカゲの丸焼きに噛みついた。

 それは率先して口をつけることで、少しでも瑠璃花が食べやすいようにという配慮だったが……逆効果だった。

「理解できない」

「瑠璃花もどう?」

「食べるわけない。……わたし、もう無理」

 瑠璃花はその場に立ち上がった。

「瑠璃花?」

「帰る」

「え? ど、どうやって……」

「朝一で帰る。スタッフに外の島に連絡してもらう」

「それは、リタイアするってこと?」

「そう」

 まったく無名のプリティ→プリンセスにとって、それは致命傷になりかねない決断だった。プリティ→プリンセスは今回のような過酷な企画を率先してやることで、他のアイドルと差別化して仕事をとってきた。だけどそのアドバンテージすら手放すということは、アイドルとしてメディアに露出する機会を永遠に失うと、そう言っても過言ではなかった。

「……そう」

 茜はそれだけ言って、食べていたトカゲを置いた。

 そして責めるでもなく、ゆっくりと口を開いた。

「ま、そうだよねー。こんなの、普通のアイドルには務まらないし。やっぱり、愛と美貌あふれる、スーパーアイドルアカネちゃんぐらいにしか、できない仕事なのよねぇ」

 いつもみたいに笑いながらの、軽口。

 瑠璃花はそんな茜を見て、なおのこと怒りを募らせた。

「どうして茜はいつもそうなの?」

「何が?」

「無人島に放り込まれて、トカゲ食べさせられて、同じユニットのわたしには文句ばかり言われて。……どうして平気なの?」

「どうして……。それは……」

「それは?」

 茜は言葉を詰まらせた。話すべきかどうか、迷っていたからだ。

 真面目な話をするのはキャラじゃない。それに、恥ずかしい。そういう思いがあった。

 だけど茜は、自分の身体を張った芸風に瑠璃花を巻き込んでしまい、責任を感じていた。それに何より、瑠璃花とは笑ってこのロケを終えたい。……最終的には、その気持ちが勝った。

「……アカネってば、はしゃいでるのよ」

「まあ、それはいつものことだよね」

「そ、そういうことじゃないって!」

「じゃあどういうこと?」

「……瑠璃花といられるのが、嬉しいの」

「え?」

 茜は顔を真っ赤に染めた。

「だ、だから! ……嬉しいのよ。アカネなんかと、ユニット組んでくれてさ」

「……何をいまさら」

「それはそうなんだけど……」

 やっぱり、こんな話をするのはガラじゃない。

 だけどここまで来たら、もう覚悟はできていた。これからふたりでやっていくには、伝えておかなければ、いや、伝えておきたいことだったから。

「アカネってば面倒で苦しいことって大嫌いで、前のユニットとかでも問題起こしまくってたのよね。だから、メンバーからも総スカンくらっちゃってさ。アカネがたまに真面目にやろうとしても、まともに取り合ってくれなかったの。……そしたら、いつの間にかユニットが解散してた」

 自業自得だなと、瑠璃花は思った。

 だけど口にはしない。茜自身がそれを悔いて改め、そして実際に変わったことをよく知っていたから。だったら、改めて指摘する必要はない。

「解散記念ライブとか、やってたよね」

「ちょっ!? なんで知ってるの!?」

「電子の海で泳いでいるときに、ちょっと」

「アカネの黒歴史なんだからやめてよね! あのときは解散すらネタにしないといけないくらい、追い込まれてたのよ!」

 茜はコホンと咳をして、仕切り直す。

「解散して独りになってみて、ふと思ったのよ。自分はあのメンバーと何も残せなかった、何も築けなかった、自分は必要のない存在だった、って。……遅すぎるけど、それで本当に変わろうって思った。だから……」

「だから……?」

「瑠璃花といると、自分は実際に変われたんだって思える。いままでは誰も相手にしてくれなかったアカネのこと、瑠璃花は気にしてくれる。バカじゃないの? とか、理解できない、とか、言ってくれる。前のメンバーは、アカネには極力関わらないようにしてた」

「それが、嬉しいの?」

「そう。理解できないって台詞は、理解してくれようとしてる証拠だから。……だから、瑠璃花となら、何か残せるかもしれないって思うの」

「……どうしてそうなるかな。ホント、理解できない」

 瑠璃花はハッとして口を押さえた。

 そして茜の言うとおり、瑠璃花は自分で思っている以上に、茜のことを気にかけるようになっていたことに気付く。プリティ→プリンセスを結成したばかりの頃は、茜のことに興味などなく、むしろ早く解散すればいいと思っていたのに。

「……はぁ。言いたいことはわかった」

「そりゃどうも」

「だけど……」

「うん?」

「そんなくさいこと、真剣な顔で語って恥ずかしくないの?」

 茜は真顔のまま、固まった。

 そして表情を変えず、頬を紅潮させていく。

 揺らめく炎にあてられたのだとしても、不自然すぎるほど真っ赤だった。

「う、うううるさい! 何よひとがせっかく真面目に話したのに! だから嫌だったの! ていうか!? アカネだってキャラじゃないって分かってるし!? ……も、もう何よ! バーカバーカ!」

「煽り耐性低すぎワロタ。アカネって絶対、ネットで悪口書き込まれて、すぐにレスバ始めちゃうタイプ」

 瑠璃花はそれだけ言うと、目の前のヘビの丸焼きが刺さった棒を手に取った。

「は? 何やってんの?」

「うるさい。明日、イカダ漕ぐんでしょ? ……食べないと、絶対に体力もたないから」

 そう言って、ヘビの丸焼きに噛みついた。

「瑠璃花……」

「……最悪。この味、一生忘れない」

 瑠璃花にとって、元は続ける気などまったくなかったプリティ→プリンセス。

 だけどいまでは、なくてはならない面倒くさい場所。

 茜には絶対に言えないけれども、そう思っていた。

「……ホント、ありえない。ヘビまで食べたのに、結局脱出できないとか」

 無人島ロケが終わり、神楽ヶ丘学園に帰ってきたふたり。あの夜をきっかけにふたりの距離は縮まったかと思いきや、むしろ以前よりも離れていた。

「あー、また言った! もうあれから三日も経ってるのに!」

「茜が脱出先の島を間違えた。わたしは違うって何度も言った」

「仕方ないでしょ! 漕いでるうちに方角が分からなくなっちゃったんだから!」

 ふたりは一応、無人島から脱出して他の島に降り立った。降り立って、泣いて興奮して、抱き合いながら喜んだ。だけどそこにスタッフが近づいてきて、申し訳なさそうに言った。ここ、違う島です。……ふたりには、再びイカダに乗って海にこぎ出す体力も気力も、残っていなかった。

「わたしの涙を返して」

「ていうか瑠璃花こそ、ちっともイカダ漕がなかったじゃん! もっと協力してくれたら、潮に流されなかったかもしれないのに!」

「初めからわたしの体力をあてにするほうが間違ってる」

「開き直るな! もー! せっかくいい感じに分かりあえたと思ったのに、どうしてこうなるのよー!」

 青い空に向かって吠える茜。瑠璃花はそれを冷ややかに見つめながら、呟いた。

「……はぁ。やっぱ、リアルってクソだわ」

 ふたりが本当の意味で分かりあい、トップアイドルに登り詰めるには、まだまだ時間がかかりそうだ。

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【あおガルシナリオ集】小説『再生の詩』(GE:NESiS)

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、特設サイトで公開されていたWeb小説『再生の詩』(GE:NESiS)を紹介します。

小説『再生の詩』(GE:NESiS) ●執筆:執筆:瀬戸涼一


 それは、すべての始まりにふさわしいステージだった。

 GE:NESiS(ジェネシス)――神楽ヶ丘学園の中等部にして、無限のポテンシャルを秘めた、創世記という意味のアイドルユニット。彼女たちは、学内開催という小さい規模ながらも、アイドル界の重鎮も観に来るライブに急遽補欠として参加し、見事なステージを披露した。なかでもセンターの麗華のパフォーマンスは 、他の高等部ユニットメンバーをも完全に凌駕していた。

 一糸乱れぬ正確なダンス。だがそれでいて躍動感溢れており、他のメンバーを見事に牽引する。そしてそれは歌唱面でも同じで、伸びのある澄んだ彼女の歌声は、メンバーたちと見事なユニゾンを奏で、ステージの奥の奥まで響き渡った。

(これまでで、最高のパフォーマンスだわ……!)

 彼女も、メンバーも、そして観客たちも、その共通認識があった。

 愚直なほど真摯にレッスンに取り組んできた彼女たちの努力が実を結び、認められた瞬間。誰もが彼女のこれからの活躍を期待したし、神楽ヶ丘学園のナンバーワンユニット、ヴァルキュリアにだって手が届くかもしれないと思った。

 しかし、問題はあった。

 それは麗華と、他のメンバーに実力差がありすぎたこと。

 更菜、希、美雪、理子が悪いわけではない。一線級の力をもっており、特に更菜は、通常であれば、間違いなくユニットのセンターに抜擢される腕前だ。

 しかし、麗華が強すぎた。

 同じユニット内での明確すぎる実力差は、必ずしも良い方向には向かわない。

 彼女たちのライブを観て、そう感じた人物がいる。ヴァルキュリアのトップ、櫻花すばるだ。

 すばるはGE:NESiSのため、ヴァルキュリアのため、ひとつの決断をすることにした。

「あ、麗華! どこに行ってたのよ!? このあと打ち上げあるんだから!」

 麗華が控室に戻ると、同じユニットの希が駆け寄ってきた。

「ごめんなさい。少し風に当たりたくて……」

「そう? まあ、時間は破っていないわけだし、別にいいけど」

 麗華は浮かない顔をしていたが、希はそのことに気がつかない。

 と、そこに麗華といちばん付き合いの長い更菜が近寄ってきて、心配そうに麗華の顔をのぞき込んだ。

「何かあったの?」

 麗華は、話すべきか迷った。

 だが、冷静に考えると、話さないでいる理由はどこにもなかった。

 素直に、ステージ終了後に何が起きたのかを話すことにした。

「櫻花すばるに、会った」

「えっ……? えぇ!?」

 更菜だけではない。部屋にいたメンバー全員が顔を上げた。奥の方にいた美雪と理子も、麗華の元へ駆け寄ってくる。

「どういうことですの、麗華さん」

「ただ楽しく談笑していた……というわけではないな、その顔は」

「ヴァルプロに、入らないかって言われたわ」

 ヴァルプロとは、ヴァルキュリアが所属する学内プロダクションのことだ。

 その言葉を口にした瞬間、部屋の空気が変わった。

「それは……麗華がってことかしら?」

 希の言葉に、麗華は小さく頷いた。

「そう」

 つまり、櫻花すばるに認められたのは麗華だけ。

 自分たちは選ばれなかった。麗華以外は、そう思った。

「良かったね、麗華」

 短い沈黙のあと、真っ先に更菜がそう言った。

 いちばん素直に麗華を祝福し、認めた。

 嫉妬が先立ち、すぐにその台詞が出てこなかった希と理子は、自分を恥ずかしく思った。

「ごめん、麗華。そうよね、喜ばしいことよね」

「すまない。……そうだな。良かったじゃないか」

「いいの。気にしないで」

 だが、重要なのはその先だ。

 これから麗華がどうしたいか、ということ。

「あの……それで麗華さんは、ヴァルプロに行ってしまうのですか?」

「美雪、それはないだろう。だって麗華はGE:NESiSのエースだ。……そうだろ?」

 みなの視線が、一斉に麗華に集まる。

 麗華は一瞬だけ逡巡して、言った。

「わたしは……もっと上を目指したい……」

 GE:NESiSでとも、ヴァルプロでとも、明確な答えは出さなかった。

 だけどメンバーたちは、それで麗華のだいたいの気持ちを察したのだった。

******

「ストップ、ストップ!」

 希の声を合図に、全員が動きを止める。

「どうしたんだ、みんな。気が抜けている」

「そうですわ。まるで、首振り機能がない扇風機のようですわ」

「なんで扇風機? よくわからないけど、みんな本調子じゃないよね。……って、あたしもだけど……」

「み、みんな体調悪いのかな?」

 更菜が自信なく呟く。いつものダンスレッスンだったのだが、メンバーは明らかに動きに精彩を欠いていた。

「……そうね。今日のレッスンは休みにしようか」

「だ、ダメよ! レッスンは毎日しないと、上達しないじゃない!」

 麗華の提案に、希が大きく反対する。

 委員長気質で真面目な希は、妥協ということがどうしても苦手だった。

「でも、この調子で続けても効率が悪いわ。とりあえず休憩にしましょう」

「うぅ……わかったわ……」

 麗華に言われて、希はしぶしぶ了承する。これまでにはなかった、どこか遠慮のようなものがあった。

「「「「「…………」」」」」

 そして休憩中も、誰も口を開くことがなく、重苦しい空気が漂っていた。

「……はぁ。もうやめだ。こういう空気は苦手なんだ」

 最初に音をあげたのは理子だった。

 何かを振り払うように髪をかきあげ、麗華に向き直る。

「はっきりさせよう麗華。アンタ、どうするつもりなのさ?」

 実際、みんな気になっていた。昨日はうやむやにしてしまったが、麗華がどうしたいのか、はっきりと聞いていなかった。結局、それが気になり、みんなレッスンに身が入らないでいる。

「それは……」

「それは?」

 麗華は言葉を途切れさせる。

 そうやって十分に考えたあと、口を開いた。

「ヴァルプロには、行かない。だって、わたしはGE:NESiSのセンターだから」

 きっぱりとした麗華の口調に、メンバーは安堵のため息を漏らした。

「ほ、本当に!? じゃあこれからも、一緒にGE:NESiSを続けていけるのね!」

「その言葉が聞けて安心したよ」

「ええ。麗華さんのいないGE:NESiSなんて、メインディッシュのないコース料理のようなものですわ」

「心配かけたみたいで、ごめんなさいね。でも、これからもよろしく」

 そんな彼女たちを見ながら、麗華はこれで良いのだと自分に言い聞かせた。

「麗華……」

 だが更菜だけは違った。

 みんなが笑顔を浮かべるなか、更菜だけは憂いのある視線で麗華を見つめていた。

「はぁ……もっと練習しないと、麗華に追いつけないわ……」

 麗華がヴァルプロに声をかけられて以降、希は麗華と実力差を明確に意識するようになった。

 この日も夜中に、こっそりレッスンしようと、学園へとやってきた。

「あれ? 誰か使ってる?」

 気分転換にと、いつもと違うレッスンルームを訪れると、そこには先客がいた。

 熱心な生徒もいたものだと感心してなかを覗くと、そこにはよく見知った顔があった。

「れ、麗華……!?」

 汗を飛ばし、一心不乱に踊る麗華が、そこにはいた。

「……この曲、GE:NESiSの持ち曲じゃなくて……ヴァルプロの……」

 麗華は微かにだが、声を出して歌ってもいた。よく見る光景だが、それが自分たちの曲じゃないというだけで、希は何か違うものを見ている気分になった。

 麗華の動きには一切の澱みがなく、ヴァルプロのライブを完璧に再現していた。

 それだけじゃなく、指の先までキレのあるダンス、目を惹きつけられる緩急あるジェスチャー。希たちが最高のコンディションで、会場の雰囲気やファンの応援に後押しさ
れ、ようやく手の届いた至高のパフォーマンス。

 それを麗華はこのレッスン場で、ひとりで実現していた。

(熱量が違う……麗華の気持ちが乗ってる……もうあたしたちとのライブじゃ、麗華を本気にさせられないの?)

