寒さに強い遺伝子組み替え豚

中国科学院などの研究者がブタの遺伝子を組み換え、気温が低い環境でも体温を維持できるようにしたそうだ(Ars Technicaの記事NPRの記事Consumeristの記事論文アブストラクト)。

脱共役タンパク質1(UCP1)は褐色脂肪細胞で熱を生成し、低温からの保護やエネルギー恒常性の維持に重要な役割を果たす。しかし、現在のブタはUCP1の機能を失っているため、寒さに弱く、脂肪が蓄積しやすい。冬季には生まれたばかりのブタが死亡しやすくなるため、養豚の生産効率低下を防ぐには暖房が必要になり、費用がかさむ結果になる。

研究者はゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」を用いてマウスのUCP1遺伝子をブタの細胞に挿入。ブタのUCP1機能は2,000万年前ほどの変異で失われたとのことで、これを復元することになる。この細胞から2,553個以上のブタのクローン胚を作成し、メスのブタ13頭に着床させたところ3頭が妊娠し、UCP1組み込み(UCP1 KI)ブタのオス12頭が生まれたという。UCP1 KIブタは寒さに強く、4時間の低温テストでも体温を維持できたそうだ。また、赤身肉の比率は通常のブタが50%なのに対し、UCP1 KIブタは53%。体脂肪率は通常のブタが20%、UCP1 KIブタは15%だったとのこと。

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