 複雑な感情が荒れ狂い、この場から走って逃げ出したくなる。それでも希は唇を噛み締め、麗華の姿を目に焼き付けた。

 次のライブに向け、新しい振り付けを身につけるため、GE:NESiSのメンバーはレッスン場にこもっていた。

「麗華、話がある。みんなも聞いて」

 レッスンを中断し、唐突に希が口を開いた。

「希、急にどうしたのですか?」

「麗華、アンタ、ヴァルプロ行きなよ」

 麗華の顔を見て、真っ直ぐに言い放つ。

 それは希が麗華のレッスンを見て、一晩中悩み、決めたことだった。

「どうして? わたしが何かした?」

「麗華のせいじゃない……ううん。やっぱり麗華のせいかな?」

「希……」

 更菜が小さく呟く。彼女だけが希の気持ちを、考えていることを理解していた。

「急にどうしたんだ希? この前は反対してたのに」

「気が変わったの。麗華はヴァルプロに行った方がいい。ううん。行かないとダメ。でないと……」

「その話は、この前終わったはずよ。わたしはGE:NESiSに残るって」

 麗華も、なぜ希が話を蒸し返すのかわからなかったが、以前と同じ結論を口にする。その気持ちに変わりはなかったからだ。

「そうよね。麗華は一度決めたことは、ちゃんとした理由がないと止めたりしないよね。……だから麗華、あたしと勝負してよ」

 それは、唐突すぎる提案だった。

「あたしが勝ったらヴァルプロに行って」

「……断るわ。勝負をする理由がないもの」

「おい希。今日のお前、なんか変だぞ」

「別に変でもおかしくもなってないから。麗華、勝負してくれなきゃ、あたしはGE:NESiSをやめる」

「希さん、何を……」

 自分がズルい言い方をしているのはわかっていた。それでも、これは必要なことだった。

「……わかったわ。一度だけよ」

 希の意志が変わらないことを知り、麗華は重々しく頷いた。

「それと、麗華にはリクエストがあるの。この曲でやって」

 希が自前の音楽プレイヤーをスピーカーに繋ぐと、昨晩麗華が踊っていたヴァルプロの曲が流れ始めた。

「こっちの方がやる気がでるでしょ。……麗華が先攻だから」

「いいわ。じゃあ早く終わらせてレッスンに戻りましょう」

 麗華の声が、少しだけ低くなる。どんな形であれ、勝負となったら麗華は手を抜いたりはしないし、できない。希の思惑通りだった。

「いくわ」

 麗華の力のある歌声が、レッスン場に広がった。

 動きは緩急があり、鋭く、美しい。まったく危なげがなく、安心して見ていられる。何度も何度も、反復練習した結果だった。

「麗華さん、綺麗ですわ」

「……まさか、ここまでとは」

「麗華……」

 麗華のパフォーマンスは当然のように完璧で、ただのファンならすばらしいと喝采していただろう。でも、毎日一緒にレッスンをする、同じアイドル候補からすればただ魅せられる以上に、圧倒され、その実力の違いを理解してしまう。

 やがて一曲歌い終えた麗華が、希たちの方を向く。

「ど、どうしたのみんな?」

 希だけじゃなく、理子や美雪、更菜までどこか泣きそうな顔で、麗華の前に詰め寄ってきていた。

「麗華……希の言う通りだ。アンタはヴァルプロに行った方がいい」

「私たちでは、麗華さんのお役にたてません……」

「麗華も、自分の気持ちに素直に……自分のやりたいことをやって?」

 麗華は思い悩んだ。

 ここでみんなを放り出してしまうのは、無責任だと思う。

 だがたしかに、ヴァルプロに挑戦したいという思いは強かった。

 正直に言って、最近のレッスンにはまんねりを感じるほどに。麗華にはもっと試したいこと、挑戦したいことがあった。

(だったら……。みんなが背中を押してくれるのなら……)

 甘えてみよう。麗華はそう思った。

「……分かった。わたし、ヴァルプロに行く!」

 口に出してしまえば、覚悟は決まった。

 学内の、いや全国でも有数の学プロで活躍すること。それがメンバーへの恩返しでもあった。

「いまは! あたしたちは麗華を本気にさせられない! 麗華の本気についていけない! でも、すぐに追いつくから!」

「ええ。先に行っていてくださいまし」

「うん。わたし、行ってくる。そして、みんなを待ってる」

 この日、一度GE:NESiSは分裂した。

 みなで再び、再会できる日を夢見て、麗華を送り出した。

 決意を新たにした麗華は、すぐレッスン場から出ていった。

 やると決めたからには妥協も躊躇もなく、目的に向かって走り出す彼女らしかった。

「これで、良かったのですよね?」

 そう言う美雪の声は震えていた。最善だとわかっていたが、感情は別だった。

 だが、それ以上に……。

「良くないわよ」

「希?」

 誰よりも、希がつらかった。

「良くないわよ! あたしが、あたしたちが! もっと麗華に負けないくらい、うまくやれていたら……!」

 希の頬には一筋の跡ができていた。痛くなるほどに拳を握りしめ、嗚咽を漏らした。

「でも、まだ終わりじゃない……だよな? いまは無理だけど、すぐにアタシたちもあそこまでいくんだろ?」

「もちろんよ。絶対……絶対に、麗華の隣まで行くんだから!」

「ふふ……それでこそ希ですわ。きっとできますとも」

 理子と美雪に励まされ、希の拳から力が抜けていく。

 しかし胸の内に生まれた熱は、マグマのように滾っていた。

「レッスン始めるわよ。これからは一分一秒だって、無駄にしないんだから」

 大きく深呼吸した希が、声を上げる。

 強く、決意に溢れた声だった。

「ああ。いつまでも湿っぽくはしていられないな」

「瞬間湯沸かし器のようなって、こういうときに使う表現ですのね」

「いや、それは違う……ってあれ? 更菜はどうしたんだ?」

 さっそくストレッチを始めた希たちは、更菜がいなくなっていることに気がついた。

「麗華もみんなも凄いな……。でも、私は……」

 レッスン場を出た更菜は、麗華を追うでもなく、ひとりぼんやりと廊下を歩いていた。

(これからどうしたらいいんだろう……)

 すぐに辞める気はなかったが、麗華もいなくなったいま、最近微妙に居づらさを感じているGE:NESiSに、居続ける理由もあまりないような気がしていた。

(私、みんなの足を引っ張ってばかりで……GE:NESiSの邪魔になっちゃうかも)

 事実は逆である。麗華がいなくなれば、実力的には更菜がセンターをするのが最も適当だ。しかし本人はその後ろ向きすぎる性格が故に自覚がもてず、また周囲も更菜にセ
ンターをとられることを恐れて、素直にそのことを言い出せないでいた。

「高等部になったら、私もGE:NESiS抜けた方がいいのかな。……それに」

 更菜は麗華がいなくなったことで自分のなかに生まれた考えを、慌てて振り払う。

 そんなことを考えるなんてどうかしている。自分はどうしてしまったのだと、更菜はその場にしゃがみ込んだ。

 中等部ながら、学園で有数の人気を誇ったGE:NESiSはこの後、表舞台から一度姿を消す。

 彼女たちの再生の詩が響き渡るのは、全員が高等部にあがり、とあるプロデューサーとアイドルに出会ってからのことだ。

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【あおガルシナリオ集】小説『いま、この瞬間。』(Twinkle☆Star)

2019年1月31日にサービス終了を迎えたスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、特設サイトで公開されていたWeb小説『いま、この瞬間。』(Twinkle☆Star)を紹介します。


小説『いま、この瞬間。』(Twinkle☆Star) ●執筆:稲葉陸

 愛美は、飲み終えたドリンクの容器を、グシャリと握りつぶした。

 ストレートティーはエネルギーゼロ、脂質ゼロ、糖質もゼロ。ただ摂生すれば良いというわけではないが、愛美は計画的に食事を摂るようにしており、それ以外のものは極力口にしない。なぜなら、アイドルだから。キラキラ輝く、みんなのスターだから。見習い、という域はでないが、少なくとも愛美はそうありたいと思っていた。

 だから、目の前で繰り広げられている光景には、どうしても我慢できなかった。

「ん~っ! おいしい♪ このジャンクな味がたまならいよねっ♪」

「あら、本当。新作のスモークチキンバーガー、いい感じね」

 まるで学校帰りの女子高生みたいに(実際、そうなのだが)、笑いあうひなたと和歌。愛美の向かいには、ハンバーガーをビスケット感覚で二枚も三枚も平らげる、ご満悦の千尋。そして千尋の横に座った琴音だけが、愛美が噛みつぶしてギザギザになったストローを見て、オロオロと狼狽えていた。

「ひ、ひなたちゃん、和歌ちゃん……。ほら、一応Twinkle☆Starの結成集会だから、もう少し具体的な話を……」

「はぇ?」

 ひなたは口の端に、照り焼きソースをつけたままで言った。

「ほらひなた、ソースついてる」

 和歌は身を乗り出して、対面に座ったひなたの口をぬぐう。その動きは無駄がなく、まるで長年より沿った夫婦のような自然さがあった。

「ありがとう、和歌!」

「まったく。ひなたは本当に、私がいないとダメなんだから」

 少々和歌がひなたを甘やかしすぎな面もあるが、幼ななじみのふたりはこれで幸せなのであった。

「そ、そうじゃなくて……。ひなたちゃんからは何かないかな? 決意表明とか、今後の活動方針とか……」

「ケツイヒョーメー? カツドーホーシン?」

 ひなたには、琴音の言葉をうまく漢字に変換できなかった。

「さすが琴音ちゃん、難しい言葉知ってるんだねぇ!」

 琴音は苦笑いするしかなかった。

「いい加減にしなさい!」

 声を張り上げたのは愛美だ。

 Twinkle☆Starのなかで、唯一の三年生。最もアイドルに真剣で、プロ意識の高い、みんなのまとめ役だ。

「アンタたち、やる気あるわけ? ひなたは真剣さが足りなさすぎ、和歌はひなたを甘やかしすぎ、千尋にいたってはさっきからハンバーガー食べてるだけじゃない!」

「だってぇ、ここのハンバーガーは鶏の軟骨を使っててぇ、コラーゲンたっぷりでお肌にいいんだよぉ?」

「え? そ、そうなの?」

「うふふ、嘘だよぉ♪」

「なん、なの、よっ!」

 ダンと、愛美は激しくテーブルを叩いた。

 琴音はそれを見て、周りのお客さんに怒られないかと、恐る恐る店内を見渡した。

「……ダメ、頭痛い。これが新生Twinkle☆Star? ……不安しかないわ」

「お、落ち着いてください愛美さん。ほ、ほら、今後の話も大事ですけど、ここは友情を深めるってことで……」

「このままだと、溝が深まるわよ」

 愛美の正論に、琴音は何も言い返すことができない。

「……ねぇひなた。愛美さん、怒ってるみたいだし、そろそろ真面目に会議しましょうか」

「会議?」

 なんのこと? という感じでひなたは首をかしげる。

 愛美が本当に爆発しそうなほどフルフルと震えていたので、和歌が慌ててフォローに入った。

「ひ、ひなた!」

 和歌が小声で、しかし切迫したように訴えかけると、さすがにひなたも空気を読んだ。

「あ、そ、それならさ、みんなであたしの部屋に来ない?」

 ニヘラっとしか形容できない、緩みきった笑顔で言った。

「同じチームメイトとして、みんなと仲良くなりたいし! 愛美ちゃんもほら、学年なんか気にしないでいいからさ!」

「……アンタにはもっと、年上を気にして欲しいけどね」

「ん~っ! こっちのハンバーガーもおいしいぃ♪ エビがぷりっぷりよぉ~♪」

 まったくまとまりがなく、なんの進展もなく、時間だけが過ぎていく。

 元々、独創的だが真剣味の一切ないTwinkle☆Star(ひなた、和歌)と、真面目だが独創性のまったくなかったラブ・ビューティー(愛美、千尋、琴音)が合体してできた、新生Twinkle☆Star。足並みが揃わないのは、ある意味当然のことだった。

 五人も入れば身動きのとれない、ひなたの部屋。

 そのなかで愛美はベッドに上り、仁王立ちになって、近くの百円均一で買った小さめのホワイトボードに『議題、役職決め』と書き込んだ。

「これからTwinkle☆Starの役職を決めるわ! いいわね!?」

 だが昼間と同じで、愛美を見ているのは琴音だった。あとは思い思いの場所に視線を巡らせ、自由気ままに動いていた。

「今日ね、どうしても見たいテレビがあるんだぁ。だからいまのうちに録画予約しておこうと思って!」

「はぁ……ひなたのパジャマ姿……。お風呂上がりのいい匂い……。この香り、試験管に閉じこめて、採取場所と日付を書いて机の上に飾りたい」

「ねぇねぇひなたちゃん、これ開けていいかなぁ? 開けるね? というか、もう開けちゃったぁ♪」

 棚の上にあった小さな卓上冷凍庫を嬉々として開ける千尋を見て、愛美は手にしたホワイトボードを、ミシっとひしゃげさせた。

「お、おおおおお落ち着いてください愛美さん! ほら、パジャマパーティーって、楽しくてついテンション上がっちゃうんですよみんな!」

「だったら、私たちはいつ、まともな話し合いをすればいいの?」

「そ、それは……」

 チラっと、部屋の様子を見渡す琴音。多分、永遠に無理なんじゃないかと思ってしまい、慌ててその考えを振り払った。

「もういいわ。私は勝手に続ける。聞きたいひとだけ聞けばいいじゃない」

 その言葉すら誰も聞いていないんだけどなと琴音は思った。

「まず、なんといってもセンターを決めないとね。本来なら私が……って言いたいところだけど、ここはひなたにやってもらおうと思うわ」

「え? 愛美ちゃん、何か言った?」

「アンタがセンターだって言ったの!」

「あ、うん。オッケーだよ!」

 また、ホワイトボードがミシリと音を立てた。

 ユニットのセンターは、まさしく花形。誰もが憧れ、羨むポジションだ。もちろん、愛美だってセンターがいい。だが、先の学プロ承認ライブやその前のレッスンを見て、ひなたが適任だろうと譲った。そう軽い感じで返事をされては困ると思った。

(まあいいわ……。途中で相応しくないと思ったら、引きずり下ろしてやるんだから!)

 愛美は野心家だ。

 仲間であろうと、本気でぶつかって勝負したいと思っているし、他のメンバーにも自分に対してもそうであって欲しかった。

「ねぇひなたちゃん。冷凍庫にチョコレートが入ってるんだけど……」

「あ、それは食べちゃダメだよ千尋ちゃん」

「そうじゃなくてぇ……。これ、賞味期限がとっくの昔に切れてるんだけどぉ」

 取り出し、千尋が掲げる。

 正方形の箱に、ハート形の模様が描かれたパッケージ。成分表示の下にある賞味期限は、遥か昔を記していた。

「ねぇひなた。それって……」

「うん。お姉ちゃんにもらったものなんだぁ」

 ひなたは懐かしそうに目を細め、千尋からそれを受け取った。

「あたしの宝物だよ。七年前のバレンタインにもらったんだけど……これが、お姉ちゃんにプレゼントをもらった、最初で最後だから……」

 それが姉との、楽しかった最後の思い出だと言わんばかりに、愛しそうにチョコレートを抱きしめる。当時十一歳だったすばるが、なけなしのお小遣いでひなたに買ったものだ。

 いまひなたの姉は、到底手の届かないところに行ってしまった。

「連絡もとってなくて……いまどこにいるか、あたしは知らないんだぁ」

「まあ、そうだったのねぇ……」

「ねぇひなた……。ちなみに私は毎年チョコレートをあげてるわけだけど……それはどうしたの?」

「どうしたって?」

「い、いや。食べたとか、保存してるとか……」

「えー、食べたに決まってるよ♪ チョコレートって、食べるためにくれたんだよね?」

「そ、そうなだけど……。食べてくれるのは嬉しいんだけど……な、なんか負けた気がして複雑……」

 だからといって、ミイラみたいに何年も何年も冷凍庫で保存され続けるのも、なんだか違う気はした。

「次! 参謀を決めるわよ!」

「参謀?」

 聞き返したのは、当然琴音だ。

「参謀って、作戦とか立てるひとのことですよね?」

「そうよ。私たちの場合は、レッスンメニューを考えたり、みんなの動きを見てアドバイスしたりする係かしら」

「え? それはプロデューサーとかトレーナーさんがやるでしょうし、両方ともいない場合は、ひなたちゃんがやるんじゃ……」

「もちろん、そうよ。だけどひとりでは手に負えなくなる可能性がある。……特に、ひなただと……」

「……そうですね」

 ひなたちゃんなら大丈夫ですよとは、琴音も言えなかった。

「もちろん、私も最年長としてサポートするけど、カバーしきれるか分からない。ということで、参謀は琴音にお願いするわ」

「え、えぇ~! 私ですかぁ!?」

 とは言ったが、いまの話の流れだと、それ以外はむしろあり得なかった。

「琴音なら大丈夫よ。勉強もできるし、参謀として向いてると思う」

「勉強は関係ないですよ!」

 琴音は、この神楽ヶ丘学園芸能科において、学年二位の成績をおさめている。そのことでよくメンバーからは弄られるが、事実琴音は至極真面目な性格で、普段の勉強もレッスンも怠らない。責任ある立場につくのは妥当だと言えた。

「みんなも、それでいいわよね!?」

「うん♪ 琴音ちゃんなら安心して任せられるわぁ」

「私も、琴音なら異論ないです」

「千尋さん、和歌ちゃんまで……」

「ひなたもいいわね?」

「え? あたし? というか、一体なんの話……」

「いいわね!?」

 愛美はこれ以上のグダグダを避けたかった。有無を言わせず了承をもぎ取るつもりだったが、ひなたの保護者である和歌が助けに入った。

「ひなた、琴音をTwinkle☆Starの参謀にするって話よ」

「サンボー?」

「作戦を立てるひとのことよ」

 かなりざっくりとした説明だったが、愛美はもうそれでいいと思った。

「あたしも! あたしも賛成! だって琴音ちゃん勉強できるし、大丈夫だよ!」

「あ、ありがとう。ひなたちゃん……」

 あっけらかんと言い放つひなたに悪気はない。悪気は、まったくない。琴音は自分に言い聞かせた。

「それじゃあ、新しい参謀の誕生に拍手~!」

 狭い部屋に、大きな拍手が巻き起こる。

 やや無理矢理ではあるが、昼間の作戦会議から六時間、ようやくひとつTwinkle☆Starのこれからが決まった。

「果てしなすぎでしょ……」

 そう。トップアイドルまでの道は、どこまでも、どこまでも果てしない。ひとよりもずっと後ろにスタートラインを引かれている彼女たちにとっては、なおのことだった。

『本日は櫻花すばる特集ということで、彼女を良く知る神楽ヶ丘学園の生徒、天道輝音さんにお越し頂いております』

『はい。よろしくお願いします』

 みんなが寝静まった真っ暗な部屋に、テレビの音が響いた。

 ひなたはみんなを起こさないように音量を最小にまで絞り、テレビと自分に毛布をかぶせて、光が漏れないようにして観ていた。

「お姉ちゃん……」

 神楽ヶ丘学園出身のトップアイドル、櫻花すばる。

 彼女は鳴り物入りで姿を現すと、、あっという間に一世を風靡した。テレビで彼女を見かけない日はなかったし、CDは出した端からトップセールスを記録した。

 誰もが彼女に憧れ、恋をした。……だがある日、櫻花すばるは、なんの前触れもなく、忽然と世間から姿を消したのだ。

 病気、異性関係、巨大な謎の組織に消されたなど、様々な憶測が飛び交った。公式的には休業とされているが、それ以上の情報は何も公開されていなかった。

 そして、櫻花すばるは何を隠そう、ひなたの姉だ。

「それ、お姉さんの番組?」

「え……あ、うん」

 ひなたが横を見ると、和歌が起きてきてすぐ隣にいた。

「げっ。天道輝音が出てるじゃない……」

「わ、悪いひとじゃないよ、きっと」

 ひなたは、同じ学園の先輩でもある天道輝音に、少しキツいことを言われた。そのこともあってふたりは、彼女が櫻花すばるの理解者として話しているのを見ると、複雑な気持ちになる。

「お姉さん、また会えるといいね」

「……そうだね」

 和歌の何気ない言葉に、ひなたは複雑な気持ちになった。

(あたしはお姉ちゃんに会いたいのかな……?)

 ひなたは姉のことは好きだったが、同時に怖いとも思っていた。

 事実、この学園に入ってひなたは、苦しいときは姉を思い出した。姉ならこうするだろうと考えて心の支えにしていた。だが自分が未熟なこともよく分かっていたので、トップアイドルたる姉に会えば、きっと幻滅されるとも思っていたのだ。

「大丈夫よ。ひなたはひなただから」

 ひなたが暗い顔をしていたことに気づき、和歌がそっとフォローする。

「別にひなたはお姉さんを目標にしてるわけじゃないでしょ? 私たちは私たちにしかなれない、オンリーワンを目指そうって決めたじゃない」

「……うん」

 自分がアイドルを目指していることに、姉は関係ない。ひなたはそう考えている。

「大丈夫。お姉さんはいなくなっちゃったけど、私はいなくならないから」

 和歌は、ぎゅっとひなたの手を握った。

「私は、ずっとひなたの側にいるよ」

「うん……。ありがとう」 ひなたは、自分は仲間に恵まれていると思う。

 ワガママで、鈍くさくて、手品ぐらいしか取り柄がない自分に、みなついてきてくれる。姉に憧れてアイドルを志したけど、いまではみんなと一緒にアイドルになることが、夢に変わりつつある。

「和歌」

「何?」

「ずっと一緒に、アイドルでいてね」

「……そんなの、あたりまえでしょ」

 和歌はいつか、ひなたが姉を追って自分たちの元から離れていくのではないかと思っている。

 だけどそれは、まだまだ先の話。

 いまこの瞬間は、ひなたや仲間たちと、他にはないオンリーワンのアイドルとして輝いていたいと、そう願っていた。

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【あおガルシナリオ集】メモリアル「岩倉 寧々」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「岩倉 寧々」編を紹介します。


目次
SSR:新世界から1
SSR:新世界から2
SSR:新世界から3
SSR:新世界から4
SR:友達できるかな1
SR:友達できるかな2
SR:穏健派ですが
SR:細やかな努力

SSR:新世界から1

ーー学食

●寧々
最近、人と話す時に緊張しなくなってきて…。

…みんなが仲良くしてくれるおかげ、だと思います。


だんだん、自信がついてきて……!

●プロデューサー
ソロでステージ立ってみようか?

●寧々
……え。

えええええええっ……!?

ひうっ……び、びっくり、した。

あ、ご、ごめんなさい……私の声が大きくて、自分で、自分に……。

えっと……ソロステージをやる……。
って、本当ですか……?

●プロデューサー
頑張れる?

●寧々
………。

が……がんばり、ます……。


……や、やっぱり……いや、なんでも、ないです。
ぅぅうぅぅぅうううぅう……。

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SSR:新世界から2

ーープロダクション室

●寧々
ど、どうしましょう……。

ソロライブのチケットが完売……しちゃいました……。


うぅぅぅ……小さなステージだけど……。
どうしよう、人がいっぱい……。

嬉しい、ですけど……。

●プロデューサー
ファンは味方だよ。

●寧々
……そう、ですね。

……うぅ、でも、怖いです……。

お客さんが、みんなプロデューサーさんだったら……。
緊張しないのに……。


……冗談じゃないですよ?

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SSR:新世界から3

ーーステージ裏

●寧々
お客さんは怖くない……。

怖い怖いって聞いてた、ホラー映画だって、面白かったんだから……。


お客さんも怖くない。
ゾンビは怖くない。
お客さんはゾンビ……。

あ、でもゾンビは噛みつく……。
お客さんも、噛みつく……。

うぅぅ……。

●プロデューサー
大丈夫?

●寧々
……私、最後まで、勇気出なくて……。

ダメな子、ですけど……。

●観客
――ワアアアアアアッ!!

●寧々
ひぅっ! ……うぅ……待ってるファンがいて。
……みんなも、プロデューサーさんも応援してくれて……!

勇気は、ないけど。
逃げたく……ないからっ!


だから……行ってきますっ!
そこから、見ていてください……っ!

目次へ戻る

SSR:新世界から4

ーーアリーナ

●寧々
あ、ありがと……本当にっ! 今日は……みんなっ!


●観客
――ワアアアアアアッ!!

ーー控室

●寧々
プロデューサーさん。
私……ビックリ……しました。

ファンの人って、全然知らない人なのに……。

優しくて、なんだか、あったかくて……。

私のことを応援してくれてるんですね。


●プロデューサー
そうだよ。

●寧々
……うぅうぅうう……。

私も……ファンの人に何かもっと……。
……お喋りは無理でも、お返しできたら……。

プロデューサーさんにも、みんなにも……私、このあったかい気持ち。

届けてあげたい、です!

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SR:友達できるかな1

ーー学園内広場

●寧々
ぬいぐるみさんをくれたんです、くるみちゃんが……。


ぬいぐるみに話しかけて、
お話の練習をしたらいいんじゃないかって……。

でも、変ですよね……?
話しかけるなんて、ぬいぐるみに……。

●プロデューサー
かわいいよ。

●寧々
そう……ですか?

……プ、プロデューサーさんが、
か、かわいいって言うなら……。

がんばって、みます。

お話、がんばります。

でも、ぬいぐるみさんは、
どんなお話が好きなんでしょう……?


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SR:友達できるかな2

ーー廊下

●寧々
ぬいぐるみさんとあんまり仲良くできなくて。


目線が、怖い、というか……。

本当に目が合うと……。
どうしても、緊張してしまって……。

それに……えっと、私の話が楽しくない、と
訴えかけているように感じてしまい……。

黙ったままで、何を考えているのか、わからないですし……。

ユニットの仲間に何を話したらいいか、相談したりしてるんですけど……。

あ、みんなはアドバイスたくさんくれるんですよ?

一緒に身体を動かしたらどうかとか、
『将を射んと欲すればまず馬を射よ』とか。

すごく、親身になってくれて……。

●プロデューサー
仲良しだね。

●寧々
……そ、そうですね。
話すこと増えたおかげで、仲良くなった……かも、しれません。


……あ、あれ? それってつまり、
私、みんなと友達になれた、ってことですかね?

…………。

プロデューサーさんは、いつも、
私が思いもつかなかったことを、教えてくれますね

えへへ……。

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SR:穏健派ですが

ーープロダクション室

●寧々
自分に似合う水鉄砲を探せ、
なんて言われても……うーん。

そもそも、私に似合った水鉄砲があるのかどうか。
そっちの方が難しいというか、問題のような気がする……。


とりあえず……。
無難に、使いやすそうなヤツにしよう。

えっと……じゃあ、このオートマチック型の水鉄砲……とか。

うん。これに、しようかな。
どう思いますか、プロデューサー?

中に入れられる水は、ちょっと少ないかもしれませんが。

でも、水……いや、弾がたくさんあると、
気軽に使いすぎて、すぐに撃ち尽してしまいますから。


ゾンビ映画だと、弾を無駄撃ちする登場人物ほど
先に食われ……いえ、退場させられてしまいますので。

1発1発を確実に当てる……
ワンショットワンキルが出来るヤツが一番生き残れる。

この前見た映画も、そうでした。
マシンガンを持ったお調子者は弾が切れた途端にやられた……ので。

弾の数は心の余裕。
でも……余裕は、すぐ油断に変わる、から。

少しくらい追い詰められている方が、生き残れる。

だから、もし目の前にゾンビが現れたら……私は、ハンドガンを選びます。

絶対、逃さない。確実に打ち抜く。

ーー選択肢1
●プロデューサー
頼りになるね

●寧々
シューティングゲーム、ちょっと得意ですから。

ーー選択肢2
●プロデューサー
すごい自信。

●寧々
シューティングゲーム、ちょっと得意ですから。

●寧々
……あ、でも。

プロデューサーがもしゾンビになったら……
その時は、撃てないかも。

あの……プロデューサー。

もしゾンビになったら……私のこと、ためらわずに撃ってください。
プロデューサーに迷惑は、かけたくないですから。

…………。
もしかして、そういう問題じゃない?

目次へ戻る

SR:細やかな努力

ーー旅館

●寧々
あっ、あの……プッ、プロデューサーさん!
おっ、お願いがあります!

も、もうすぐお月見撮影に行くん……ですよね。

●プロデューサー
そうだよ。

●寧々
そ、そうですよね。

実は、撮影の前にお月見について勉強したんです。
そしたら、飾り付けとしてススキが必須だって……。

そもそもお月見は、作物の収穫に感謝するためのお祭りで、
だから、ススキは稲穂の代わりにお供えするものらしい、です。


それで、ネットで撮影に行く旅館を調べたら、
近くにススキが生えてる場所があるって書いて、あって。

だから、時間があったら、
取りに行きたいんですけど、いいですか?

せっかくもらえた大切なお仕事ですから。
ちょっとくらい、役に立ちたいなーなんて思っ……たので。


●プロデューサー
もちろん。

●寧々
あっ、ありがとうございます。

よ、よかった……です。反対されたら、どうしようかと。

あ、ありがとうございます……ススキ、たくさん取りましょうね……。


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【あおガルシナリオ集】メモリアル「乙葉 くるみ」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「乙葉 くるみ」編を紹介します。


目次
SSR:ぷちプリンセス1
SSR:ぷちプリンセス2
SSR:ぷちプリンセス3
SSR:ぷちプリンセス4
SR:銀幕の豆女優1
SR:銀幕の豆女優2
SR:ヒロイン登竜門1
SR:ヒロイン登竜門2

SSR:ぷちプリンセス1

ーー廊下

●くるみ
むぅ~……。
悠くんなんて知らないです!

●プロデューサー
どうかしたの?

●くるみ
プロデューサーさん、いいところに来たです! 聞いてほしいのですよ!

悠くんったら、くるみのショートケーキ食べちゃったです!
大切にとっておいたのにひどいのです!

それなのにこの間くるみが限定シュークリームを
食べたからおあいこだー、なんて……。
……まあ、食べたのはホントですけど。

でもでも、そっちはごめんなさいしたです!
なのに悠くんは『くるみには一番おいしいイチゴあげたから許すべきだ』
なんて言うです!


……まあ、イチゴ一番好きですけど。

それで、ケンカになって……。
悠くん、怒って帰っちゃったです。

今日は2人で出かける約束だったですよ。なのに……。

…………。

ちょっとだけ、寂しいかもです。

●プロデューサー
代わりに付き合うよ。

●くるみ
……! ホントです!?

わーい! くるみ今日はラッキーです!
えっと、えっと……ショッピング!
お小遣いあんまりないですけど、ショッピングしたいです!


目次へ戻る

SSR:ぷちプリンセス2

ーー街中

●くるみ
えっとえっと、プロデューサーさんはどこ行きたいです?
くるみは~……お洋服を見たいです!

あとクレープ買ってー、公園をお散歩してー、
やりたいこと、いっぱいあるですよ!


●プロデューサー
慌てなくても大丈夫だよ。

●くるみ
でもでも、時間はユーゲンって、麻里紗さんも言ってたです!
それにプロデューサーさんはいつも忙しそうですし……。

くるみに付き合ってくれたお礼に、
いっぱい癒してあげるですよ!

……あれ? でもプロデューサーさんはどうやったら
癒されるーってなるですか?

くるみはユニットのみんなと一緒にいるだけで
いつでも元気百倍になれるです!


●プロデューサー
悠とも仲直りしないとね。

●くるみ
あー、うー、それは……。

あっ、あのお洋服可愛いです!
見てください! というか見に行きましょう!


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SSR:ぷちプリンセス3

ーー控室

●くるみ
うぅ……。
フカクです……シッタイです……。

あ、プロデューサーさん……。
くるみ、悠くんと仲直りできなかったです……。

最初はうまくいってたです。
でも、悠くんにプロデューサーさんと遊びに行ったって
お話をしたら、独占はヒキョーだって言われたです……。


でもでも、もとはといえば悠くんが
約束をすっぽかしたのが原因なのですよ?
くるみはフカカイすぎて、ちょっと困ってるです。

人間関係はフクザツカイキだって、麻里紗さんの言ってた意味が
ちょっぴりだけわかっちゃったです……。


だけど今日は悠くんとお仕事が一緒で……。
ちょっとだけユウウツなのです……。

●プロデューサー
大丈夫?

●くるみ
……だ、大丈夫なのです! 悠くんもくるみもプロですから!
仕事にシジョーははさまない、オトナの女なのです!

お気遣い、ありがとうございますです!

お仕事は、いつものステージです?
それじゃ、先に行ってるのです!

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SSR:ぷちプリンセス4

ーーアリーナ

●悠
最後っ! くるみ、合わせるよ!

●くるみ
はいです! せーの――。

●くるみ&悠
みんな、今日はありがとー!


ーー控室

●くるみ
おつかれさまなのです! プロデューサーさん!

●プロデューサー
息ぴったりだったね。

●くるみ
トーゼンなのです!
悠くんとは、いつでも息ピッタリなのですよ!


●プロデューサー
悠と仲直りできた?

●くるみ
えっと……はいなのです!

……あのね、プロデューサーさん。
今回のケンカで、いっぱい迷惑かけてごめんなさいです。

でももう大丈夫!
悠くんとは、もっと仲良くなれたですよ!

ケンカもしないし、ケーキは仲良く半分こにするです!

……あ、でも。

ケンカしたおかげでプロデューサーさんと遊びに行けたから、
たまには……ほんとーにたまには、ケンカも悪くないかも……です?


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SR:銀幕の豆女優1

ーーレッスン場

●くるみ
映画のヒロイン役……なのです?
くるみが!?

そそそ、そんな大役がなんでくるみのところにきたですか!?
もしかして、どこかですごい監督の人のお眼鏡にかなったです!?


だ、代役……出られなくなった子と見た目が似ていた、ですか……。
でもでも! これはチャンスなのです!

ここで活躍できれば、ユニットの知名度も上がって、
も~っと、みんなとお仕事できるです!

でも、ですね。プロデューサーさん。
実は1つだけ問題があるのです……。

くるみ! お芝居とかぜんぜんしたことなくてっ!
それにそれにっ、暗記とか超! 苦手なのです!

もう、なにからすればいいのか……。
頭ぐるぐるですっ! はわわ~……。

●プロデューサー
一緒にがんばろう。

●くるみ
つ、付き合ってくれるですか?
ありがとうございます、プロデューサーさん!

たくさん迷惑かけるかもですけど、くるみもがんばるのでっ!
いっぱいいっぱい、練習です!


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SR:銀幕の豆女優2

ーー控室

●くるみ
やったです! プロデューサーさん!
くるみ、撮影でいっぱい褒められたですよ!


あ、でも、リテイクはいっぱい出してしまったです……。
長いセリフ、噛まずに言えなくって……。

でもでも! 演技はとっても気に入ってもらえたです!

『ヒロインがそこにいるみたい』って、言われたです!
きゃーっ!

それもこれも、練習に付き合ってくれたプロデューサーさんと、
秘密の特訓の成果ですっ!

●プロデューサー
秘密の特訓?

●くるみ
くるみ、ずっと考えてたです。
物語のヒロインになりきるにはどうすればって……。

でもある朝、こうびびっと降りてきたのです! 名案が!

つまりくるみがそのヒロインの子自身になればいいのです。
鏡を見て毎日お目目ぐるぐるになるまで念じるとあら不思議!
くるみはその子になりきり完了です!


くるみは単純な子ですから!
思い込んだらもう、一直線なのです!

これぞ、完ぺきな演技のヒケツなのですー!

ふぇ? 心配? なにがです?


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SR:ヒロイン登竜門1

ーー廊下

●くるみ
んふふ~、楽しみです~!

あ、プロデューサーさん!
あのお仕事、たしか今週末だったですよね!?

なにって、遊園地の紹介番組なのです!
新しくできたサニーライズランド!
すっごく楽しみなのですよ!


アニメの中でしか会えなかったマスコットたちに、
直接会えるのです! いっしょに写真撮って~、ご飯食べて~、
はっ! よだれが!

た、楽しみすぎて夜も眠れないです!

この調子だと、当日はとってもハイテンションになっていそうです!
ちゃ、ちゃんと紹介できるでしょうか……。

プロデューサーさん!
この張り裂けそうな気持ち、どうすればおさえられるですか!?

●プロデューサー
そのままでいいよ。

●くるみ
そのまま……で、いいのですか? あ、そっか。
この番組は、遊園地の楽しさを伝えるためのですから……。

わかったのです! くるみ、この気持ちを少しも落とすことなく、
当日に突入してみせるです!

えっと、パンフレットに~、年間パスに~、新作アニメ!
完ぺきです! くるみ、これだけで週末まで戦えます!


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SR:ヒロイン登竜門2

ーー遊園地

●出演者
どうですか、この広さ!
この敷地内いっぱいに、あのアニメの中の舞台が再現されています!

ええと、まずあの中心のお城が――。

●くるみ
イマジナリィキャッスルなのです!
あのお城からヒロインが飛び出すことで、物語が始まるです!

●出演者
え? あ……もしかしてキミ、くわしい?

●くるみ
大ファンなのです!

●出演者
スタッフさんちょっと!
解説この子にまかせて大丈夫ー?

●くるみ
え? ええっ!?

ふっふっふ、くるみちゃん大活躍です!

スタッフや出演した人たちにいっぱい、
遊園地の楽しさを教えてあげてしまったのです!


はじめはちょっと戸惑ったですけど、
いっぱいテンション上げてきて正解だったですー!

……でも、撮影が終わったからもうさよならなのです。
も、もうちょっとだけ……はワガママなのです……。

●プロデューサー
ちょっとだけなら。

●くるみ
……ふぇ?
ほほ、ホントなのです!?

あ、じゃあじゃあ! くるみジェットコースター行きたいです!
今ならオリジナルスタンプがもらえるですー!

ジェットコースターは、乗ってる時はどんなに大声出しても怒られないです!
画期的発見なのです!

さあ、レッツゴーなのです!


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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

© SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】メモリアル「六川 麻里紗」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「六川 麻里紗」編を紹介します。


目次
SR:あにまるますたぁ1
SR:あにまるますたぁ2
R:[銀河歌劇団]六川 麻里紗
R:[STAR☆TING]六川 麻里紗
R:涼やかスタイル

SR:あにまるますたぁ1

ーー動物園

●麻里紗
んー、ちょっとぶかぶかかな? けど、これで万端!
プロデューサー、いつでも準備できてるわ!

●プロデューサー
元気だね。

●麻里紗
それはもう! 動物番組とか、すごく好きなの。
こんな役得があるなら、ソロのお仕事っていうのも悪くないかな。


●撮影スタッフ
撮影入りまーす!

●麻里紗
あ、はーい!
それじゃ、行ってきますね。


今日の撮影はここ、ふれあい動物園からお伝えします。
この動物園は、小動物を中心に子供の学習ツアーや
飼育員の体験コースなどを行っていまして――。

――こうして引き取った子犬や子猫の里親探しもしています。
とっても可愛いですね!
あ、撫でても大丈夫ですか? それじゃ……。

●撮影スタッフ
いやぁ、いい絵が撮れましたよ。
嬉しそうな笑顔が特にいい。

●麻里紗
あ、その……恐縮です……。

●撮影スタッフ
けど、もうすこし面白いリアクションがあればな……。
苦手な動物とかあります?

●麻里紗
え? 爬虫類はちょっと。
……あの、まさか。

●撮影スタッフ
ふっふっふ、楽しみにしててくださいね?

●麻里紗
…………!?

ぷ、プロデューサー!?

●プロデューサー
お仕事だから……。

●麻里紗
そ、そんな殺生な……。

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SR:あにまるますたぁ2

ーー控室

●麻里紗
面白い絵、面白いリアクション……。
本当に爬虫類なんて、出てこないわよね……?

ーー収録スタジオ

●麻里紗
え? これは……猫耳?
これをつけて撮影しろと……?

あ、いえ、趣味は人それぞれというか……。
そもそも私、ユニット最年長なのでその、イメージが……。

どうしましょう、プロデューサー……。

●プロデューサー
似合うと思うよ。

●麻里紗
え、そ、そう言ってくださるのは嬉しいですけど、本当に……?

…………。

わ、分かりました。がんばります……。

●撮影スタッフ
はい、そこで『にゃーん』お願いします!

●麻里紗
……にゃーん。


え? もっと大きく……?
うぅ……! ごろにゃーん!

ーー控室

●麻里紗
……はぁ。終わった。
一生分の猫なで声を出した気がする……。

●プロデューサー
かわいかったよ。

●麻里紗
だ、だからプロデューサーは、恥ずかしげもなくそんなこと……。

もう! プロデューサーがそんなこと言うから、
私もその気になっちゃうんですよ!


……だって、嬉しくて、その……つい。

で、でももうこんなことやりませんから!
本当ですからね!

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R:[銀河歌劇団]六川 麻里紗

ーー図書館

●麻里紗
プロデューサー?
こんなところで会うなんて、めずらしいわね。
もしかして、なにか本をお探し?

それだったら、すこしは手伝えるかも。
私、ここの常連なの。


それで、どんな本を探しているの?
小説? 自伝? それともなにか調べものかしら。

私のお勧めは、偉人伝系かな。
その時代を生きて、歴史に名を遺した人たち……。
そんな人達の生涯に想いをはせるのは、とても有意義な時間だと思うの。


手ごろなところだと……坂本龍馬とかね。
私は渋川春海も好きなんだけど。

●プロデューサー
本が好き?

●麻里紗
うん、そう。
これは趣味というよりはライフワークね。

『一時間の読書をもってしても和らげることのできない悩みの種に、
私はお目にかかったことがない』
フランスの哲学者、シャルル・ド・モンテスキューもそう言っているわ。

いろいろな本に出会って、いろいろな知識を得て……。
そんな時間が、とても楽しいの。

そういうわけで、この楽しさを一緒に共有しましょ?
せっかくだから、すこしオトナな哲学書とか行ってみましょうか。
デカルトとかどうかな?

西洋哲学史に大転換をもたらした……って、
そんな嫌な顔しないでくださらない?

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R:[STAR☆TING]六川 麻里紗

ーー公園

●麻里紗
……ふぅ、お茶が美味しいわ。

●プロデューサー
休憩中?

●麻里紗
あひゃっ!?
ぷ、プロデューサー!? 驚かせないでよ、もう……。

あ、せっかくだからプロデューサーも隣どうぞ?
ベンチで一息っていうのも、たまにはいいものよ。


ユニットのみんながいる時は、がんばらなきゃって思うんだけど。
こうして1人でいると、なんだかぼーっとしちゃうの。

今日は本も持って来てないし……。
あ、お茶は持って来てるのよ? じゃーん、魔法瓶!

朝はミルクティーの気分だったんだけど、
こうしてお日様の下でぼーっとしてると緑茶が欲しくなるなぁ……。

プロデューサーも、いつも忙しくておつかれでしょう?
ささ、どうぞ。

ふふっ、こうしてるとなんだか長年連れ添った仲みたいね。


…………。

……私いま、すごい恥ずかしいこと言った!
やっぱり今のなし! 忘れて!

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R:涼やかスタイル

ーープロダクション室

●麻里紗
夏フェス用の、学プロオリジナルTシャツの制作……か。

既にあるデザインに、Tシャツの素材と色を組み合わせるだけだけど……
デザイン担当が私でいいのかしら?

●プロデューサー
もちろん。

●麻里紗
あら。私のセンスを信じてくれるってわけ?

ありがとう。それじゃ、ご期待に応えましょうか。

Tシャツのサンプル、随分たくさんあるわね。
色は……先にデザインを決めてから考えるべきかしら。


でも、悩むわ。
大きい方が目立つでしょうけど、いかにもライブTシャツ! って感じは
避けたいもの。

派手な柄も、個人的には好きなんだけど。

でもこのTシャツ、舞台衣装だけじゃなくてお客さんにも販売するんでしょう?
できれば、普段に着てもおかしくないデザインにしたいな、って。

Tシャツを着るたびに夏フェスのことを思い出して、
あのパフォーマンスがすごかったな……とか。
あの曲よかったな、なんて思い出す……。

そういう、素敵な思い出の品にしたいの。

寧々ちゃん、夏フェスを成功させるために頑張ってるんだから。
私も頑張らなくちゃね。

とりあえず、まずはデザインね。
でも悩むわね、うちの学プロのチームはみんなコンセプトが違うもの。

あっ、そうだ……この王冠っぽいイメージを、
胸元にちょこんとデザインを載せるのはどうかしら?

なんだか『銀河歌劇団』専用デザインみたいになったわね。
……試作ってことで、試しに作っちゃおうかしら。


●プロデューサー
いいと思う。

●麻里紗
ふふっ、デザイン担当の特権ね・ありがとう、プロデューサー。
……そういえば、Tシャツの生地も重要よね。

みんなそれぞれアレンジするでしょうし、
汎用性という意味では色は白かしら。

やっぱり、着心地のいいものを選びたいわね……
いくつかサンプルのTシャツを着てみようかしら。

ええっと、これとこれと……これ。

……もう、プロデューサーったら。
そんなにじっと見つめられたら、着替えにくいじゃない。


ちょっとだけ、あっち向いててくれる? 
大丈夫、ちょっとだけよ。

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【あおガルシナリオ集】メモリアル「舞沢 悠」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「舞沢 悠」編を紹介します。


目次
SSR:乙女邁進ロォド1
SSR:乙女邁進ロォド2
SSR:乙女邁進ロォド3
SSR:乙女邁進ロォド4
SR:乙女を夢見る1
SR:乙女を夢見る2
SR:妄想テリトリー1
SR:妄想テリトリー2

SSR:乙女邁進ロォド1

ーー教室

●悠
プロデューサーさん助けてください!

今度のソロステージの内容に悩んでて……。

ライブの内容に自分の意見が反映されるらしいですからね。
責任重大です。

だいたい、先輩とかプロデューサーさんより良い意見なんて……。

こう、可愛いアイドルらしいパフォーマンスとか、
やってみたいなぁ……ぐらい、というか……?


いつもは、こう、シュッシュッで、ババッというか。
スタイリッシュでカッコイイのをやってますから……。

でも、今回は……可愛らしいというか、女の子っぽい……?
ううん、あんまりハッキリしなくて困ってるんですけど。

いつもと違う自分を魅せたいんです!


●プロデューサー
一緒に考えてみようか。

●悠
はいっ! ありがとうございますっ!

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SSR:乙女邁進ロォド2

ーー教室

●悠
……ァアッ!? テメエッ!
ウチのケツモチが誰か分かっとんのかァ!?
神楽ヶ丘学園のプロデューサーさんやぞっ!?


……え、ダメですか? って、あぁ!
……女の子っぽいってところ忘れてました……。

ええっと、これはこの間そのぅ。
先輩がヤンチャしてるところ、見てみたいって……。

でも女の子らしさ、ないですよね……。
なんかスカッとするので、嫌いじゃないですけど……。
やり直しますね!

ユウね、思うんだけどぉ〜。
女の子らしさって、女子力みたいな?
オホホホホホホホホ……!!!


女子力って、ナンざましょ!
ユウ中学生だけどわかんないですぅ〜ヾ(@⌒ー⌒@)ノ

ぷろでゅぅさぁさん、どーおもいますかぁ♪
☆ゎたしのかわぃぃ感じ、でてます?☆

●プロデューサー
落ち着いて。

●悠
…………。

……もっと先輩方の言ってること、聞いていれば……っっっ!
もらったファッション誌とか……全然開いてないです……っっ!

たぶん……ファンの皆さんも、
自分にそういうの、求めてない……気がします。

…………。


……思ったんですけど、
演武を基本にした、殺陣とかやってみたいなぁって……。

時代劇とか観るの好きなので……。

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SSR:乙女邁進ロォド3

ーー格闘場

●悠
今度の殺陣なんですけど、
スタントの人ってスゴイですねっ!

寸止めしてるはずなのに綺麗に倒れてくれるので、
鳩尾直撃しちゃった!? って焦っちゃいますよ!

なんだか映画みたいに吹き飛んでくれたり、ビックリします。
……ファンの人も驚いてくれるといいなぁ。


●プロデューサー
楽しそうだね。

●悠
自分、そんなに楽しそうにしてます?
えへへ…へ…やっぱりこういうのは好きですから!

体を張ってスッときたのをドンッみたいな。

……この間の、かわいい服を着てみようキャンペーンも、
間違ってたとは思ってないですけどね。

●プロデューサー
またやろうか?

●悠
えっと……。

し、しばらくは……修行! そう修行期間が欲しいです!

まずは先輩方を観察しなければ!
教材はたくさんあるので! 技を盗ませてもらいますっ!


でも……無理はしないです。
自分の魅力はそこじゃないってちょっと思いました。

でも、悔しいから、
絶対また挑戦しますけどね!

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SSR:乙女邁進ロォド4

ーープロダクション室

●悠
プロデューサーさん、おはようございます!
何かお手伝いすることありますか!?

ーー学食

●悠
プロデューサーさん、お昼ですね!
何か買ってきましょうか!?

ーー学園内広場

●悠
プロデューサーさん、お疲れ様です!
放課後ですけど、何か片付けとか……!


ーーステージ裏

●悠
プロデュー……!

……え、どうかしたのかって?

自分の魅力の再確認です!
こういうところよく褒められるので!
伸びるように頑張りますっ!


ふっふっふ、それにプロデューサーさん。
今日は自分、何か違いません……?

……髪は切ってないです……。

うーん、流石に難しいですかねぇ。

プロデューサーさん!
握手しましょう、握手っ!

――ギュッ

えへへ、自分の手、すべすべしません?
さらさらのハンドクリームです!

……日々修行ですから!
それに、今日もこれからライブですし!

目に見えないところから、女の子らしい気遣い!
いまの自分には、それくらいがちょうどいいです!

そういうことの積み重ねで、自分は……いや、私は、
ちょっとずつ女の子らしさを研究していけたらって思います!

じゃあ、ライブに行ってきます!


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SR:乙女を夢見る1

ーー学園内広場

●悠
……プロデューサーさん。
自分に、お姫様みたいなドレス、
本当に似合うと思います……?


こーいうのって、麻里紗先輩の方が似合うんじゃ……?

●プロデューサー
悠にも似合うよ。

●悠
え、そ、そうですかね……。
プロデューサーさんがそう言うんなら……。

……うー、ちょっとほっぺが熱いです。

あ、いや……そもそも不満だったわけじゃなくて。
ただ……大丈夫なのかなぁ……と。

もちろん、自分にチャンスくれたのは嬉しいですけど。

うちのユニットはみんなかわいくてきれいなんで、
ちょっと気後れしちゃうっていうか……。

ああもちろん! 選んでくれたからには頑張りますよ!
それはもう全力で!


プロデューサーさんに恥はかかせたくないですからね!

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SR:乙女を夢見る2

ーー収録スタジオ


ーー控室

●悠
撮影、絶好調ですね、プロデューサーさん。

でも……ちょっと、くたびれちゃいました。
チヤホヤしてくれるのは嬉しいんですけど、あははは……。

いや、からかってるわけじゃないってのは分かってます。
カメラマンさんも、他のモデルさんも良い人たちばっかりですし。

プロデューサーさんも、似合うって言ってくれてましたし。

ただその……照れちゃいまして。

不思議ですよね、自分じゃ絶対着ない服を着て……
それが似合うって褒められて……誰かがそれで喜んでくれる。

アイドルって、いろんな自分が見つかって面白いです!


●プロデューサー
可愛いと思うよ。

●悠
だから照れちゃいますって。
い、いや、嬉しいですけど……。

……た、たるまないように気をつけなければ。
プロデューサーさんも、先輩方も、優しすぎるので……。

よく褒められた分、精進しますっ!

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SR:妄想テリトリー

ーー教室

●悠
あなたもアイドルなら、女性らしさを大事にしなさい!

って、クラスの友達に言われたんですけど。
自分って、そんな女らしくないですかね?

……そもそも、女らしさってなんなんすかね?

噂の女子力とかいうやつですか……?
自分、割と裁縫とか料理とか得意ですけど……。


うーん、やっぱ空手がダメなんですかね。
道場には確かに女性は少ないです。

喋り方……とか、一人称……とか?
もうちょっと、おしとやかにしたほうが……?

うぐぐぐぐ…………。

●プロデューサー
女の子らしくなりたい?

●悠
……いや、特に……。

でも、自分のために誰かが言ってくれたなら、
頑張って期待に応えたいですよねっ……!


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SR:妄想テリトリー2

ーー廊下

●悠
女性らしさについて考えてきました!
それで結論から言わせてもらうと……!

やっぱり……その、胸、なんでしょうか?


やっぱり女性ホルモンとかが……。

自分……ちょっと、発育悪いですよね。
全体的に……ううん、牛乳は飲んでるんですけど。

でも……麻里紗先輩みたいには、
急に大きくは……いやっ! 頑張れば!?

恥ずかしいけどくるみに協力してもらって……!

●プロデューサー
……何するの?

●悠
カルシウムと女性ホルモンを
効率よくとれる料理研究です!


豆乳とか、ニボシとかいいんですかね!?

……流石に胸のことを相談するのは恥ずかしいですが……。

……? プロデューサーさんには相談できますよ?

だってプロデューサーさんは、
自分のこと、そういう目で見てな

いですからね!

……見てない、ですよね?

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【あおガルシナリオ集】メモリアル「渡辺 晴海」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「渡辺 晴海」編を紹介します。


目次
SSR:春の微風1
SSR:春の微風2
SSR:春の微風3
SSR:春の微風4
SR:雨のひととき1
SR:雨のひととき2
SR:サマーメモリー

SSR:春の微風1

ーー学園内広場

●晴海
あ、蟻さん……。
こんにちは。いきなりごめんね?

こんな日陰で一生懸命に働いて、がんばって……。
誰にも見られなくて、さみしくないのかな?

でも……えへへ、私はちゃんと見てますからね?


……私も、がんばってはいるんだけどな。
今日もレッスンで、先生に叱られちゃったの。
お前には華やかさが足りない! って……。

お仕事も、地味なものばかりで……。
私って本当にアイドルのお仕事できてるのかな?
ユニットのセンターなのに、全然……。

みんなの、縁の下の力持ちになれればって、
いろいろ努力してはみたけど……。
もしかして、センターの素質がない……?

……あ、蟻さんの進路に石が!
えいっ! これでよし!


他にも何か困ったことがあったら、なんでも言ってね?
私が、なんでも助けてあげるからね。

えへへ、同じ日陰者ですから仲良くしましょう♪

●プロデューサー
(そっとしておく)

●晴海
うふっ。嬉しいなぁ……。
うふふふっ……。

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SSR:春の微風2

ーー学園内広場

●晴海
蟻さんたち、今日もお勤めご苦労さまです。


今日はみんなに、お土産があるんだよ~。
はい、金平糖!
あ、でもこのままじゃ大きいかな?

ええと、小さく砕いて……。
か、固い……あっ! ……そのまま落としちゃった。

あ、悠ちゃんすごい! こんなに大きなのも持って運べるんだ。
くるみちゃんも手伝って……ふふっ、仲良しだね。


麻里紗さんの前の石は私がどかしてあげますからね。
寧々ちゃんは大丈夫? そっちは巣とはちがう方向だよ?

もう、みんなちょっと抜けてるなぁ。でも大丈夫だから。
ユニットのみんなは、私がちゃんと支えてあげるからね?


ううん、お礼なんていらないんだよ?
私、センターだもん。

みんなで……みんなで、ユニットを盛り上げていこうね……。
うふっ。ふふふ……。

●プロデューサー
(見なかったことにして立ち去る)

目次へ戻る

SSR:春の微風3

ーー学園内広場

●晴海
プロデューサーさん!
今日もなんだか、ポカポカいい天気ですね。

天気がいいと、心まで軽くなりますよね♪
こんな日がずっと続くといいなぁ。


●プロデューサー
ご機嫌だね。

●晴海
えへへ、わかっちゃいますか?
じつは最近、自分だけの趣味を見つけたんです。

私、こんなに何かにハマっちゃうのはじめてで。
ちょっと怖いんですけど、でも毎日がとっても充実してます!

あ、もしかして気になりますか?
それはですね~……じゃーん!

蟻の飼育セットです!


はじめはそんなつもりなかったんですけど、
お世話をしている内に愛着がわいちゃって。

すごいんですよ!
一日でこんなに長いトンネルを掘っちゃうんです!
私、感動しちゃって!

●プロデューサー
……よかったね。

●晴海
はい! これを期に、いろいろなことにチャレンジしていきたいです!
あ、そうだ! よければプロデューサーさんも……。


え? 遠慮しておく?
そうですかぁ。本当にかわいいのに♪

ふふっ。うふふ……。

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SSR:春の微風4

ーーライブ会場


ーー控室

●晴海
えへへ、今回のステージは成功ですね!
観客のみなさんもいっぱい声援をくれて……よかったです!

この調子で、ユニットのみんなでもっともっと有名になって、
きっと立派なアイドルになってみせますから!


●プロデューサー
吹っ切れたみたいだね。

●晴海
はい! みんなのためにもっとがんばろうって、
一生懸命に練習しましたから!

私、気づいたんです。
守るものがあると、人はがんばれるんだって。
精一杯、前を向けるんだって。


それじゃあお先に失礼しますね。
この後は、麻里紗さんと次のステージの打ち合わせを
する予定なんです。

●プロデューサー
がんばって。

●晴海
はい! ありがとうございます!

……あ、そうだ。
プロデューサーさんにもお礼を言わないとですよね。

プロデューサーさん、私のこと、ずっと見ててくれましたよね?

え? いつの話って……そんなの決まってるじゃないですか!

ここ最近、影からじっと見てましたよね?
私、なんでも知ってるんですから。

これからも、私のこと見守っててくださいね。
うふふ……。

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SR:雨のひととき1

ーー下駄箱

●晴海
プロデューサーさん、こんにちは。
すごい雨ですね……。

●プロデューサー
傘もってる?

●晴海
あ、えっと……。
私は折りたたみ傘をもっていたんですけど……。

友達が、今日オーディションなんです。

そんな大事な日に体調を崩したら大変じゃないですか。
それで……えへへ。

●プロデューサー
優しいんだね。

●晴海
そ、そういうわけでは……。
ただ、優先順位を考えてそうしただけっていうか。

にわか雨ですし、私は止むまで待とうかと。
雨音を聞くの、むかしから好きなんです。


ところで、プロデューサーさんは傘もってきてますか?

●プロデューサー
もってきてない。

●晴海
……ふふふっ。じゃあ一緒に止むまで待ちましょうか。
雨の音を聞きながら。


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SR:雨のひととき2

ーープロダクション室

●晴海
プロデューサーさん、どうしましょう……。

いま外を見てきたんですけど、すごい雨でした。
しかも今日に限って、折りたたみ傘をもっていなくて……。

朝、ちゃんと天気予報見てきたのになぁ。
肝心の傘を忘れちゃ意味ないですよね……。

今日は早く帰らないと、友達との約束があるのに……。

●プロデューサー
(傘を貸してあげる)

●晴海
えっ!?
でも、それじゃプロデューサーさんが
帰れなくなっちゃいます!

ご迷惑をおかけするわけにはいきません!
大丈夫! ちょっとがんばって走れば
なんとかなりますから!

●プロデューサー
頼って欲しい。

●晴海
あ……そ、それは……。
……えと、ありがたいですけど……。

…………。

じゃ、じゃあこうしません?
2人で一緒に、傘に入るとか……。


あっ! も、もちろんご迷惑でなければ……。
図々しかったですかね?

●プロデューサー
そんなことない。

●晴海
そ、そうですか……。ありがとうございます。

……えへへ。なんだか得しちゃった気分です。
傘、忘れてよかったかも。


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SR:サマーメモリー

ーー浜辺

●晴海
プロデューサー、もう少し遊んでいきますよね?


だとしたら……お昼挟んじゃってますし、
みんなお腹が空いてると思うんです。

ひなたちゃんとか、ひと遊びしたらきっと
ご飯が食べたいって言いだすんじゃないかなって。

●プロデューサー
買い出しに行こう。

●晴海
はい!
えっと、たしか向こうに海の家があったはずです!

……はぁ。
まさか海の家が、学園で用意したセットだったなんて。

どうしましょう?
近くにコンビニもないですし……。

あ、でも向こうに民宿がありましたよね?

……んー、お台所って借りられるでしょうか?
せっかくなので、私、頑張っちゃいます!

えっと、こんな感じでしょうか。
プロデューサーさん、ちょっと味をみてもらえます?


あ、こ、この格好ですか?
水着でお料理すると、その、お腹とかにはねたら大変なので……。
その、ちょっと恥ずかしいですけど……。

と、とにかく! 味見をどーぞ!

●プロデューサー
おいしい。

●晴海
本当ですか!?
普段とは勝手が違うので心配だったんですけど、
そう言ってもらえて、嬉しいです!

……な、なんだか照れますね。

それに、誰かに自分の料理をおいしいって言ってもらえるって……
女の子の憧れみたいなところ、ありますし……。


あ、ありがとうございます……。


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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
・掲載時のDL価格: 無料
・カテゴリ: ゲーム
・容量: 155.7 MB
・バージョン: 2.0.6
※容量は最大時のもの。機種などの条件により小さくなる場合があります。

© SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.

【あおガルシナリオ集】アイドルストーリー「銀河歌劇団」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、アイドルストーリー「銀河歌劇団」編を紹介します。

▼メンバーは渡辺 晴海 (わたなべ はるみ)[声優:澤田美晴]、舞沢 悠(まいざわ ゆう)[声優:西川舞]、六川 麻里紗(ろくかわ まりさ)[声優:飯坂紗幸]、乙葉 くるみ(おとは くるみ)[声優:高柳知葉]、岩倉 寧々(いわくら ねね)[声優:岩井映美里]。


なお、銀河歌劇団のユニット&キャラクターは別記事で詳しく紹介しています。

目次
渡辺 晴海:第1話「不幸と善意のシーソーゲーム」
渡辺 晴海:第2話「先輩だからっ!」
渡辺 晴海:第3話「晴海流メンタルケア」
舞沢 悠:第1話「すべて解決?空手万能説」
舞沢 悠:第2話「いきなり百獣王国!」
舞沢 悠:第3話「私の仲間のいいところ」
六川 麻里紗:第1話「だんらん歌劇団」
六川 麻里紗:第2話「時には母のように、子のように」
六川 麻里紗:第3話「言葉を育む一つの方法」
乙葉 くるみ:第1話「元気があればなんでもできる!」
乙葉 くるみ:第2話「可愛いものがナンバーワン」
乙葉 くるみ:第3話「名言は一日にしてならず」
岩倉 寧々:第1話「強さとは、話すことと見つけたり」
岩倉 寧々:第2話「想いのカタチの伝えかた」
岩倉 寧々:第3話「心に響く笑顔の私」

渡辺 晴海:第1話「不幸と善意のシーソーゲーム」

ーー学園内広場

●悠
おー、貸切ですよ!

●麻里紗
あら、今日はずいぶんと空いてるわね。
べつに天気が悪いわけではないと思うんだけど。

●くるみ
学食でヴァルプロを見たって聞いたので、
みんな見に行ったのかもですね~?

●麻里紗
ああ、なるほどね。

●寧々
みんなが座れるように……シート、敷くね?

●晴海
……はぁ。

●悠
晴海先輩、元気ないですね。
あれ、そういえばいつものお弁当はどうしたんですか?

●晴海
あ、うん……。
実は、ここに来る途中にお弁当を落としちゃって。


中身がぜんぶ、どばーって……。

●くるみ
わぁ……悲惨ですぅ。

●麻里紗
それじゃ、なにもないの?

●晴海
うん……。

●悠
あ、それなら自分が買ってきますよ。
ちょうどこれから購買に行くつもりですから。

●くるみ
あー、悠くんいつも購買のパンですからね。
……まだ買ってなかったです?

●麻里紗
今日、いつもよりも学食の利用者が多いのよね?
……残ってるかしら。

●悠
……い、急いで行ってきます!

●麻里紗
あ、まだ晴海ちゃんのリクエスト……行っちゃったわね。
あの調子じゃ、晴海ちゃんの分のこと忘れてそう。

●晴海
あはは、大丈夫。
一食抜くくらいなら、たぶん……。

●麻里紗
今日は放課後ダンスのレッスンがあるし、
この後の授業は体育だって言ってなかった? 倒れちゃうわよ?

●晴海
うぅ……。

●くるみ
じゃあ、くるみからおすそ分けなのでーす。
お母さんのコロッケ! はーんぶん!

●晴海
くるみちゃん、いいの?

●くるみ
くるみはー、そのー、教室でお友達にお菓子いっぱいもらっちゃってー……。

●麻里紗
……太りそうね。

●くるみ
い、いまから調整すれば間に合うです!
だから油物のコロッケ、晴海さんにプレゼントです!

●麻里紗
それでも半分は食べるのね……。

●寧々
あ……じゃあ、私も。

●晴海
これ、から揚げ? 美味しそう……!

●寧々
本で、作り方読んで……出来そうだったから……。
味見、お願いします。

●くるみ
寧々さん素敵です!
くるみもから揚げ大好きなのですー!

●寧々
あ、じゃあ……。

●麻里紗
油物……。

●くるみ
うっ!? で、でも、鶏肉だから……っ。

●麻里紗
まったくもう……。
それじゃあ私からは、卵焼きね。おにぎりも半分いる?

●晴海
あ、そんなに……。

●麻里紗
後輩たちが気を利かせてるんだから、先輩としてはこれくらいはね。
あ、このお弁当のふたに乗っけていいからね。

●晴海
ありがとう、みんな。
世界一、素敵なお弁当だよ……!


●寧々
えへへ……。

●くるみ
照れるです~。

●悠
あ、もう始めてます?

●晴海
悠ちゃん、お帰りなさい。
あのね、みんながね――

●悠
じゃじゃーん! 見てください!
個数限定の幻の果汁入り特大メロンパンですよ!

●晴海
……それって、あの伝説の!?

●悠
そうです! このパンのために、授業中から
終業のチャイムをカウントする生徒すらいるという!

みんなヴァルプロに気が行ってて、偶然残ってたんですよ。
はい、晴海先輩の分。

●晴海
あ、ありがとう! すごい嬉しい!
私、このメロンパンの味がどうしても気になって――

●麻里紗
……。

●くるみ
……あー。

●寧々
よかったですね……。

●晴海
……み、みんなから貰ったお弁当も、嬉しいんだよ?

●麻里紗
はぁ……とにかく、頂いちゃいましょう。
お昼休みは有限だしね。

●悠&くるみ&寧々
はーい!

●晴海
ほ、ホントなんだよ!?
みんなから貰ったお弁当が一番だよー!?

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渡辺 晴海:第2話「先輩だからっ!」

ーー通学路

●晴海
おはよう。今日もいい天気だね~。

●くるみ
あ~、晴海さん、おはようです~。

●晴海
って、くるみちゃん、どうしたのその格好!?

●くるみ
なんです~?
くるみ今、すっごく眠くってぇ~……。

●晴海
シャツがしわになってるし、襟も曲がってる!
もうっ、スカートも……ちょっとそこで気をつけして!

●くるみ
ふぇ? あ~、寝坊しそうだったから、急いだですよー。
ずびっ! ずばっ! って感じで。

●晴海
それにしたって、こんな……。
ほら、直してあげるから動かないでね。


●悠
おはようございます!

●晴海
あ、悠ちゃん、おはよう!
うん、……ちゃんと制服ピシッとしてるわね。

●悠
当然ですよ!
ウチは道場なんで、胴着の洗濯とかよく手伝うんです!

●晴海
……でも、なんで髪がぼさぼさなの。

●悠
髪? ああ、これですか?
昨日お風呂入ってすぐに寝たら、癖になっちゃって。

まあ、昼には自然に直りますから。

●晴海
ダメ! 女の子なんだから、髪にも気を使わないと!

●悠
うぇ!? そ、そうですか?

●くるみ
やーい、悠くん怒られたー。

●悠
そっちだって注意されてただろ!

●晴海
いいから、2人ともこっちに来なさい!

●悠&くるみ
は、はーい……。

●晴海
これでよし!
うん、2人ともキレイになりました!

●晴海
悠ちゃんもくるみちゃんも、これからはもっと身だしなみに気を使わないと。
アイドルだし、女の子なんだよ?

●悠
あー、それはいいんですけど。

●くるみ
……時間、デットゾーンなのです。

●晴海
え? ……ああっ!? 大変、急がなきゃ!

ーー校門前

●悠
はぁ、はぁ……な、なんとか間に合いましたね!

●くるみ
くるみ、目が回りました~。

●晴海
よ、よかった……あ、でも!

●悠
? どうしたんですか?

●晴海
今ので、また身だしなみが崩れちゃったね。

●悠
あの、自分、教室に……うひゃ! 

●くるみ
く、くるみも早くクラスメイトのお顔が見たいです~! きゃっ!

●晴海
でも大丈夫! 最後までちゃんと面倒見るからね!


●悠&くるみ
あ~っ!?

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渡辺 晴海:第3話「晴海流メンタルケア」

ーーレッスン場

●佳奈恵
それでさ~、言ってやったわけ。
もうちょっと、しっかりしなさいって。

●晴海
佳奈恵さんのそういうところ、
弟さんたちもありがたいと思ってますよ。きっと。

●佳奈恵
そっかなー? むしろ煙たがられてるっていうか、反抗期?

ま、年下の子なんて基本そんなもんだから、
晴海も気にしないほうがいいよー。

●晴海
はい、参考になりました!

●佳奈恵
うん、よろしい!
じゃ、アタシこれからレッスンだから。

●晴海
はい、ありがとうございました!

●ひなた
へ~、佳奈恵ちゃんと仲いいんだねぇ。
なんの話してたの?

●晴海
あ、ひなたちゃん。
ちょっと相談に乗ってもらってて。

●ひなた
なになに? 水くさいなー。
あたしに相談してくれてもよかったんだよ?

●晴海
人生相談、かな……。
私、なんだか今後センターを務めていく自信がわかなくって……。


●ひなた
ちょっ!?

●晴海
ふふっ、冗談だよ。
実は、親戚の子とケンカしちゃって。

●ひなた
び、びっくりさせないでよ……。
にしても晴海ちゃんがケンカ? 珍しいね。

●晴海
私はそんなつもりなかったんだけど、なにか気に障ったみたいで。
それで、その子がまだ小学生だから……。

●ひなた
ああ、だから家族がたくさんいる佳奈恵ちゃんに相談してたのか~。

●晴海
そうなの。
それに佳奈恵さんって、なんだか相談しやすいでしょう?

●ひなた
うんうん、そういうのあるよね。姉御肌っていうか。

じゃあいつも佳奈恵ちゃんに相談してるの?

●晴海
ううん、人に話せるような相談だけ。
本当に辛くなった時は……。

●希
茜ーっ! またあたしの鞄に、自分の荷物突っ込んだわね!?

●茜
だ、だって茜、重いもの持てな~い!

●希
だったら、こんな化粧道具持ち込むなーっ!

●茜
ごめん、ごめんね、ごめんなさーい!
謝ってるんだからもう許してよー!

●希
OK、わかった。反省してないわね!?

●ひなた
あ、茜ちゃんは相変わらずだなぁ……。

●晴海
あの前向きさ、素敵だよね。

●ひなた
……え?

●晴海
茜ちゃんの、あの物怖じしない姿を見てると……
なんだか自分の悩みが、ちっぽけで馬鹿らしいものに思えるの。


だから、本当に辛い時はこうしてたまに、茜ちゃんを眺めてるんだ。
うん、元気出てきた!

●ひなた
そ、そっか……。
あんまりストレスためないようにね……。

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舞沢 悠:第1話「すべて解決?空手万能説」

ーープロダクション室

●寧々
あ、あの……。

●悠
寧々先輩?
自分に話しかけてくれるなんて、珍しいですね!

●寧々
そ、そう、かな?

●悠
そうですよ。
先輩、自分みたいなタイプ苦手だと思ってました。

●寧々
そんなこと、ないよ?
悠くんの元気でハキハキしてるとこ、羨ましいって、思う。

●悠
そ、そうですか?
まあ、実家道場なんで! 癖みたいなもんですよ。

●寧々
私も……そんな風になれる、かな。

●悠
ふむ……寧々先輩にそんな悩みが。
わかりました! 自分がひと肌ぬぎましょう!


●寧々
え? え?

●悠
自信と元気は体力から!
適度な筋トレとランニングで、先輩もすぐに自分のようになれます!


安心してください!
毎日! 自分がサポートしますから!

●寧々
ま、待って……運動、苦手だからっ。

●悠
なればこそ! 未知のジャンルに挑戦ですよ!
ダンスのキレもよくなるし。

●悠
あ、いっそ空手部とかに体験入部しちゃいますか?
友達いるんで、話つけますよ。

●寧々
あ、それは、困――

●悠
さあさあ! 行きましょう寧々先輩!

●晴海
はい、そこまでですよ。悠ちゃん。

●悠
は、晴海先輩? どうして止めるんですか?

●晴海
もし寧々ちゃんが空手部に入っちゃったら、
ユニットのみんなでいられる時間が減っちゃうでしょ?

●悠
あっ! そ、そうでした!
それはちょっと寂しいです……。

●寧々
あ、晴海さん、ありがとう……ございます。

●晴海
寧々ちゃんも、まずは強引なお誘いをきちんと断れるようになろうね。
悠ちゃん、はっきり断ってあげないとああやって暴走しちゃうから。

●寧々
は、はい……気を付けます。

●悠
んー? なんの話ですか?

●晴海
ううん、なんでもないよ。
それじゃ、レッスンに行こうか。

●悠
はいっ!

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舞沢 悠:第2話「いきなり百獣王国!」

ーーレッスン場

●くるみ
にゃ~、にゃ~!

●悠
……なにしてんの、くるみ。
あ、頭とかうっておかしくなっちゃった?

●くるみ
なっ! 悠くんシツレー!

くるみは今度、動物番組に出演することになったから、
動物好きをアピールする特訓をしてたです!

●悠
そ、そうなんだ……。
ひょっとしておかしくなっちゃったかと。

●くるみ
ひどーい!

……くるみの迫真の鳴きまねを聞けば、10人が10人、
『あ、あの人は動物のことをよく見てるんだな!』って感動するです!

●悠
えー?

●くるみ
ふっ、まあ脳みそ筋肉な悠くんには、ちょーっと難しすぎたです。
くるみ、そのへんはカンヨーなので、スルーしてあげるです。

●悠
い、言ったなぁ!? それくらいの物まね、余裕だよ!

●くるみ
ふぅん? だったらやってみるです!

●悠
いざ、勝負ーーー!
わん! わんわん!

●くるみ
ぐ、ぐぬぬ……見事な子犬の鳴き声!
これは間違いなくヨークシャーとかチワワとかその辺の愛玩系です!

●悠
え? ゴールデンレトリバー……。

●くるみ
でも、くるみも負けてないですよ!
コケ、コケコッコー!

●悠
めー、めー!

●くるみ
ウホウホ! ウホホ!

●悠
か、可愛くなくなった!?

●くるみ
ふっ、くるみは鳴きまねのためなら可愛さを捨てるです。
演技派女優なのです!

●悠
じゃ、じゃあ! がおー!
百獣の王は強いぞ、カッコいいぞー! がおー!


●くるみ
ら、らいおん!? 猛獣です!
怖いから退治しちゃうです! バンバンバーン!

●悠
あ……。

●くるみ
ふっ、悠くんのノリも中々です!

●悠
らいおんさん、しんじゃった……?
ひどいよ、くるみ……。

●くるみ
え……?

そ、そう! 百獣の王様はテッポーなんてへっちゃらです!

●悠
そ……。

そうだよね! 最強だもんね!
銃弾なんかに負けないぞー! がおー!

●くるみ
……びっくりしたです。
悠くん、意外とお子様でナイーブです……。

●悠
んー? なんか言った?

●くるみ
ななな、なんでもないですー!

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舞沢 悠:第3話「私の仲間のいいところ」

ーーレッスン場

●和歌
それでね、ひなたったら相手に言い返したの。
「そんなの、やってみなくちゃわからないよ!」って。

●悠
おー! ひなた先輩、意外と熱血ですね!

●和歌
そうなのよ。
それで困ることもあるんだけど、
やっぱりいざって時に頼りになるっていうか。

●悠
ウチの先輩方も、すっごく頼りになりますよ!
麻里紗先輩とか、晴海先輩とか!

寧々先輩は態度は消極的ですけど、ちゃんと意見も出してくれて、
それがけっこう的確で驚きます!

●和歌
あら、ウチのメンバーだって負けてないわよ?

●悠
いやいや、ウチのメンバーが……。

●麻里紗
あら、珍しい取り合わせね。
一体なんの話?

●晴海
すごい盛り上がってるね。
あ、これクッキー焼いてきたの。よかったら。

●悠
これこれ! こーいうところですよ!
この包容力、女の子として憧れます!


●和歌
なるほど……『銀河歌劇団』、侮りがたしね。

●晴海
……あの、本当になんの話?

●悠
今、お互いのユニットのいいとこ探し中なんです!

●麻里紗
いいとこ探し?

●悠
そうっす! 例えば麻里紗先輩だと――
自分が落ち込んでる時に、色々アドバイスくれんです!

『今日という一日は明日という二日分の値打ちを持っている』
だから、クヨクヨするより前を見て、自分の出来ることをなさい!

……みたいに、檄を飛ばしてくれます!

●麻里紗
そ、そんなドヤ顔してないわよ!

●悠
えー? 自分はただ、みんなの活躍を――ムグッ!?


●麻里紗
……ごめんね騒がせて、ほら、行くわよ。

●悠
ムグムー!?

●和歌
……あっちはあっちで楽しそうねぇ。

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六川 麻里紗:第1話「だんらん歌劇団」

ーー校門前

●麻里紗
晩御飯を一緒に?

●晴海
ええ、今日はくるみちゃんのお母さんの帰りが遅いそうで。
外食をしてきなさいって言われてるそうなんです。

●くるみ
さ、寂しくなんてないですけどっ。
もしよかったら―って、思ったです。

●寧々
あの、帰り道の途中に……新しくできたとこ。

●悠
あー、あのファミレスですか?
開店サービス中で、お食事にデザートが無料サービスの!

●麻里紗
ほほう、それは見逃す手はないわね。


●晴海
決まりですね!
それじゃ、行ってみましょう。

ーー駅前

●麻里紗
……うーむ。

●悠
……あー。

●寧々
お休み?

●晴海
定休日、みたいですね。

●くるみ
で、で、デザート無料サービスがーっ!!

●麻里紗
はいはい、くるみちゃん。そんなことで泣かない!
『パンさえあれば、たいていの哀しみは耐えられる』よ。


●くるみ
ふぇ?

●麻里紗
どんな時も、お腹がいっぱいになれば、
ひとまず悲しさは収まるってこと。

デザートは残念だけど、ご飯はどこでも食べられるでしょう?

●晴海
……それじゃ、むこうのパン屋さんに行きましょうか?

●悠
賛成です!
ちょうどこの時間、新しいパンが焼きあがる時間ですよ!

●寧々
よ、よく知ってるね?

●悠
まあ、ちょくちょく顔出してますから!

●くるみ
あー、いつも買い食いしてるです?
いけないんだー! ぶくぶく太るー!

●悠
セ―チョーキだからへーきだよ!

●麻里紗
べつに、パンである必要はないんだけど……。
まあいっか。

●晴海
それじゃ、行きましょうか!

●くるみ&悠
はーい!

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六川 麻里紗:第2話「時には母のように、子のように」

ーー廊下

●くるみ
ま~り~さ~さぁん!
くるみ、死んじゃうです……?

●寧々
だ、大丈夫……?
廊下走っちゃ……ダメ。

●麻里紗
ほら、泣かない! これくらい、かすり傷よ。

●くるみ
でも、痛くて……立てないですぅ……。

●麻里紗
もう、しょうがないわね……。
彩、お水ある?

●彩
これをどうぞ。
ミネラルウォーターですが。

●麻里紗
まずは傷口を洗って、絆創膏っと……。
はい、いたいのいたいのとんでけー!


●くるみ
……。
おおお? 痛いの飛んでったです!? 麻里紗さんすごいです!

●彩
……しかし、いまので痛みが和らぐなんて。
いくらなんでも子供すぎでは。

●麻里紗
あー、うん。私もそう思った。
でもまあ、元気ならそれでいいかしらねー……。


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六川 麻里紗:第3話「言葉を育む一つの方法」

ーーカフェ

●麻里紗
ふむふむ、なるほど……。

●佳奈恵
おっ、麻里紗じゃな~い!
なに読んでんの?

●麻里紗
佳奈恵と、理子?
珍しい取り合わせね。

●理子
さっきカフェの前で、ばったり会ってね。
せっかくだしお茶でもしていこうか、って。

麻里紗が読んでるのは、名言集?

●麻里紗
ええ、新しい言葉を仕入れようと思って。

●佳奈恵
麻里紗って、なんで名言集ばかり読んでるわけ?

●麻里紗
それは……なんていうか。
自分の言葉より、名言を引用した方が話しやすいのよ。


言葉に説得力が出る気がする、っていうか。
でも……。

それでいいのかなって、思う時はあるかな。
ちゃんと自分の言葉で話さないから、私の言葉は軽いのかなって。

●理子
……『友人の自由な会話は、いかなる慰めよりも私を喜ばす』。

●麻里紗
え?

●理子
そのページに書いてあるよ。
好きにしろってことだと思うね。

●佳奈恵
難しいこと考えんなくてもいいんじゃん?
受け売りだろーと、何言うか決めるのは自分なんだからさ。

それって、麻里紗が言った言葉は、麻里紗の言葉ってことでしょ?

●麻里紗
そう……かもね。
2人とも……ありがとう。


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乙葉 くるみ:第1話「元気があればなんでもできる!」

ーー運動場

●悠
行くよー!

●くるみ
こーいです! とォー!


●晴海
あ、悠ちゃんとくるみちゃんですね。
キャッチボールでしょうか?

●麻里紗
前から思ってたけど、あの2人仲良いわね。
いつも、ああして一緒に遊んでるし。

●晴海
ふふっ、そうですね。

●くるみ
悠くんの本気のボール、とってみたい!

●悠
本気で投げたらくるみが取れないよ。

●くるみ
全然へっちゃらですよ!

●悠
いや……うーん。

●くるみ
どんと、こーい!

●悠
じゃー……い、行くよ?

●くるみ
うぅ……悠くん痛いです。

●悠
ご、ごめん……。

●くるみ
ふんだ……くるみが悪いの、わかってるもーん。


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乙葉 くるみ:第2話「可愛いものがナンバーワン」

ーープロダクション室

●くるみ
あれ、何してるですか……更菜さん?

●更菜
ああ、くるみちゃん。
……今後のユニットメンバーの予定や、レッスンの資料をまとめてるんです。

●くるみ
ふぇ~、大変なのです。

●更菜
……あ、インクが切れちゃいましたね。

●くるみ
あ、これ使うですか?

●更菜
ありがとうございます。
……あの、なんですか? この大きなキーホルダーは。

●くるみ
あ、これ可愛いですよね!?
くるみのお気に入りのチューチューキーホルダーなのです!


●更菜
はぁ、たしかに可愛いですが……書き辛くないですか?

●くるみ
でも、可愛いは正義なので問題ないのです!


●更菜
たしかに、そういう視点もアリですか……。
しかし、重心が……いや……。

●晴海
ご、ごめんなさい、更菜さん! 作業の邪魔しちゃって。
くるみちゃん、他のユニットの人に迷惑かけちゃダメだよ?

●くるみ
えー? くるみ別に迷惑とかかけてないです~。

●晴海
くるみちゃん?

●くるみ
ご、ごめんなさいです……。
フ、フツーのボールペンもあるです……。

●更菜
ああ、気にしなくてもいいですよ。
たしかに可愛いですし、なかなか興味深い意見でした。

●くるみ
ほらー! ほらー! 更菜さんもそー言ってるです!
このペンでテストとか受けると、楽しくてすごい捗って――

●晴海
……あの、くるみちゃん?

●くるみ
なんです?

●晴海
テストで、ボールペンなんか使っちゃダメだよ。
間違った時に直せないでしょう?

●くるみ
……あ。

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乙葉 くるみ:第3話「名言は一日にしてならず」

ーープロダクション室

●麻里紗
『私は人の考えを最もよく知りたいときは、その人の行動を見ることにした』
ジョン・ロックの言葉よ。

くるみちゃんも、見かけだけじゃなくて
その人の行動を見て判断できるようになりましょうね。

●くるみ
……はー、感動です! ビビッときたです!
くるみ、こんなすごい聞いたのはじめてです!


●麻里紗
そ、そう?
そんなに感動されると……うん、なんだか恥ずかしいわ。

●くるみ
こ、これはすごい発見です!
みんなにも教えてあげないと……!

ーーレッスン場

●くるみ
セリアさーん!

●セリア
オー、クルミでありんすか?
今日は一体なんの何用デス?

●くるみ
実は、チョーすごい名言を教わったです!

●セリア
ほほう、それは気になる話でござる!
ぜひともお聞かせ願いたい!

●くるみ
えっとですねー、たしか……。
『私が考えて知ろうとするとき、その人は行動する』?


●セリア
……? それはどういう意味デス?
日本語はマダマダ奥が深いデスねー?

●くるみ
あ、あれ? なにか違うです……。
も、もう一度聞いてくるですから! 待っててください!

ーープロダクション室

●くるみ
麻里紗さーん!

●麻里紗
どうしたの? そんなに慌てて。

●くるみ
さ、さっきの名言!
もう一度、お願いするです!

●麻里紗
さっきのって……。
『私は人の考えを最もよく知りたいときは、その人の行動を見ることにした』
……ってやつ?

●くるみ
そう、それです!
待っててくださいです、セリアさーん!

●麻里紗
え? あの……なんだったの?

ーーレッスン場

●くるみ
も一度聞いてきたですよー!

●セリア
おー! そうですか!
さっそく聞かせていただくデース!

●くるみ
えっと……んー……。
『私は考える人間ではない。学ぶ人間だ』?

●セリア
ソレ聞いたことあります!
たしかビル・ゲイツの言葉でありんす!

前にモエとフウリが話していたのを聞いてたデース!

●くるみ
……んー?

●セリア
挑戦することの大切さを伝える言葉でありんす!
さすがクルミ! ナイスチョイス!

●くるみ
……んー? あっれー?

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岩倉 寧々:第1話「強さとは、話すことと見つけたり」

ーー控室

●寧々
……きょ、今日のお仕事も、上手く喋れなかった……。


●麻里紗
元気出して、寧々ちゃん。
先方には健気で可愛いって、好評だったじゃない。

●寧々
でも……私、喋れなくて、お仕事の幅、増えないから。

●麻里紗
そんなに気にすることないと思うんだけど。
どうしてもっていうなら、そうね……。

悠ちゃんのマネとか、してみたら?

●寧々
悠くんの?

●麻里紗
そう、いつもハキハキしてるでしょう? あの子。それに元気だし。
まあ、その分暴走も多いんだけど……。

●寧々
うん……私、やってみます!

お、押忍! わた……自分、悠です! よろしく!


●麻里紗
んー、なんだか強張って――

●悠
……な、なにごとですか?

●寧々
ゆ、ゆゆ! 悠くんっ!?

●悠
もしかして、自分のマネですか。
……いつもそんな怖い顔してたですか?

●寧々
ち、違います! 違います!

●麻里紗
あー、えっと、実はね?

●悠
あー、なるほど。納得です。
でも寧々先輩はそんなの気にすることないですよ?

●寧々
そう、かな。

●悠
そうです! 寧々先輩はこう、守ってあげたい系ですから!
いつものが一番効きます!

それでも気になるなら、直々に教えますよ。
誰とでも面と向かって睨み合える度胸!

●寧々
そ、そこまでは……いらない、かな?

●悠
……やっぱり、自分怖いですか……?

●寧々
ち、違います! そう、じゃないです!

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岩倉 寧々:第2話「想いのカタチの伝えかた」

ーーレッスン場

●寧々
……♪

●晴海
あれ、寧々ちゃん。
今日はなんだかご機嫌だね?

●寧々
あ、晴海さん……今日、これが届いて……。

●晴海
ホラー映画?
そっか、寧々ちゃんそういうの好きだったもんね。

●寧々
はい……晴海さんは?

●晴海
私はちょっと苦手かな。
でも、観始めるとつい熱中して最後まで見ちゃうんだよね。

●寧々
わ、わかります! 私も、そんな感じで……!

恐怖演出が凝ってる日本のホラーも素敵だけど、
洋モノの驚きやゴア描写を前面に出した画も好きで……!


もちろんスプラッターも多いんですけど、
中には精神の底を抉るような上質のサイコホラーなんかもあって!

●晴海
う、うん。すごいね。
でも私、そんなに詳しくなくて……。

●寧々
だったら、今度、一緒に観ましょう!
色んな種類の映画、いっぱい家にありますから!


まずオススメは、悪霊のいけにえとか……み、ミザリーとか!

●晴海
うん、うん。そうだね。
今度みんなでお邪魔しちゃおうかな?

●寧々
ぜひ!

●晴海
……寧々ちゃん、あんな笑顔も出来るんだなぁ。
あと、いつもより饒舌だったし。

……ホラーか。苦手だけど、寧々ちゃんが楽しく話せるなら――
で、でも1人で観るのはちょっと。

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岩倉 寧々:第3話「心に響く笑顔の私」

ーー控室

●寧々
……うぅ。

●ひなた
どうしたの、寧々ちゃん?
顔怖いよ?

●寧々
あ、ひなたさ……。

●ひなた
えっ、え? 本当に大丈夫!?
どこか痛いの!?

●寧々
いえ、あの、これからライブで。
緊張しちゃって……。


●ひなた
び、びっくりした~。
でもダメだよ? アイドルは笑顔じゃないと。

●寧々
ご、ごめんなさい。

●ひなた
あ、謝ることはないけど……。
んー、ちょっとごめんね?

●寧々
ひゃぃ!? ひなた、さん……ほっへいはい……。

●ひなた
ほらほら! こんな感じ!
素敵な笑顔だよっ!

●寧々
……そっか、緊張したら、ほっぺ、引っ張ればいい?


グ……グフフ。

●ひなた
それじゃ、頑張ってね~!

うんうん、今日もまた、
悩めるアイドルを導いてしまったなぁ~!

●愛美
……いや、あれはダメでしょ。
ただの薄ら笑いになってるじゃん。

●ひなた
……そ、そうかなー?

●寧々
グフ……グフフフフ。

●愛美
ほら、止めて来なさいよ。
逆に恥かかせてどーすんの!

●ひなた
そ、そうだね! ごめん、待って! 寧々ちゃーん!

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青空アンダーガールズ!Re:vengerS ・販売元: SQUARE ENIX Co., Ltd.
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・容量: 155.7 MB
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【あおガルシナリオ集】メモリアル「土方 アリス」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「土方 アリス」編を紹介します。


目次
SSR:ブリリアントスター1
SSR:ブリリアントスター2
SSR:ブリリアントスター3
SSR:ブリリアントスター4
SR:伯楽一顧1
SR:伯楽一顧2

SSR:ブリリアントスター1

ーーレッスン場

●アリス
……うふふ、ついに明日。
楽しみですわ。

待ちに待った、大イベントですもの。
ちょうど明日は仕事もありませんし、これを逃す手はありません!


●プロデューサー
どうしたの?

●アリス
ひゃっ!? ぷ、プロデューサーさん!?
もしかして、いまの聞いてましたの!?

何かのイベント?

な、なんでもありませんわ。
ひとのプライベートをあれこれ詮索しないでいただけます?

●プロデューサー
ごめん。

●アリス
……あ、いえ、何も謝ることは。
別にプロデューサーさんに教えたくないわけではなくて、
ワタクシの問題で……。

だ、だからそんなしょんぼりした顔をしないでくださいまし!
わ、分かりました! お教えしますから……。

実は明日は……。

…………。

や、やっぱり言えませんわ!
これはワタクシの沽券に関わることですからぁ!


あんな恥ずかしい趣味を知られた日には、もう……。

●プロデューサー
恥ずかしい?

●アリス
はっ! だ、だからなんでもありませんの!

とにかく、そっとしておいてください!
少しばかり特殊でも、ひとの趣味趣向は自由であるべきですわ!

誰にも迷惑かけませんからぁ!

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SSR:ブリリアントスター2

ーー街中

●アリス
さぁて、ついにこの日がやって参りましたわ♪
今回はどんな品があるでしょうか。


お金はなくとも、情熱とセールス品がある。
だから、かわいいは作れるのですわ! ふふふっ……!

●プロデューサー
(声をかける)

●アリス
ひゃわっ!? ……って、プロデューサーさん!?
こ、こここここここんなところで何をしてらっしゃいますの!?

……ただの買い物?
そうですか。そ、それは奇遇ですわね。

●プロデューサー
イベントってこれ?

●アリス
まさか! こ、こここここここには偶然寄っただけです!
こんなセールス品なんか……。
これは、そう! 雑巾にでもしようと思ってるんですわ!


…………。

……はぁ。嘘、ですわよ。そうです。
安いセールス品を使って、お洋服を作ろうと思ってましたの。

ワタクシの趣味は、色んなかわいい衣装を着ることですの。
だけど、衣装って買うと本当に高いですから、
セールスの布地で自作してますの。

もともと、アイドルに憧れたのだって、
たくさんかわいい衣装を着られるからですし……。

……はぁ、いつか着てみたいですわね。
フリフリでキラキラの、ロココ調のドレス……。

あ、い、いまは違いますわよ!
いまは真剣に、アイドルになりたいって思ってますわ!

●プロデューサー
分かってる。

●アリス
だ、だったらよろしいですの……。

だけど、見られたのがプロデューサーさんで良かったですわ。
こんなところ、他のメンバーに見られたら、
貧乏くさいって軽蔑されてしまいます……。

●プロデューサー
そんなことない。

ありますの! 『ヴァルキュリア』は、他のアイドルたちの見本なのですから!
家では真っ白い大型犬を飼っていて、
天蓋つきのベッドで眠る必要がありますの!


……両方、ないですけど。

と、とにかく! 今日のことは絶対に口外禁止ですわー!

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SSR:ブリリアントスター3

ーー廊下

●アリス
……ふぅ。現実と理想は大違いですわ。
うまくいかないものですわね……。


●プロデューサー
元気ないね。

●アリス
プロデューサーさん……。
いえ、そういうわけではないんですの。

特にショックなことがあったわけではないので、
落ち込んでいるわけではなく……
そう、アンニュイな気分、というのかしら。

●プロデューサー
どうしたの?

●アリス
それは……プロデューサーさん、ちょっとこちらへ。

ひと目があるところではお話したくないんですの!
ほら早く、部屋のなかへ!


ーー音楽室

●アリス
ふぅ。ここなら大丈夫ですわ。

えっと、実は例の衣装作りの話ですわ。
作れば作るほど、現実が見えてくるというか……。

お洋服を作るのは楽しいです。
とても充実していると思います。

ですが、所詮は素人で、使っている材料もセールス品。
ワタクシの憧れるロココ調のドレスには、程遠いと感じるのですわ。

●プロデューサー
そうなんだ……。

●アリス
はい。それにこんな悩み、誰にも相談できませんし。
というか、ワタクシの趣味は内緒にしていますからね。

でもそういう意味では、プロデューサーさんに知っていただいて
良かったかもしれません。

こうやって、話を聞いてくださいますし、お裁縫の趣味のこと、
笑ったりしませんから。

●プロデューサー
もちろん。

●アリス
ええ、ありがとうございます。

……さ、弱音はこれくらいにして、レッスンに行きますわ。
ボヤボヤしていたら、みなさんに置いていかれますから。


プロデューサーさん、またワタクシのお話、聞いてくださいね。

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SSR:ブリリアントスター4

ーー収録スタジオ

●アリス
おはようございますわ、プロデューサーさん。
今日は音楽雑誌の取材、でしたわよね。


スペシャルな衣装で撮影すると聞いて、楽しみにしておりますの。
一体、どんなお洋服が着られるのかしら。うふふ……。

きゃ、きゃー! ひらひら!
憧れのロココドレスですわよ、プロデューサーさん!


それに、この質感! セールス品と違って、
肌にあたってもガサガサしませんの!
布地自体が柔らかくて滑らかで、しかもずっしり重いですわ~!

●プロデューサー
似合ってるよ。

●アリス
えっ……? あ、ありがとうございます……。
やだ、ワタクシったら、せっかく憧れのドレスなのに、布のことばかり……。

そう、ですわね。この服を着ていると、
まるでワタクシがワタクシでないみたい。

ふわふわと宙に浮いた気分で、現実感がないというか……。
本当に、夢のなかにいるみたいですわ……!

ーー控室

プロデューサーさん。感謝いたしますわ。
ワタクシがロココのドレスを着たいと言ったから、ですわよね?

お洋服は、着る種類によってどんな自分にだってなれる。
まさしく、どこかの国のお姫様になった気分でしたわ。

この恩は、一生忘れません!
必ずいつかお返ししますから!

●プロデューサー
大げさだよ。

●アリス
大げさではありませんわ!
プロデューサーさんは、ワタクシの夢をひとつ、叶えてくださったのです!

だから、ワタクシにもプロデューサーさんの夢のお手伝いをさせてください!
必ず、報いてみせますから!

●プロデューサー
具体的には?

●アリス
ワタクシ、トップアイドルになります。
そうしたら、あなたはトップアイドルのプロデューサーですわ!

●プロデューサー
楽しみにしてる。

●アリス
はい! もちろんですわ!
時間はかかるかもしれませんけど……待っていてくださいまし!

その暁には、ワタクシの自費で、
プロデューサーさんにタキシードを買って差し上げます。

そうしないと、ワタクシと並び立ったときに
格好がつきませんからね。うふふ……♪


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SR:伯楽一顧1

ーー控室

●アリス
プロデューサーさん、ワタクシ、負けませんわ!

アイドルお勉強王決定戦……。
正直、ワタクシはアイドル以外はさっぱりですけれど、
それでも負けられないんです!


なぜなら、対戦相手に黒瀬麗華と同じ学プロのアイドルがいるから!
彼女に負けることは、黒瀬麗華に負けるも同じですわ!

●プロデューサー
がんばって。

●アリス
もちろんですわ!
では、行って参ります!

ーー収録スタジオ

●司会
さあ! 現在のトップは『Twinkle☆Star』の野々宮琴音さん!
ぶっちぎりの全問正解だぁ~!

そして最下位は、なんと『ヴァルキュリア』の土方アリスさん!
こちらも他を寄せ付けず、最下位を爆走してるぞ~!

●アリス
うぅ~……。まさかここまで差をつけられるなんて……。
まだ、まだですわ! ここから巻き返しますわ!

……え? ラスト一問?
で、ではもう勝ち目はありませんの!?

●司会
ご安心ください! 最後の一問は正解すると、
1000000000000ポイントです!

●アリス
1000000000000ポイントぉ!?
……それってつまり、なんポイントですの?


●プロデューサー
(ダメっぽい……)

●司会
では問題です!

アレルギーの元になることも多い、ピラゾロン骨格を持つ薬剤のことを
『○○○系薬剤』という!
○○○に入る言葉は!?

――ピンポーン

●司会
はい! 土方アリスさん!

●アリス
分からなくてもとりあえず押しましたわ……。
ですが幸いにも、聞いたことがあります……。

全神経を集中し、思い出します。

……そう答えは確か。

ずばり、プリン系薬剤ですわ!


――ブッブー

●アリス
え?

●司会
残念! 正解は、ピリン系薬剤、でしたぁ~!

●アリス
…………え?

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SR:伯楽一顧2

ーー収録スタジオ

――ザバーンッ!

●アリス
ぎゃー! ですわー!

不正解&最下位確定の土方アリスさんには、
罰として水入りバケツの刑が執行されました!

ふぇ~……。どうしてワタクシがこんな目にー!?
全身ずぶ濡れで寒いですわ!


黒瀬麗華と同じ学プロのアイドルに負けて、
踏んだり蹴ったりですの!

ムキー! 覚えてろですわー!

ーー控室

……負けましたわ、プロデューサーさん。

●プロデューサー
おつかれさま。

●アリス
ワタクシ、うまくできませんでした……。
こんな醜態を晒して、みんなになんて言われるか……。


●プロデューサー
大丈夫だよ。

●アリス
そうでしょうか? うまくできない子は、
『ヴァルキュリア』にはいらないって、クビにされたりとか……。

●プロデューサー
そんなことさせない。

●アリス
……本当に? ワタクシ、まだここにいていいんですの?

●プロデューサー
もちろん。

●アリス
プロデューサーさん……。
ありがとうですわ……!

……あ、それを聞いて安心したら、
また涙が……。

……ふぇ~ん、プロデューサーさん~!
どうかこんなダメなワタクシでも、見捨てないでくださいまし~!


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【あおガルシナリオ集】メモリアル「風早 響香」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「風早 響香」編を紹介します。


目次
SSR:千夜一夜の夢1
SSR:千夜一夜の夢2
SSR:千夜一夜の夢3
SSR:千夜一夜の夢4
SR:黄昏の乙女1
SR:黄昏の乙女2

SSR:千夜一夜の夢1

ーー教室

●響香
ねぇ、プロデューサー。
アタシ、思うんだけどさ……。

●プロデューサー
どうしたの?

●響香
風にはためくカーテンって……なんかエロくね?


●プロデューサー
……え?

●響香
……風にはためくカーテンって……なんかエロくね?

●プロデューサー
聞こえたよ。

●響香
じゃあ分かるでしょ?

誰もいない放課後……大好きなあのひとと、教室で2人っきり……。
だけどいざ向き合うと、素直になれなくて……。

ちょっと気まずいなぁなんて思っていたら、
相手がいきなり身体を抱き寄せてきて、
側にあったカーテンに2人で包まって……。

…………ふぅ。

どうしてこんなエロいものが、野放しにされているのかしら。
早急に撤去して、甘酸っぱい思い出と共に焼却処分するべきだと思うのよね。

●プロデューサー
大丈夫?

●響香
実を言うと、大丈夫じゃないかも。

全然ね、浮かばないのよ。
次のステージの衣装が。

定番で攻めるのも悪くないんだけど、どれもしっくり来なくて。
完全に感性の問題だとは思うのよね~。

でもこのヒラヒラのカーテン。
なーんか気になるのは本当なの。ここにヒントが隠されているような……。

いっそのこと、裸にカーテンを巻いてステージに立つとか?

うーん。さすがに親が泣くか……。


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SSR:千夜一夜の夢2

ーープロダクション室

●響香
…………。


…………あっ。

やばっ、プロデューサーじゃん。

●プロデューサー
何してるの?

●響香
えっと、次のライブの衣装とか考えてる。
別にサボってるわけじゃないから。

やばっ、って言ったよね?

違うって。これは……そう。
ダイエットを兼ねて、腹筋でもしようかなってね!

●プロデューサー
…………。

●響香
うん、なんか今日は全然いい案がでないし、
疲れたからぐーたらしてサボってた。

●プロデューサー
潔いね。

●響香
まあね。勝ち目がないと分かったら、すぐに負けを認めるわ。
というか、よく考えたら、別に誤魔化す必要もないし。

でも、ライブの衣装を考えてたのはマジね。
あと、ダイエット中でなかなか痩せないのもマジ。

筋トレとか普段のレッスンって、
筋肉ついちゃうから体脂肪は落ちてもクビレができないのよね。
もっと腰回りがすっきりするような、いいダイエットってない?

って、アタシはなんの話をしてるんだか……。


●プロデューサー
大丈夫?

●響香
それは衣装の話? それともダイエット?

はぁ……。痩せないし、ついでに衣装も浮かばないし、
うーん、両方一気に、ぱーっと解決できる妙案とかないかしら……。

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SSR:千夜一夜の夢3

ーー廊下

●響香
ぷっろでゅ~さ~!
思いついたわよ、アタシ!


●プロデューサー
何を?

●響香
もちろん、ダイエット! ……じゃなくて、
次のステージにぴったりな衣装に決まってるでしょ。

定番よりはちょっと変化球で、
だけど誰でも見かけたことはある、隙間産業みたいな衣装!

さらに! 教室のカーテンのようにエロ……じゃない。
ヒラヒラで、腰のくびれもできる、最高の一品だよ!

●プロデューサー
それは……?

●響香
ずばり……アラビアンナイトよ!


知ってるかしら、ベリーダンス。
ヒラヒラの布がついた衣装を着て、腰を激しく震わす踊りよ!

そう、こんなふうに……!

――くねっ

●響香
それっ! それっ!

――くねっくねっ

●響香
もういっちょ!

――くねっくねっくねっ!

●響香
どう?

●プロデューサー
どうと言われても……。

●響香
イマイチ、ピンと来ていないみたいねぇ。
……いいわ。だったら、一番前の特等席で見せてあげる。

激しく……そして激しく……。
エロス&エロスなアタシを、とくと見てねっ。ふふっ♪


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SSR:千夜一夜の夢4

ーーアリーナ

●響香
いえーい! みんなー!
盛り上がってるー!?


――くねっくねっ

●響香
今日のアタシはどう?
ちょっと露出多くて恥ずかしいけど……悪くない感じでしょ?

――くねっくねっ

●響香
最後まで、フルスロットルで行こうねぇ~!

――くねっくねっ

ーー控室

●響香
どうだった、プロデューサー?
一番前の席、よく見えたでしょ?

●プロデューサー
なんでネコミミ?

●響香
ん? ああ、かわいいと思って。
セクシー&キュートって感じでしょ?

ま、アタシ自身がかわいいってタイプじゃないから、
本当は女豹がいいかなって、耳とか尻尾とかつけてみたんだけど……。

あの露出で女豹だと、なんていうか、ほら……
ちょっとガチすぎるんだよねぇ……。
鏡で見たとき、うわっ! えっろっ!? って声出たもん。


だから、ちょびっとだけビビったっていうか……あはは……。
でも、ネコも悪くなかったでしょ?

●プロデューサー
良かった。

●響香
ふふっ。ありがとう♪

……でも、プロデューサーになら、女豹の格好をして、
セクシーポーズ、見せてもいいよ?

……なんてねっ。いやぁ、いまのはちょっと、
お決まりの台詞過ぎたか。


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SR:黄昏の乙女1

ーー控室

●響香
うーん、このグロス、暗いかなぁ。
水着の色合いを考えると、もう少し明るめのほうが……。


●プロデューサー
…………。

●響香
ん? プロデューサー、何じっと見てるのさ。
ダメだよ~。

お化粧は、女の子なら誰でも使える、唯一の魔法なんだから。
変身途中を覗き見るのは、マナー違反だ、ぞ?

●プロデューサー
ごめん。

●響香
ま、プロデューサーならいいけどね。

でも一般的にマナー違反ってのは本当。
この魔法のおかげで、アタシみたいなぐ~たらズボラ女でも、
なんとか全国放送に耐えうるんだよ。

ぶっちゃけアタシって、キャラだけで生き残ってるところあるから。


No.4だから割りとギリギリだし、
特にカノカノとか見てると全然かなわないって思うしね。

それに、アリリンとかリッちゃんみたいにかわいくもないし、
とはいえシホみたいな落ち着いた大人の魅力もないし。

あ、これって謙遜とかでなくて、ガチだから。
もちろん、普通はこんな話、嫌味だって思われるから言わないんだけどね。

●プロデューサー
響香もきれいだよ。

●響香
……へぇ。
そ、そう。ちょっと感心した。

そんなことないよ、とかじゃなくて、ちゃんとキレイだよって
さらっと言えるなんて。

ふふっ。お姉さんも、いまのは
ちょっとだけドキっとしたよ? なんてね。


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SR:黄昏の乙女2

ーー撮影現場

●響香
あははははは! 海、気持ちイー!
暖かいし、超サイコー!


カメラマンさんも、海入れば?
……え? 仕事中だから無理?

ははっ、そりゃそうか!
って、アタシもこれが仕事なんだけどねー!

写真なんていくら撮られても減るもんじゃないし、
バシャバシャやっちゃて!

な・ん・な・ら、もっとセクシーで、
大人の魅力たっぷりなポーズも……。

●プロデューサー
(やめさせる)

●響香
あははっ! もうジョーダンだってプロデューサー!
はい、スマイル~!

せっかくの海なんだから、みんな楽しくいこーね!

ーー宿

●響香
おつかれさま、プロデューサー。
いい撮影だったね!

ま、あんな態度じゃ、普通は真剣じゃないって怒られそうだけど、
アタシの場合は特別だからね。だって、そーいうキャラで通ってるから。

何事も、楽しむことを忘れたら終わりだよ。
真剣にやるのは当たり前だけど、それってイコール、
おちゃらけないってことじゃないからね。

だからアタシは、真剣におちゃらけてる。
芸人さんとかいつも笑い取ろうとしてるけど、
それを不真面目だって言うひといないでしょ?


●プロデューサー
分かってるよ。

●響香
ふふっ、ありがとうプロデューサー。
……やっぱり、理解してくれるひとがいるって、いいね。

プロデューサーには話したことないかもだけど、
前にいたんだよ。
そーいう、アタシの気持ちを分かってくれないプロデューサーが。

それでアタシもガラにもなく、マジで悩んじゃったりもしてさ……。
アイドルとして向いてないんじゃないかって、考えたこともあったよ。

……へへっ。ま、いまはこうやってプロデューサーがいてくれるから、
もうなんにも関係ない、遠い遠い化石級の話なんだけどね。

ちなみに、この話は誰にもしてないから、絶対に口外しないように。
分かったね、プロデューサー?


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【あおガルシナリオ集】メモリアル「碓氷 律」編

2019年1月31日にサービス終了を迎えるスクウェア・エニックスのアイドルゲーム『青空アンダーガールズ! Re:vengerS(リベンジャーズ)』のシナリオ集をお届けします。

この記事では、メモリアル「碓氷 律」編を紹介します。


目次
SSR:双対のクロムハート1
SSR:双対のクロムハート2
SSR:双対のクロムハート3
SSR:双対のクロムハート4
SR:革命の刻1
SR:革命の刻2

SSR:双対のクロムハート1

ーープロダクション室

――カタカタ。

●律
ふーん……なるほどね……。


●プロデューサー
何してるの?

●律
私の――アイドル、碓氷律の評価よ。
いわゆる、エゴサーチというやつね。

こうして定期的に調べているの。
自分の演出の是非をたしかめるために。

まぁ、評価は当然ながら良いものばかりよ。
機械的で無機質な美しさ、氷のような儚さ。

そういう意見ばかり。

しかし、こうまで狙い通りのイメージを与えられているなんてね。
ネットがソースとはいえ、上手くいってるみたいで嬉しいわ。

……ん?

この掲示板……やけに荒れてるわね……。
いったいどうして――。

って、これは……。

碓氷律は人として冷たいし、ただただ厳しいだけだろ……?
アイドルとして笑顔がないのは、正直どうかと思う……?

自分に酔ってる感じがして、キツイ……?
は? 何、このふざけた書き込みは?

…………。

ふん……たまに、こういうのがいるのよ……!
批判しかできない、厨が……!


こうなれば理論的かつ客観的視点から、完全論破してやるわ!

ええとまずは……親の金でやるネサフは楽しいか?
携帯代も自分で支払えない厨房が……!

え……?
す、拗ねてなんかない!

な、何、その妙に優しい目は!?
勘違いしないで!

もう! このアンチのせいで、
プロデューサーに変な勘違いをされたじゃない……!


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SSR:双対のクロムハート2

ーーカフェ

●律
…………。


ん? プロデューサー?
いつからそこにいたの?

まぁ、いいわ。
座るところがなかったら、相席してもいいわよ。

●プロデューサー
またエゴサーチしてたの?

●律
……違う。『フレイヤプロダクション』の曲をチェックしてたの。
新しいのが上がってきてたからね。

エゴサーチは……この前からやってない。
稀によくあることだけど、この前のでなんか疲れた。

…………。

というか、思い出させないで……。
また腹が立ってきて、仕事にならないじゃない……。

はぁ……何が人として冷たいだけよ……。
たしかに、他人に厳しくしているかもしれないけれど……。

たとえば『ヴァルキュリア』にそうしてるのは、
私なりの考えがあってのことよ。
自分たちが一番輝いて見えるには、どうすればいいのか。その一心なのに。

でも、世間にはそれがわからない輩もいるみたいだし、
もしかすると『ヴァルキュリア』のメンバーの中にも……。

なんだか……段々、不安になってきたわ……。
実際、いなくなった人もいるし……。

●プロデューサー
聞いてみる?

●律
ううん……それはいいわ。
私の心の問題だから。

でも、そうね……お礼は言っておくわ……。
私の味方をしてくれて。

いまの私には、その事実だけで充分。
もう少しがんばってみようって気分になる。

だから……。

少しでも長く、側にいてほしい――。
なんてね。


目次へ戻る

SSR:双対のクロムハート3

ーー廊下

●律
…………はぁ。

●プロデューサー
どうしたの?

●律
あ、プロデューサー……。
いるならいると言ってほしかったんだけれど……。

ため息ついてるところを見られるなんて。
さすがに、何もない、なんて言えないわね……。


実は『フレイヤプロダクション』から脱落者が出たの。
言っておくけれど、私が落としたわけじゃないからね?

むしろ、才能があって私の学プロに相応しい子だった。
どうも、私のやり方についていけなくなったらしいわ。

いまさっき、学プロから離れる旨を伝えられた。
あなたは冷たいし、厳しすぎるから、一緒にやっていてもつらいだけだって。

いままで何人か脱落していったけれど、
みんな同じようなことを言っていたわ。

まぁ、あえてそうしているから、否定はできない。
プロデューサーとして私情を挟まずに、学プロを最優先で考える。

それが学プロを進める最良の手段だと思うから。
私はそれをしっかりと演じてみせる。

アイドルとしての自分だって、そう。
それが一番、自分の魅力を引き出せるはずだから……。

けれど、言われ続けると……堪えるものがあるかも。
もしかしたら、脱落していった子だけじゃなくて
『ヴァルキュリア』のみんなも……。

●プロデューサー
そんなことはない。

●律
……あなたに何か言ってほしかったわけじゃない。
おせっかいなのね。

でも、確かに心が少し軽くなった。
……ありがとう。


みんなとは何度も同じステージに立ったわ。
だから、少しくらいは私の想いも伝わってる。

それくらい、信じてもいいのかも。

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SSR:双対のクロムハート4

ーーアリーナ

●律
流れていく時代、発達していく文明の中……。
近い将来、人は電子の海に呑みこまれ、虚構と仮想の世界に浸り切りになる。


そうなれば、誰かの体温を感じることはなくなり……。
最後には心すらも現実から離れていってしまう。

けれど、私は、私たちアイドルは――。

必要とあらば、どんな時でも誰かの心に寄り添える。
絶対に勝手にいなくなったりはしない。

ずっと、側にいる。
そういう存在。

だから、みんな。
私たちのことを、その心に焼きつけて……!

ーー控室

●律
ふぅ……撮影、無事に終わったわね。

●プロデューサー
良かったよ。

●律
…………そう?
私はいつも通りにやったつもりだったけれど。

でも、あなたがそう感じたのなら……。
今日の撮影は大成功ね。


だって、そうでしょう?
散々、冷たい人間だと言われてた私が、よ?

誰かに熱量を感じさせることができたのだから。
私が進んできた道は間違ってなかったってことでしょう?

実際に冷たいと言われている私でも……。
アイドルであり続ける限り、誰かを熱くさせることができる。

誰かを熱くさせることができるのなら……。
その誰かも、私から受け取った熱量で、また他の誰かのハートを揺さぶるのよ。

それは、私自身で実証済み。
ほら『ヴァルキュリア』のメンバーを見ていれば、ね……。

私も心を動かされることはあるから。

…………。

でも、改めてあなたの言葉が……。
アイドル、プロデューサーとしての私に自信を持たせてくれたわ。

……あなたがプロデューサーで良かったと思う。
それは紛れもない事実。

だから、これからもよろしくね。
プロデューサー。


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SR:革命の刻1

ーーバスの中

●律
…………。